複雑な保険は検討の余地なし!? 生命保険選びの極意

マネー

2014/6/28

 社会人になると、生命保険に入ったという人の話をよく聞く。年齢を重ねてから保険に入ると、その分保険料は高くなる。ちょっとした焦燥に駆られて、とりあえず生命保険のパンフレットをかき集めてみたなんて人、少なくないのでは?

 主契約として、死亡・高度障害に備えた終身保険、ガン・急性心筋梗塞・脳卒中といった3大疾病のための保険、入院・手術に備えた保険。やはり基本と思われる保険はおさえておくべき? さらに付加できる特約として、CMでよく聞く、病気・ケガによる1日以上の入院に備えるもの。女性に多い所定の病気のための一時金も大事そうだ。でも、これだけ入って掛け捨てなんてイタイ。それなら、満期になると戻ってくるという貯蓄型の保険を……ということで、しめて月々約40,000円の支払い。

 どの保険がいつどんな条件で支払われるのか、途中で解約したらどうなるのか…複雑怪奇な内容に納得できないまま、高い保険料は支払えない。とはいえ、入らないとなんだか不安。どうやって選べばいいの?

 『保険会社が知られたくない生保の話』(日本経済新聞出版社)の著者・後田亨さんは、大手生保の営業職、複数の保険会社の保険を扱う代理店を経て、現在は保険の有料相談を行っている。後田さんは、複雑な保険は検討に値しないとバッサリ切り捨てる。本来簡単な話を難しくすることで、料金設定が妥当なものなのか検証が難しくなり、販売手数料を多めに乗せることができるからだという。

 では、どうすればいいのか? あらゆる情報をいったん捨てて、何が本当に必要なのかを考えることが必要だそう。

――入院1日目から500円の保険料が支払われる保険があったら入りたいか?
「そんな保険、入っても仕方がない」

――「がん」にかかった場合、「治療支援金」として3,000円が支払われる保険は?
「3,000円では気休めにもならない」

――では、向こう10年間、万が一の際に1000万円が支払われる保険は?
「1000万円というお金は助かる」

――その保険が1000万円で売られていたら入りたいか?
「10年間で1000万円支払うとなると、毎月の負担は8万円を超える。冗談じゃない」

――では、毎月2000円だったら?
「それくらいなら入っておきたい」

 このように自問自答すると、保険で必要なのは、以下の2点に集約されるという。
(1)非常時にまとまったお金が受け取れること
(2)保険料が日常生活の中で負担できる範囲で収まること

 例えば、CMでよく聞く「日帰り入院に対する保障」や、「契約期間中に3年ごとのお祝い金」など、それほど重要なものではない。日帰り入院など貯金でまかなえるくらいのお金は自分で払えばいい。わざわざ高い保険料を払って準備するほどのものではない。「お祝い金」なんて、そもそも保険料を払ってまでもらうものなのか疑問。「付けておいた方が安心」「あったらお得かも」なんて保険は、入れば入るほどその分保険料が高くなるのだから。

「保険は、当てたくない“宝くじ”や競馬の“馬券”のようなもの」「99%が外れる宝くじ」と後田さんはいう。そして、この支払われる保障は、「賭けに負ける人たち」によって支えられている。つまり、ほとんどの人にとっては払い損なのだ。それがわかっていれば、「非常時のまとまったお金」以外の保障のために高い保険料を払うのは、確かにバカバカしく思えてくる。

「必要最低限の保険活用」を訴える後田さん。では、具体的にはどんな保険に入ればいいのだろうか? 最近、後田さんの元に増えているという問い合わせがこちら。

「1ヵ月くらいの入院などは心配していません。1~2年も持ちこたえられそう。でも、もっと長い間、重い病気で働けなくなったら困ります」

 こんな質問があった際に後田さんがすすめているのが「就業不能保険」。保険本来の存在意義が認められる商品だとか。保険の利用を検討すべきなのは、貯蓄等では対応が難しくなるケース。だから、長期間にわたる減収を補てんする保険は、世帯主の万が一に対応する保険のように優先的に検討されていいという。

 今、突然収入がなくなったとき、何に困るのか、どういうことが起こりうるのか。まさに「万一の場合」をシンプルに考えることが大事。「入っておけば安心」とばかりにあれもこれもと欲ばりして、保険ビンボーにならないように気を付けたいものだ。

文=佐藤来未(Office Ti+)