プロ野球12球団のファンクラブに10年間入会した男によるファンクラブ通信簿

スポーツ

2014/7/5

 プロ野球は応援するファンがいて、成り立っている。各球団はどれだけファンに恩返しをしているのだろうか? 10年前から12球団すべてのファンクラブに入会し、そのサービスを分析したという長谷川晶一氏(12球団ファンクラブ評論家)。60万円超を投資し、そのサービスを徹底比較したのが『プロ野球12球団ファンクラブ全部に10年間入会してみた! 涙と笑いの球界興亡クロニクル
』(長谷川晶一/集英社)だ。果たして、いちばんファンを大切にしている球団はどこなのか。長谷川氏が採点した2005‐2014ファンクラブ通信簿を基に検証してみよう。

5位 中日ドラゴンズ
 落合監督時代から「勝利至上主義」などと揶揄されたものだが、「パノラマ席ご招待」をはじめファンクラブの特典・サービスは実に豪華。そして特筆すべきは、世界の宮崎駿デザインのキャラクター「ガブリ」の存在だ。同書によると“大の中日ファンであるスタジオジブリ・鈴木敏夫プロデューサーが口説き落とした”のだとか。

4位 千葉ロッテマリーンズ
 「TEAM26」をコンセプトに、ファンクラブ改革のトップランナーであり続けるロッテ。地元企業とのタイアップイベント、特典の復刻版ユニフォーム、ロッテリア試食券など、さまざまな手法でファンを魅了している。2009年に配布された会員証で自チームのスペルを“LOTE”としてしまった珍事件もあったが、それも御愛嬌。ロッテファンは寛大なのだ。

3位 東京ヤクルトスワローズ
 長谷川氏がファンであることから、「外野自由席5枚」の特典が評価されランクイン。しかし、その特典も今は廃止に。“出川哲朗が「ファンクラブに入らないとヤバいよ、ヤバいよ」とPRしているが、そもそもヤクルトファンクラブ自体がヤバい”と同書でも愛ある警鐘を鳴らす。怪我人に苦しむスワローズだけに、ファンを元気にする取り組みが期待される。

2位 読売ジャイアンツ
 豪華女性向けグッズ特典など、女性ファン獲得に熱心なのがジャイアンツ。選手が女性を接待するイベントは記憶に新しい。シャンパンを注ぐ長野久義がホストに見えてしまった。しかし、同書が評価していたのが“震災時の対応”。中止になった試合に招待された会員に、丁寧な書面と記念品が贈られたそうだ。まさに「巨人軍は紳士たれ」なのである。

1位 埼玉西武ライオンズ
 ファンのニーズに耳を傾け、他球団の良い点はすべて模倣する西武がナンバー1に。同書が“革命”と評するのが、2007年の取り組み。1000円以上の会費の値下げと特典にグローブをつけたのだ。この大盤振る舞いは、松坂大輔の入札金60億円から捻出されたもの。球団の努力ももちろんだが、松坂を大いに称え、MLB・ニューヨーク・メッツでの活躍を祈りたい。

注目の球団 横浜DeNAベイスターズ
 10年間の評価は最下位だった横浜だが、親会社がDeNAになり一変。2014年はナンバー1の評価を受けている。最近、BEAMSとのコラボ商品がネット上で「ベイムス」などと呼ばれつつも話題になったが、ファンクラブのグッズ特典もユナイテッドアローズとのコラボなど充実している。これからもっとも幸せになれるのは横浜ファンかもしれない。

 同書の評価はあくまで個人の見解であり、ファンクラブに限定したものであるが、その視点は実にユニークだ。選外の球団でも、最近ブームの「カープ女子」で話題のカープをはじめ、個性的なサービスは多く存在する。「勝利こそ最高のファンサービス」という考えもあろうが、プロ野球は魅せてナンボ。同書を熟読し、違った一面から各球団の魅力を探ってみるのも、また一興なのである。

文=関口宏(Office Ti+)