男子必見!女性のホンネがわかる“ぶっちゃけガールズマンガ”はコレだ!?

マンガ

公開日:2014/8/28

 女性の本音が知りたい……きっと男ならだれもが持つ願望だろう。それゆえなのか『臨死!! 江古田ちゃん』(瀧波ユカリ/講談社)や『miifa』(ひなきみわ/講談社)、『アラサーちゃん』(峰なゆか/ KADOKAWA メディアファクトリー)といった女性の本音が赤裸々に描かれたマンガの人気は高い。そんな女性の本音を描いた「ぶっちゃけガールズマンガ」とでも呼びたくなるようなジャンルで、恐ろしいほどのオーラを放つ作品を発掘した。その名も『ラブラブエイリアン』である。『誘爆発作』(講談社)で異才の名をほしいままにした女性マンガ家、岡村星が描くこの作品。キングオブオッサン雑誌『週刊漫画ゴラク』でおなじみの日本文芸社から出されているという時点で、なかなかの強者オーラをまとっている。しかも、「ぶっちゃけガールズマンガ」のなかでは異色な、いわゆる宇宙人ものである。いったい全体、どんな内容なのだろうとページをめくってみると……フリフリの服を着ている女性を「ヤリ逃げされても気付かない系の頭悪い格好」と言っているだと……こいつはかなり、レベルが高そうだ。

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 物語は、女性専用アパートに暮らす主人公・園美のもとへ、部屋の窓をぶち破りながら宇宙船が突っ込んでくるところからはじまる。宇宙船からは手のひらサイズの大きさしかない宇宙人が現れ、事故で不時着してしまい宇宙船の修復が終わるまでここに留まるしかないと話す。しかし、その理由が「ココ女性専用アパートだしなー」という、ポイントはそこかよ!とツッコまざるを得ないものだったので悩む園美だが、宇宙人のおかげで別れる寸前だった彼氏と仲直りできたことで、一緒に住むことに。いったい、園美の日常はどうなってしまうのか!?

 というような、ある種ありきたりな宇宙人ものの設定ではあるのだが、先述したとおり、ぶっちゃけガールズマンガであるこの作品のキモは、そんなところではない。というより、宇宙人はいることはいるのだが、ただそれだけ。スポットライトをあびるのは、便利な道具で登場人物たちの願いを叶えるときくらいである。宇宙人そっちのけで繰り広げられる、園美やアパートの他の住人たちの本音トークがこの作品のキモなのだ。

 といってもその本音トーク、他の「ぶっちゃけガールズマンガ」と同じか、もしくはそれ以上に、2次元で夢みがちになっている男の幻想を粉砕してくれる勢いと恐ろしさがあるのだ。たとえば、合コン会場でメンバー全員が宇宙人によって本音しか話せなくなったときなんか、もう、すごい。女性メンバーのひとりが発したセリフが「性欲だけで合コン来んな!! そんな抜きたかったら風俗行けよ!!」である。思わず「ひぃっ!」と鳴いてしゃがみこんでしまいそうになるほどのセリフだが、これなんかまだまだジャブ程度にすぎない。「優しくて生活力のある男としか タダで女とやれないシステムになってンだよ 日本は」といった耳の痛いセリフも出てくるし、合コンに参加した男メンバーのひとりを指して「この中で一番 精子濃そう」とかも言っちゃったりする。また、友人の彼の顔を「男性器みたいな顔」と表現したりもするのだから、恐い、恐いよ女性の本音!

 しかし、こういった「男に対する攻撃」なんてものはまだまだ序の口。本当に恐ろしいのは「女に対しての攻撃」だ。先述したセリフからもわかるように、同性相手なら遠慮は無用なのか、その牙を惜しみなくむき出しにするのである。

 たとえば、女性の登場人物のひとりが、男と良い仲になり、ベッドイン寸前までこぎつけたときなんて、宇宙人の技術で女性のいる風呂場の更衣室と繋ぎ、もう言いたい放題に言いまくる。「やっぱセックス控えた女は 性欲に目がくらんでるね」「盛ってんじゃねーぞメス豚」「まともじゃなくなってるね」といった言葉が行き交うのだ。

 またある女性は、仲違いになった彼氏と交渉の末、復縁することになるのだが、その瞬間「くっそつまんねえな」「マウントの取り合いくらい見れんのかと思ったら これだよ」である。また、女性がよくする髪型を指して「皆 雑誌見て 同じ髪型にするんだよね 何が もてパーマだよくっだらねえ ビッチパーマだよこんなもん」なんてセリフも登場する。

 さらに、作中では本音トークのひとつとして、一昔前の「脱毛」の話題も出てくるのだが、これなんかもう、男からしたら恐怖だらけである。まず40万もの大金が必要になるというだけでも驚愕だが、その脱毛方法もすごい。曰く「一つ一つの毛穴に電気通った針ブッ刺して 毛根焼くんだよ」「死ぬほど痛くて ピクピクするんだって」とのこと。いやもう、なんというか、稲川淳二の話の数倍怖い話だ……。

 こういった女性の全開の本音がモリモリ出てくるこの作品。読み進めるうちに、「もう現実の女性なんて嫌だ! 2次元にしか生きる道はない! あ、この作品も2次元だった」となり、2次元・3次元を通して軽い女性不信に陥ることは確実だ。

 なので、くれぐれも、『アオハライド』(咲坂伊緒/集英社)や『君に届け』(椎名軽穂/集英社)などに出てくる、ピュアでいて尚且つ、好きな相手からなにかしらのアクションを起こされただけで未だ「トクン……」と胸が鳴る女の子に慣れてしまっている人は、興味本位で手を出さないようにしよう。下手をすると、少女マンガを見る目自体が変わってしまう恐れがある。そういった危険を避けるため、『ラブラブエイリアン』を読むときは、あっちは理想、こっちは現実と、ちゃんと境界線を引いておくようにしよう。

文=オンダヒロ