宮沢りえ×犬童一心、織田裕二×池井戸潤、WOWOWの注目ドラマを見逃すな!

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2014/11/6

15年と8カ月のディテールを真摯に、ゆったりと【犬童一心監督インタビュー】

この世でいちばん大切なのは、愛するものたちと過ごす日常の輝き──。
マンガで、映画で、猫好きたちを魅了した『グーグーだって猫である』。
この秋、ドラマになって帰ってきます!

犬童一心
いぬどう・いっしん●1960年東京都生まれ。高校在学中より映画を撮り始め、広告制作会社勤務を経て映画監督に。2003年、田辺聖子原作の『ジョゼと虎と魚たち』で芸術選奨映画部門文部科学大臣新人賞を受賞。作品に『いぬのえいが』『ゼロの焦点』『のぼうの城』などがある。最新作『MIRACLE デビクロくんの恋と魔法』が11月22日全国ロードショー予定。

 あのグーグーにまた会える──一報を目にして、期待に胸を高鳴らせた人も多いことだろう。

 独特の詩情で多くのファンを魅了するマンガ家・大島弓子が、愛猫・グーグーとの出会いから始まる悲喜こもごもの日々を綴ったコミックエッセイ『グーグーだって猫である』。2008年には小泉今日子主演で映画化されたこの作品が、全4話の連続ドラマとなって蘇った。シリーズ構成と監督を手がけるのは、珠玉の映画版と同じく、犬童一心さん。

「映画を撮る前は、ストーリーマンガではないこともあって、正直、難しい題材だなと感じていました。でも、それを何とか映画にし終わったときに、『これ、もう一度挑戦したいな』と思ったんです」

 大学時代に自主制作した映画『赤すいか黄すいか』(82年)に始まり、これまでに『金髪の草原』(00年)、『つるばらつるばら』をモチーフとした『メゾン・ド・ヒミコ』(05年)と、数々の大島作品を映像にしてきた犬童さん自らが提案した、今回のドラマ化。さまざまな要素を盛り込みながら一本の作品に仕上げる映画の作業とは異なり、あくまで「詰め込まない」ことを心がけたという。

「コミックエッセイは、やはりディテールの物語なんですよね。大島さんの原作は猫と自分に起こったことをしっかり見つめていて、そこから、日常というものがすごく魅力的で大切なんだということが伝わってくる。テレビドラマならば、それをもっとゆったりと表現できるんじゃないかと思いました」

 さらにもう一点、犬童さんの心に掛かっていたのが、主人公である少女マンガ家・小島麻子のキャスティング。

「宮沢りえさんと仕事をしたい、という気持ちがずっとあったんです。市川準さんの『トニー滝谷』(05年。原作は村上春樹の短編小説)に出演された宮沢さんが、すごく魅力的で。僕は市川さんに映画の世界に連れて来られた人間だったから、いつか宮沢さんをあんなふうに撮ってみたい……そう思っていて、ある朝、起きたときに『そうか、グーグーを、宮沢さんで撮ればいいんだ』と(笑)」

 得難い主役は、その期待に見事に応えた。ゆったりと回されるカメラの向こう、大島作品にしばしば登場する吉祥寺の井の頭公園を、宮沢さん扮する小島麻子が歩いていく。行き交う人々。きらめく池の面、そこに落ちる木々の影。それだけで「観ていて飽きない」光景は、まさに犬童さんが目指した、日常の輝きそのものだ。

「少年マンガの登場人物たちって、必ず未来のために闘ってるんですよね。そのために成長するとか、何かを勝ち取るということが描かれているわけですが、少女マンガはそうじゃない。とくに大島さんの作品を読んで僕が『すごいな』と思ったのは、その日のことだけが描かれていること。そうか、今日を未来のために使うんじゃないんだ……って。それはきっと、大島さんが団塊の世代の人で、未来というニンジンを鼻先にぶら下げて走る男性社会のやり方にうんざりしていたこともあるんじゃないか、と僕は思っているんです。ただ、彼女はそれと闘ったりはせず、ひたすら目の前で起こることを見つめているんだと」

 映画公開後の11年、愛しい日々にはついに終止符が打たれ、原作は終了する。「大島さんとグーグーが過ごした15年と8カ月、その年月を描かなくてはと思った」という犬童さんも、その場面を最終話に収めている。切なくとも、作品への、そして作家のまなざしへの敬意が溢れ出す瞬間を、あなたが見届けること──それこそが、小島麻子とグーグーの物語の、真の“復活”なのだろう。

グーグー場面とコマ

好きな場面は?と訊ねると、悩んで頭を抱えてしまうほどの原作愛。「ひとつ挙げるなら、ホームレスと出会う場面(原作2巻)ですね。ふたりが抱える、同種の孤独がシンクロしている」と犬童さん。演じる田中泯の、静謐な佇まいに心打たれる。
©大島弓子/KADOKAWA 角川書店

 

グーグースチル

連続ドラマW『グーグーだって猫である』

毎週土曜22:00〜放送中  ※11月8日(土)2:10〜 再放送スタート WOWOWメンバーズオンデマンドにて配信中

ある日、手から手へ託された子猫の命が、彼女の日々に灯をともす――。作家と編集者、アシスタントをはじめ、触れ合う人々とのやりとりも丁寧に描かれる。「煎じ詰めれば、猫と家と吉祥寺の話なんですよね」と笑う犬童監督。そのささやかな、けれども確かなぬくもり。

シリーズ構成・監督:犬童一心/脚本:高田 亮/音楽:高田 漣/出演:宮沢りえ、長塚圭史、黒木 華、中岡創一(ロッチ)、市川実和子、菊池凛子、岩松 了、田中 泯ほか

グーグーメイン

作品を愛する皆さんに、喜んでいただけるように

主演・宮沢りえ

 普段、あまりマンガを読まないのですが、大島先生の、小説を読むように物語が進んでいく作品はとても新鮮でした。そんな作品を愛するファンの方々が「面白い」と思ってくださるような作品にしたいな、と思いました。

 犬童監督とは、以前からご一緒したいと思っていました。映画に撮られた作品を、もう一度ドラマでというのは、すごいエネルギーだなぁと。脚本も、ひとつひとつの言葉に温度があって、すっと心に溶けていくので、掘り下げがいがある脚本だと思いました。

 キラキラとした日常が流れていく一方で、アーティストとしての葛藤や苦悩がある。それを乗り越えて素敵な作品が生み出されるのだという過程を、ちゃんと届けたいという気持ちで臨みました。ぜひ、ご期待ください。

 

グーグー書影

『グーグーだって猫である』(全6巻)

大島弓子 角川文庫 各520円(税別)

愛猫・グーグーとの出会いから別れまでの15年余りが、ほぼ等身大、原寸で描かれたコミックエッセイ。愛すべき同居猫たちの様子に加え、自身の闘病体験や引っ越しによる生活の変化をも克明に綴った原作からは、愛するものを、過ぎゆく時間を、ただ見つめることの“ありがたさ”を感じずにはいられない。

キャットニップ書影

『キャットニップ』(1巻)

大島弓子 小学館 1200円(税別)

『グーグー〜』以降の猫たちとの日々を描いた待望の続編は、犬童さん曰く「ほとんど、猫の叙事詩」。年月を重ねた猫たちとの暮らしには、否応なしに老、病、死が忍び寄るが、それを生き物すべての宿命と受け止めるかのごとく、淡々と物語は続く。作家・大島弓子の凄みに、あらためておののき、打たれる。

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