特集番外編2 2014年8月号

特集番外編2

公開日:2014/7/5

特集番外編2 2014年8月号

 

フジファブリック メジャーデビュー10周年!

編集M

 今月号の『ダ・ヴィンチ』第2特集は、「メジャーデビュー10周年!フジファブリック特集」。
 弊誌久々の音楽系の特集でございます。

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 さて、読者の皆様にはフジファブリックをご存知ない方もいらっしゃると思います。
 ざっとになりますが、少し説明させて下さい。

 彼らは2004年のメジャーデビュー後、その強烈な個性で瞬く間に音楽ファンを虜にしたロックバンドです。
 変幻自在で刺激的。研ぎ澄まされた音を紡ぎ、それでいて歌詞からはノスタルジーを呼び覚ます。
 「音楽」を言葉にするのは難しいけれど、「枠」のない楽曲に出会えるバンドがフジファブリック、とここでは表現させて下さい。

 デビュー後、音楽シーンで怒濤の駆け上がり続けてきた彼らでしたが、2009年冬、大半の作詞作曲を担ってきたギターボーカル・志村正彦さんが、急逝。
 残された3人は2011年、ギターの山内総一郎さんをボーカルに据え、再始動を遂げます。

 特集リードにも書きましたが、重鎮のボーカルの死に、バンド解散の選択、さらにはインストバンドとして進む道もあったはずです。
でも彼らは歌うことを選んだ。志村さんの歌を、そして彼らが新たに紡ぐ「フジファブリックの曲」を。
 メジャーデビュー10周年を迎えた今年。フジファブリックの軌跡を振り返るとともに、様々なクリエイターの創造を喚起させる、彼らの楽曲と言葉の魅力に、今こそ浸りたい。
 皆様浸って下さい!

 ……という企画を組ませて頂きました次第でございます。

 特集内の10年間を振り返るインタビューでは、長時間のご取材時間を頂き、じっくりお話を伺いました。
 過去に弊誌で志村さんにご執筆頂きましたコラムも、再掲載させて頂きました。

 また、トリビュート小説企画では、フジファブリックの曲『銀河』からイマジネーションして頂き、佐藤友哉さんに同タイトルで短編をご執筆頂きました。
 こちらぜひ『銀河』を聴きながら読んで頂きたいです。
 編集部の20代の後輩くんは、作品を読んで「フジファブリックを初めて聴いた時を思い出して、胸がいっぱいになった」と、深夜に熱いメールを何故か私に送ってきました(笑)。

 そしてトリビュートマンガでは山内さんのご希望で、宮崎夏次系さんに『LIFE』を描いて頂きました。宮崎さんのカラー使いの美しさったらば。先生大好きです!(告白)

 さらに本好きなメンバーの皆様に、本の話も伺いつつ、対談ではマンガ家 大橋裕之さんがご登場。ほか、奥田民生さん、又吉直樹(ピース)さん、小山宙哉さんなど著名人や作家からのご寄稿など、企画盛りだくさんにお届けしております!

 さて、大変恐縮ながら、私は昔から洋楽好きでフェスにちょいちょい足を運ぶ人間ではあったものの、2011年に初めてフジファブリックのアルバムを購入しました。

 “何故3人で再始動する決断に至ったのか?”とのインタビューでの問いで、ベースの加藤さんは「フジファブリックを僕らが続けることで、新しいリスナーの人が、志村君の曲に出会うきっかけになるかもしれない」と答えてくださいました。
 まさにそんな人間がここにいて、今回の特集を担当させて頂いてるんだなぁ……と思います。
ですから、そんな思いを繋げられるように、この特集がきっかけで、少しでも新しいリスナーが増えて下されば幸いです。
 本もさながら、音楽との出会いもご縁かなと思います。

 私は担当した小説のサイン会の札幌で、『LIFE』という曲を初聴きしました。
 この曲を聴く度、会場からの帰り道、少し残った雪道をそっと歩きながら、何度も訪れたはずの街の喧騒がキラキラとみえたあの日の夜を思い出します。
 あの一瞬は、私にとって大切な一欠片で、恐らくこれからもこの曲を聴く度思い出すんだろうなぁと思います。(そしてまた本を作りたくなるんだよなぁ……)
 山内さんが「フジファブリックの曲は聴いて下さる皆さんのもの」と仰っておられましたが、彼らの歌には、聴く側に寄り添ってくれる優しい隙があるようにも思います。

 11月には武道館ライブがあります。また、今月には新しいシングルが出ます(アニメ『アオハライド』のEDテーマですよ~)。
 ぜひ一度フジファブリックの音に触れてみてください。
 「何年経っても思い出してしまう」そんな音楽に、きっとそこで出会えると思います。

 最後に、数々の答えにくかったろう質問にも真摯にインタビューに取り組んで下さったメンバーの皆様、ご協力頂いたスタッフの皆様、そして志村正彦さんに感謝申し上げます。

 それでは! 読者の皆様、ぜひぜひ音楽を聴きながら、今回の特集をお楽しみくださいませ!