目からウロコの“コクヨ式”オフィス環境の整え方【ブレストはスタンディング・バーで!?】

仕事術

2014/6/30

 みなさんは、職場で1日中同じデスクに座りっぱなしで仕事をしているだろうか?

 定位置に座って応対する受付や、外回り中心の営業職など、仕事内容によって違いはあると思うのだが、おそらく内勤職の方でも、日に何度かは場所を変えて打ち合わせをしたり、あるいは、机を変えて作業をしたりすることもあるのではないだろうか。

 筆者は会社員時代、プレイングマネージャー的なポジションだったこともあり、取材や撮影がない内勤日は、自分のデスク以外で社内打ち合わせや作業をすることが多かった。たとえ机が隣同士でも、ちゃんとミーティングテーブルに移動して打ち合わせを行ったり、仕事柄、常に複数の企画を同時進行&管理したりするため、企画ごとに資料を入れるファイルの色を変えるなど、行動や形で“区切り”をつけ、気持ちや頭を切り替える必要があったからだ。

 にもかかわらず、忙しさを言い訳に自分のデスクまわりの整頓にはまったく手をつけず、引き出しの中には大量のボールペンや修正ペンがどっさり。たぶんもう使わない資料や名刺でパンパンの引き出し。新製品発表会に行くたびに配られるサンプルなどがあふれて整理できず、作業効率を著しく下げていた。

 さらに筆者以外にも同じようなデスク状態の社員が何人かいて、フロアのあちこちにカオスな一角をつくり、自分のみならず、みんなの生産性が下がるような社内環境を放置していたのである。

 もっと社内環境がよくなれば、仕事がスムーズに展開していい企画だって浮かぶのに…。

 などと自分のものぐさを棚に上げ、都合のいいことを考えていた当時の自分に、ぜひ読ませたい本を発見した。オフィス家具・文具メーカーのコクヨの、長年の調査研究によってたどりついた結論と提案がつまった、『コクヨ式 机まわりの「整え方」 社内で実践している「ひらめきを生む」3つのコツ』(齋藤敦子/角川書店)だ。

 文字どおり、本書は片付けのコツや自分のデスクまわりだけの整頓が目的の本では、ない。生産性の上がる「机」にはそれなりの法則があり、机の形や置き方でチームの他のメンバーとの関係性が決まり、書類整理の仕方がひらめきの精度を変え、文具の使い方次第で仕事の生産性も向上するのだという。

 具体的に、本書でどんな提案がなされているのかというと

●仕事の成果は「机まわりの環境」で9割決まる!
・引き出しから「文具を解放」する
・「デスクの真ん中の引き出し」はカラにしよう etc.

●心と体を心地よく。すると、頭の働きがクリアに!
・自然に「体を動かせる」環境をつくる
・「五感への刺激」と「ゆらぎ」を取り入れる etc.

●会議室に「情報が流れる道」をつくる!
・パーテーションは、いらない
・プロジェクトごとに「基地」をつくる etc.

 などなど、試しやすく効果が出そうなイメージのわくコンテンツが並んでいる。これらはすべて、リサーチャーやコンサルタント、デザイナーなどのメンバーで構成された「コクヨ・ワークサイトラボ」が、よりよいオフィス環境のあり方や働き方について膨大な調査を行い分析・研究したノウハウ。実際に、コクヨで取り入れられているものばかりだそうだ。

 生産性がグッと向上するオフィス環境の整え方の詳細本書にゆずるとして、「なるほど!」と目からウロコの項目があったのでご紹介しよう。第4章の「“立ってアイディア出しをする”意味」だ。

 一般的に、着席して行う会議は、同じ体勢を続けることによって動きが緩慢になり、会話も膠着しがちで「長く」なる。安定しすぎた状態では、発展的なアイディアは浮かばない。これは身体を動かすことが、脳の働きに深く関わっていることとも関連している。

 そのため、クリエイティブなアイディア出しが必要なブレーン・ストーミング(ブレスト)を行う際は、スタンディング・バーのような環境が最適なのだという。たとえば、ひとつのホワイトボードを囲み、立ったままブレストすると、書き込みをするために動いたり、またそれを見ようと自由に移動したりするので、血のめぐりが良くなる。さらに立つことで人は即興性を発揮しやすくなるため、他者のアイディアにポンポンと意見を出しやすくなるとのこと。よって、短時間で効率よく会議が進むというわけだ。

 実際、あのEvernote社では社員のためのオープンスペースに、ウォーキング・マシーンと一体になった「血流がよくなるウォーキングデスク」を設置しているという。マシーンの上を歩き、PCで情報検索しながら次の企画を考えるのだそうだが、そんな設備が会社になくとも、社内を歩き回ったりストレッチをしたりするなど、同じ姿勢で仕事をし続けないことが大切だそうだ。

 「椅子」があると、人は頭に「定員」という感覚が浮かび、椅子が6脚なら「この会議は6人で行うのか」と、暗黙の了解が生まれてしまう。そんな固定概念や個人的なバイアスをとっぱらってくれるのが、コクヨ式。

 取り入れることで、なんだか出勤するのもうっとうしかった会社が「行くのが楽しくなる場所」に、変わってくるかもしれない。

文=タニハタマユミ

『コクヨ式 机まわりの「整え方」 社内で実践している「ひらめきを生む」3つのコツ』(齋藤敦子/角川書店)