外見印象の専門家が明かす! 人の心理に基づく必勝就活メイクのコツとは…!?

食・料理

更新日:2014/11/12

 就活生のための「ヘアメイク付き就職活動写真プラン」を扱うフォトスタジオが増えている。厳しい就活戦線を勝ち抜くべく、エントリーシートで重要なプレゼン材料のひとつとなる証明写真を、プロの手で魅力的につくりあげるのが目的だ。短時間で勝負を決める面接は、どうしても“外見印象”が人の心に強い影響を刻み込む。証明写真は一度撮れば何度でも使えるが、しかし、面接時のヘアメイクはそうはいかない。

 そこで今回ご紹介するのが、これまでありそうでなかった“外見印象”の専門家かつヘアメイクアーティストであり、池坊短期大学教授の寿マリコ氏による就活メイクのレクチャー本、『好印象で面接に勝つ! 就活メイク講座』(寿マリコ/ミネルヴァ書房刊)だ。ヘアメイクやスキンケアの基礎知識はもちろん、第一印象の大きな要素となる美髪をつくるスカルプケア法、“外見印象”がもたらす心理的な効果やその対策までレクチャーされている。学生だけでなく、ふだん自分の印象に悩む社会人女性にもおすすめできそうな内容だ。

advertisement

■面接で得する就活メイクの代表例

 まずは面接官に「この人と一緒に働きたい!」と思わせる、面接で得する就活メイクの代表例を紹介しよう。就活メイクに必要な条件は次の5つ。(1)清潔感がある、(2)健康的である、(3)明るい印象、(4)熱意、(5)誠実さが伝わること。健康的な肌色づくりで明るさを演出し、眉や目元はキリッと見せてやる気や熱意をアピール。血色のよい頬と上がった口角で人の心を惹き付ける。

 ちなみに下のふたつは、NGバージョン。同じモデルながら、素顔(左)のままだと顔色が悪く不健康に見え、暗い印象を与えて損をしてしまう。では、顔を華やかにハッキリつくればいいかというと(右)、それではTPOに対するわきまえのなさを感じさせ、信頼性に欠ける印象を与えてしまうのだ。

 本書の前半では、面接で得する就活メイクの具体的なやり方をステップをふんで丁寧に解説し、さらに後半では業界別の就活メイクバリエも提案している。たとえば、金融関係なら誠実で信頼感のある印象を大切にしたストレートな眉、保育や教育関係なら明るく快活な印象を強めるためにチークやリップで演出。エアライン系の場合は親しみやすく女性らしい印象を意識して目元は優しく、口角は上げ気味に仕上げる、といった具合いだ。

■目の錯覚を応用した眉メイク

 注目したいのは「就活メイクの理論と方法」の章だ。ここではまず顔の長さと骨格から、自分の顔の個性を分析。それをふまえて、ビジネスシーンという他者との関係の中で“どのような自分をメイクで表現するのか”を戦略的に考え、就職希望先にとって必要な人材であると思われるようなメイクを行うことを提案している。

 そして実際に、人に視覚的・心理的に作用する錯覚を上手に活用するために欠かせないのが、メイク技術だ。用いる化粧品の色や質感も重要だが、メイクの表現要素には、幾何学錯視や対比という、目の錯覚による視覚現象が大きく関係している。たとえば眉の形ひとつ、アイシャドウやアイラインの入れ方ひとつで、目元の印象はガラリと変わる。

 たとえば“対比”と呼ばれる目の錯覚を応用した眉メイクの場合は、人は周囲の対象物に影響されて、物の大きさや広さを本来とは違って判断する場合があることに着目している。下の図(1)は眉を長めに描き、図(2)は眉を短めに描いているのだが、両者を比べてみると、(1)の長めの眉は目が小さく見え、(2)の短めの眉は目が大きく見える。さらに、顔全体のバランスから見ると、(1)の長い眉は大人っぽい印象を、(2)の短い眉は若々しい印象を与えてくれる。

 上記のセオリーをふまえると、目元を若々しく、目をパッチリと大きく見せたいときには、眉を短めに描くのが正解だ。あるいは企業によって、今回は大人っぽいクールな印象で攻めたいと思ったら、(1)の長い眉でキリリと知的な印象に仕上げていく。このように目の錯覚を応用することで印象形成を自在にコントロールしながら、求める印象をメイクで演出していく。

 また本書はメイクにとどまらず、「好印象の面接マナーテクニック」の章もあり、美しい立ち居振る舞いやスーツの着こなし、さらには「ノックの音で連想される人物像」にまで触れている。面接時のノンバーバルコミュニケーションは聴覚を介しても行われ、面接室に入る際のノックの音も、印象形成に影響を与えるという。乱暴なノックはがさつさを、弱く小さければ自信のなさが伝わってしまう。適度で心地よいノックの音を心がけることでも面接がスムーズに展開されるため、どこの指を使ってドアを叩くとよいかまで具体的にアドバイスされている。

 すでに報じられているように、2016年の卒業予定者(現在学部3年生3年生/修士1年生1年生)から、就活時期の“後ろ倒し”が予定されている。短期決戦が予想され、早めの行動が結果を左右することになるだろう。本書で“好印象を与えるメイクや面接マナー”のポイントを把握し、“外見印象”に対してなんらかの戦略をもつことで、少しでも多くのチャンスをつかむ一助となることを願いたい。

文=タニハタマユミ