少女たちが「年上とのセックス」に惹かれる理由 ―彼女たちの「性のモラル低下」は本当なのか?

社会

2014/7/30

 うだるような暑さが続いているが、街中では夏休みを満喫する生徒や学生を見かける季節となった。「開放感」という言葉もよく聞かれる時季だが、未成年者にとっては様々な危険が潜むともいわれる。その中でも目立つのは、少女たちの性被害である。多くは報道で知る限りであるが、少女たちが被害者となった事件もたびたび報告される。

 事件に至る経緯は多岐に渡るだろうが、ひとつの疑問として浮かび上がるのは、少女たちがそもそもなぜ「セックスに居場所を求めるのか」ということだ。そこで、産婦人科の現場から未成年の性と向き合ってきた宋美玄の著書『少女はセックスをどこで学ぶのか』(徳間書店)にもとづき、少女たちの性交にまつわる実態を紹介していきたい。

 それではまず、同書で取り上げられた、財団法人「日本性教育協会(JASE)」による「青少年の性行動や性意識についての調査(青少年の性行動全国調査)」を見ていきたい。1974年より約6年おきに調査されており、現在の最新データは2011年の第7回調査である。専門学校生を含めない、中学生から大学生までの合計7640名から得られたデータであるが、同書で注目されているのは「高校生の性交経験率」である。

 1999年から2011年の3度にわたる調査では、男女全体の性交経験率は下がる傾向がみられたものの、2005年からは、女子の経験率が男子を上回っている。さらに、同調査では性交経験の細かなデータも取られており、初体験の年齢は、男子が「15歳(35.6%)」「16歳(26.6%)」「17歳(18.1%)」である一方、女子は「16歳(29.3%)」「15歳(28.6%)」「14歳(15.9%)」となっている。

 一見すると、初体験の年齢そのものに男女の差はあまりみられない。しかし、初体験の内容を記したデータには、男女の大幅なちがいがみられる。相手が年上か年下かという質問では、男子が「同い年(83.1%)」「年上(8.5%)」「年下(7.9%)」である一方、女子が、「同い年(56.7%)」「年上(38.1%)」「年下(4.8%)」となっており、男子と比べて、女子は年上との性交により初体験を済ませる傾向が強いと分かる。

 著者は、産婦人科医として少女たちと話す中で「“男の先輩”、あるいは“年上の男性”の影響力の強さを感じる」と語る。先輩は、教師や部活などを通した身近で親しみやすい理解者として、年上の男性は、学校とは別世界の「社会」を知る「大人」として意識されており、彼らに対する憧れや好奇心、親の代わりになるような「保護感覚」を求めて強く信頼を寄せている印象があるという。

 しかし、なぜ彼女たちは「年上との性交」に惹かれるのだろうか。その一因には、彼女の「家庭」の影響が潜んでいるようだ。

 同書では、活水女子大学の石川由香里教授が2011年に実施した、家庭と青少年の性行動の関連を調査した統計も取り上げられている。中学生と高校生の男女から得られたデータできわだつのは、高校生女子の意見だ。

 家庭が「楽しくない」という高校生の性交経験率を表したデータによれば、男子が約19%であるのに対して、女子は約37%と明らかな差がみえる。さらに、何らかの誘惑を受けた経験のある高校生のうち、家庭が「楽しくない」と回答した中での性交経験率は、男子が約10%であるのに対して、女子は40%を上回っている。また、出会い系サイトやSNSなどを通じて異性と対面した経験のある高校生の中で、家庭が「楽しくない」と答えたうちの性交経験率は、男子が約7%である一方、女子が約40%となっている。

 著者が接してきた10代の患者には、家庭に対する悩みや問題を吐露するケースも多かったという。加えて、親からの身体的ないし精神的な虐待、過干渉や貧困などの理由による家庭内不和が原因となり、他者とのつながりを通した居場所を求めて性交へ及ぶのではないかと分析している。

 性に対する未成年者の「モラル低下」を叫び、原因を彼女たちに求めるのはたやすいかもしれない。しかし、未成年者のセックスを問題視するのであれば、周囲の保護者や大人たちが子どもたちと正しく向き合っているかどうか、自分自身にも問いかける必要がありそうだ。それは、ともすれば「ゆとり世代」への批判にも通じるような気がしてならない。

文=カネコシュウヘイ

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