「二の腕出すのは恥ずかしかった」 大泉洋×劇団ひとりが語り合う『青天の霹靂』の裏側

エンタメ

2014/6/28

 劇団ひとり原作の『青天の霹靂』が映画化された。

 天涯孤独でマジシャンとしての仕事も一向に軌道に乗らない、人生に生き詰まった主人公・晴夫役を大泉洋が熱演。そして劇団ひとり自身はなんと、原作・監督・脚本・出演の4役を務めた。役者として演じたのは、晴夫がタイムスリップした先で出会う、若き日の父・正太郎。大ざっぱで、自分勝手で、それでもどこか憎めない昭和の芸人という役だ。劇団ひとりの緻密な演出に、大泉洋の静かなる熱演でおくられる、まさに「感動作」。お笑い、俳優、執筆活動とマルチに活躍する、彼らが起こした化学反応とは?

 『ダ・ヴィンチ』7月号では二人の対談を掲載している。

――主人公の晴夫役を大泉さんに、と思ったのは?

【ひとり】 脚本を書く途中から、どんどん「これは大泉さんにお願いしたい」って思うようになったんです。最初の設定では、晴夫はもうちょっと暗いやつだったし、ここまでペペ(大泉)とチン(ひとり)の舞台上での漫才みたいな掛け合いを重要視してなかった。でも脚本を書いていくうちに、「これはかなり掛け合いが重要になってくるぞ」と。ペペとチンは、お笑いのコンビとして成功していく二人なので、「この二人だったら確かに売れそうね」ってお客さんに思ってもらわないといけない。だってそう思えないと、一気にお客さんは醒めちゃいますから。僕自身、観客として醒めた経験があるので(笑)。

【大泉】 あー(笑)。

【ひとり】 それがイヤだったので、掛け合いがうまい方、笑いの部分もシリアスの部分もうまい方……ということで、これは絶対大泉さんだなと思ったんです。

【大泉】 ありがとうございます。

【ひとり】 実際掛け合いシーンは、すごくやりやすかったです。一番あのシーンがやりやすかったかもしれない。ほとんどリハもしなかったですし。かなりもう、二人の間が出来上がっていたっていうか……そこまでのコミュニケーションがとれてたっていうのもあったんじゃないですかね。

【大泉】 ただ私もね、そういう言葉をいただけて、嬉しくて頑張りましたけど……。結局あのシーンで何が一番面白かったかっていうと、ひとりさんの“顔”なんですよ!

【ひとり】 ははは!

【大泉】 ひとりさんのあの顔芸! だったら別に誰が相方でもよかったんじゃないかというね! でもあれだけ“ひとりさんを泳がす”というあの間はね……僕じゃないと作れないかもしれないですよ。普通待てないですから! 自分で言っちゃいましたけど(笑)。

【ひとり】 そうですね(笑)。いや僕ね、ペペとチンは実際いたら、結構売れると思うんですよ。ほんとに。

【大泉】 (爆笑)

【ひとり】 かなり色ものですけど、お正月の『爆笑ヒットパレード』とかでは欠かせない二人になると思う。

【大泉】 一年に一回は見たい二人。

【ひとり】 ただその代わり、ネタ番組じゃないところに呼ばれると全然しゃべれない。

【大泉】 でしょうね(笑)。

【ひとり】 「あいつら普段のしゃべりはつまんねえんだよな」となりかねない匂いがする。まあでもすごくキャッチーだから、どのネタ番組にも一度は呼ばれますよね。営業もたくさん回ってくるだろうし。

【大泉】 ただねえ……。僕が一つ気になるのは、僕のほうの衣装がちょっとカッコ悪いっていうところ。

【ひとり】 ブーッ(吹き出す)。

【大泉】 僕のほうが露出が多いのが気に入らない! 僕はひとりさんの服が着たかったですよ。襟付きで、ちょっといい服。

【ひとり】 僕のチャイナ服は特注ですからね。やっぱオートクチュールっていうか(笑)。

【大泉】 見てくださいよ! 僕のこのダメな感じの服(とパンフレット写真のペペの衣装を指す)! おっさんが二の腕出しちゃだめなんですよ、やっぱり。恥ずかしかったもん。

【ひとり】 ペペのインド人風の衣装、衣装合わせではね、3パターン用意したんですよ。そのなかで、大泉さんが「一番イヤだ」と言った服を、「じゃあこれにしよう」って決めた(笑)。

【大泉】 それでふたをあけたら自分はブルースリーの敵みたいなカッコで。「いいよなあ」って。

 同誌では映画の裏話だけでなく、互いに作家である二人が「書くこと」についても存分に語り合っている。

取材・文=門倉紫麻/ダ・ヴィンチ7月号「青天の霹靂特集」