第151回「芥川賞」は柴崎友香『春の庭』に、「直木賞」は黒川博行『破門』に決定

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/21

第151回芥川賞・直木賞(日本文学振興会主催)が発表された。選考会は17日、東京・築地の新喜楽で開かれ、「芥川賞」は柴崎友香『春の庭』に、「直木賞」は黒川博行『破門』に決定した。

【第151回 芥川賞・直木賞】
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芥川賞

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『春の庭』

(文學界6月号)柴崎友香

文學界

離婚したばかりの元美容師・太郎は、世田谷にある取り壊し寸前の古いアパートに引っ越してきた。あるとき、同じアパートに住む女が、塀を乗り越え、隣の家の敷地に侵入しようとしているのを目撃する。注意しようと呼び止めたところ、太郎は女から意外な動機を聞かされる…。いつもの街の中に、気づかなかった「時間の流れ」や「暮らし」の歓びが浮かび上がる。

柴崎友香●1973年大阪府生まれ。97年大阪府立大学総合科学部卒業。短編「レッド、イエロー、オレンジ、オレンジ、ブルー」99年文藝別冊8月号「J文学をより楽しむためのブックチャートBEST200」でデビュー。

直木賞

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『破門』

黒川博行/KADOKAWA

破門映画製作への出資金を持ち逃げされたヤクザの桑原と建設コンサルタントの二宮は、資金回収のため、関西とマカオを奔走する。巨額の資金をめぐる争いはやがて組同士のトラブルに発展し、桑原にも絶体絶命の危機が。予想を裏切る展開の連続で悪党たちが凌ぎを削る大人気ハードボイルド・シリーズの最高到達点。

黒川博行●1949年愛媛県生まれ。京都市立芸術大学彫刻科卒業。過去に、『カウント・プラン』『疫病神』『文福茶釜』『国境』『悪果』の5作品が直木賞候補となったが、受賞ならず。今回、6回目のノミネートで初の受賞となった。

『破門』ブックレビューはこちら

■第151回芥川賞候補作品
戌井昭人「どろにやいと」(群像1月号)
小林エリカ「マダム・キュリーと朝食を」(すばる4月号)
柴崎友香「春の庭」(文學界6月号)
羽田圭介「メタモルフォシス」(新潮3月号)
横山悠太「吾輩ハ猫ニナル」(群像6月号)

■第151回直木賞候補作品
伊吹有喜『ミッドナイト・バス』(文藝春秋)
黒川博行『破門』(KADOKAWA)
千早 茜『男ともだち』(文藝春秋)
貫井徳郎『私に似た人』(朝日新聞出版)
柚木麻子『本屋さんのダイアナ』(新潮社)
米澤穂信『満願』(新潮社)