【史上初! ラノベの名言集】仕事で大切なことはラノベが教えてくれる!?

マンガ

公開日:2014/8/26

 毎日、同じ仕事の繰り返し。そんな日々で、ライトノベルを読む時間は仕事のストレスを忘れられる唯一の時間という人も多いのではないだろうか。『ラノベが教えてくれる仕事で大切なこと 明日を良くする知恵と勇気と力をくれる名言45』(市川スガノ:著、 久方綜司:イラスト/こう書房)はラノベ史上初の名言集であり、仕事に関する言葉を集めている。

 著者の市川さんは「(ラノベの名言を)ライトノベルのファンだけでなく、一般のビジネスパーソンにも届けたい。そして、この言葉たちをきっかけにして“子どもとオタクの読み物”だと食わず嫌いをしている“オトナ”にライトノベルの魅力を伝えたい」と言う。

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 ビジネスパーソンの心にも刺さる、ラノベの名言を一部紹介しよう。

■「死んだのならば、死んだなりの生き方がある」
犬とハサミは使いよう』(更井俊介:著、鍋島テツヒロ:イラスト/エンターブレイン)からの名言。

 主人公の春海和人は、“この世にあるすべての本を読む”という野望を持つ読書狂。和人は喫茶店で読書中、強盗に襲われ殺される。そして、なぜだか犬に生まれ変わることに。そんな和人は、彼が強盗に襲われた時に喫茶店にいた霧姫に「死んだ人間は、死んだまま」「人生はヤムチャのように甘くないのよ」と死んだことに念を押されてしまう。その時に和人が言うのが「死んだのならば、死んだなりの生き方がある」という言葉。肉体は犬だけど、魂は生きている。本が読めれば犬でもいいやと開き直る。

 市川さんは「何があっても人生は続きます。ならば、与えられた環境の中、与えられた条件で生きていくしかありません。生きていて失ったものは、生きていく中で取り返していくしかないのですから」と言う。その精神は仕事の通じるものがあるのではないだろうか。

■「少ない情報で無理やり商談をまとめようとすれば、必ず足下をすくわれる」
理想のヒモ生活』(渡辺恒彦:著、文倉 十:イラスト/主婦の友社)からの名言。

 ブラック企業に勤めていた山井善治郎は、ある日突然、異世界に召喚されてしまう。そこに待っていたのはカープァ王国の女王・巨乳美女もアウラ。彼女は唐突に善治郎に「婿」になってほしいと懇願ずる。しかも、することは子作りだけで、あとは遊んでいいと言う。つまりは、ヒモだ。善治郎はブラック企業に勤めていただけあって、アウラの「婿になって遊んで暮らさないか?」という申し出をすぐに疑ってしまう。その時に思い出すのは会社の上司が言っていた「少ない情報で無理やり商談をまとめようとすれば、必ず足下をすくわれる」という言葉。あまりにも少ない情報をさらに引き出すべく質問を繰り返し、ときにはカマをかけて真意を探る。そして、最終的には疑いながらも互いのメリットを感じてOKした。

 「メリットばかりに見えるうまい話が来たときに大切なのが、目立たなくされている相手側のメリットに眼を配る意識です。妙に情報が少ない話というのは、得てして相手側のメリットが隠されているからなのです」と市川さん。ウマい話には裏がある。仕事でもプライベートでも、ウマ過ぎる話は注意すべきだろう。

■「楽しさというものは、同じ状況を作ったからといって完全に再現されるものではないのです」
人類は衰退しました』(田中ロミオ/小学館)からの名言。

 人類が衰退し小さな妖精が暮らすようになった世界で、調停官になった「わたし」と妖精との交流を描いた作品。
「わたし」は、妖精たちがゴミ山にたった数日で妖精都市を作り上げて楽しそうに遊び、その数日後にはもぬけの殻になっているのを見る。同じゴミ山の妖精都市でも、妖精たちは、あるときは楽しそうに遊び、あるときはほったらかしでどこかに行ってしまう。そのことについて独白するのが「楽しさというものは、同じ状況を作ったからといって完全に再現されるものではないのです」というセリフ。これは、人間でも同じことが言える。心というものは、人によって違い、同じ人の中でも刻一刻と変わる。楽しいという感情は、環境を整えただけでは湧いてこない。

 市川さんは「ビジネス“成功”本で読んだようなテクニックが、実際の仕事に役に立たないのも同じことが原因でしょう。その本の著者と読者では、仕事で相対している人間、つまり“心”が違うのです。本に書いてあるマニュアルに従って、同じ状況を作り出しても、同じように“成功”が再現される保証はありません」と指摘する。見よう見まねで行動するのではなく、相手の心を考え、状況に合わせて柔軟に対応することこそがビジネスでは大事なのだろう。

 本書では他にも数多くの名言が載っている。ファンタジーだからと侮ってはいけない。リアルに通じる名言は数多く存在する。ビジネス本はもう飽きたという人は、ぜひ、本書を手にとってみてはいかがだろう。今までとは違った仕事での大切なことが見つかるかもしれない。

文=舟崎泉美