年金、貯蓄、人間関係… 女ひとり人生が知るべき老後の知識

暮らし

更新日:2014/9/25

 最近、女子会で年金やら老後の話を持ち出す者が現れ、自分がいつの間にか年を重ねていたことに気づかされた。ふわふわと恋愛話に華を咲かせていた頃に戻りたいが現実は確実に迫ってきてくる。特に、独身で結婚相手も見つけられそうにないと自覚する者にとって、その現実は重い。いかにして女一人で老後に備えたら良いのだろうか。

 『38歳からの! 女ひとり人生 お金&暮らしの不安が消える本』(KADOKAWA メディアファクトリー)は、漫画家・かなつ久美氏(バツ1独身、もうすぐ50歳)&貧困系独身女子H(一般事務、38歳)が、先送りにしていた、これからのお金&住まいのこと人生のことを真剣に考えたコミックエッセイだ。ファイナンシャルプランナーでお金コンシェルジュの田辺南香氏からのアドバイスには納得させられる。この本を開けば、女一人での老後の生活に今からしっかりと備えることができるだろう。

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 老後、私たちはどのくらいの収入を得られるのだろうか。老後の収入といえば、年金。これから先、給付額の減少や給付開始年齢の変更(現在は65歳だが、67~8歳に変わることが検討されている)は考えられるが、全く給付されなくなるということは考えにくいと田辺氏は語る。公的な年金制度には職業や立場に関わらず共通の「国民年金」制度があり、老後、フリーランスや自営業の人は「老齢基礎年金」だけだが、会社員や公務員は「老齢厚生年金」や「退職共済年金」をもらうことができる。それはこんな計算式で求めることができる。

(2014年4月時点の水準)
・保険料納付期間◯年×1.932=老齢基礎年金支給額◯万円 / 年 
・平均年収◯万円×加入期間◯年×0.005481=老齢厚生年金支給額◯万円/ 年

 たとえば、企業に勤めて平均年収300万円で65歳まで働くとすると、加入期間は42年となり、保険料納付期間42年×1.932≒老齢年金支給額 約81万円 / 年、平均年収300万円×加入期間42年×0.005481≒老齢厚生年金支給額 約69万円 / 年 もらえることになる。これを12カ月で割ると、老後に支払われる金額は月々12万5000円。年金額は物価変動によって変わるため、あくまでも現時点での目安だが、具体的に知ることができれば、老後の生活に関しての改善点が明確になるだろう。「民間年金の方が得では?」と疑問に思うかもしれないが、月に12万円の年金をもらえる民間の保険に入ろうとすると、保険料は月々4万円以上の支払いが必要。

 また、「国民年金」は、原資として保険料だけでなく、私たちの税金も半分投入されているため、保険料を納めずに年金を受け取らなかったら、税金だけ払うことになり損することとなる。そして、もしも、保険料免除の手続きもしていない未納期間中に障害を追うと、障害年金がもらえなくなるという危険性も。公的年金だけでは満足な暮らしはできないかもしれないが、民間年金を選択するよりは遥かにメリットが多いと、田辺氏は語る。

 年金支給額が大体理解できたら、貯蓄の方法を考えよう。まずは次々、自分が何にお金を使っているかをチェック。飲み会でワリカンした場合もきちっと携帯などにメモを取り、「満足感のない出費」を見つけ出そう。ここで大事なのは、支出に優先順位とメリハリをつけること。例えば、付き合いだけで楽しくない飲み会はすっぱり断る。もし毎日、コーヒーを飲むことにしていてそれが大きな出費になっているのならば、全部やめるのは、辛いだろうから、1日2回を1回に変更。あとは、貯金箱を3つに分けるようにすれば完璧だ。1年以内に使う予定のお金を溜めるもの(貯蓄預金)、1年以上5年未満に使うお金を溜めるもの(定期預金)、5年以上先に使うお金を溜めるもの(確定拠出年金)。お金を区別することで無駄遣いが格段に減る。

 支出の中で大きなウェイトを占める家賃についても考えなくてはならない。老後の生活を考えた時にそれを少しでも減らすためには、地方都市での生活や実家暮らし、田舎での自給自足、友人達とのルームシェアなどと様々な方法があるが、どれを選択しようが大切になるのは、人間関係だ。老後に備えて今からでも同窓会には必ず参加し、頼れる友達を増やしておくことが大切だと田辺氏は薦めている。もちろん、親戚との関係性も大切。両親がしっかりしているうちに財産管理や介護についての考えを聞いておけば、いざという時、印鑑や通帳、権利書の場所やどんな介護をすべきか悩まずに済む。

 こうして見てみると、一口に「老後」といっても、様々なことを考えなくてはならないことがわかる。お金のこと、家のこと、両親のこと、仲間のこと…。だが、未来は今の延長線上でしかない。自分を見つめ直して、より良い老後を送れるように老後の自分に誇れる自分になりたいものである。

文=アサトーミナミ