笑ってないあの子は離婚してる可能性大!? 卒アル写真で将来は分かるのか?

科学

更新日:2014/11/14

 写真の中の自分を見るたびに「こんな情けない顔だったっけ」と疑問に思う。SNSのタグづけは恐怖。写りの良い写真だけを共有したい。だが、撮られた写真すべてがアナタの未来を写し出すとしたらどうだろう。目を背けてばかりもいられないのではないだろうか。

 マシュー・ハーテンステイン著『卒アル写真で将来はわかる 予知の心理学』(森嶋マリ:訳/文藝春秋)では、人が見せる一瞬の態度を観察して、その未来をどのくらい予測できるかを検証している。見た目と性格の関係については、大昔からさまざまな研究が行われてきた。人相学の科学的な研究や外見に表れる性格の研究は、古くはギリシア時代にまでさかのぼるとハーテンステイン氏はいう。アリストテレスは相手の顔を見るだけで、「その特徴から性格を推測できる」と記し、それ以降、人相学は、盛衰を繰り返してきた。チャールズ・ダーウィンの時代には、尊ばれる学問になり、その後、似非科学と呼ばれるまでおとしめられたが、ここ数年間は、科学者のあいだでも、正当性が認められ始めたらしい。最近の科学的な研究では、人の顔や行動は、さまざまな意味で、人となりを明かしていることが明らかになったという。

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 たとえば、ハーテンステイン氏は、大学の卒業アルバムを何百枚と検証した。そこに写っている人の「笑顔度」を測定し、その後の生活を調べて見ると、20代前半から80代前半までの卒業アルバムの写真で満面の笑みを浮かべていた人に比べて、さほど笑っていなかった人の離婚率は5倍にのぼったという。

 さらに、より最近の研究では、1950年代初頭に活躍して、その後に亡くなった野球選手の写真を調べたという。笑っていない選手と、微笑を浮かべている選手と、満面の笑みを浮かべている選手という風に3つに分け、それから婚姻の有無、大学に通ったかいなかなどのさまざまな差異を調整。すると、満面の笑みを浮かべている選手は平均80歳と、他の選手たちよりも、長生きしていることが分かったという。それと対照的に微笑している人の平均寿命は75歳、まったく笑っていない選手は73歳。どうやら写真に満面の笑みで写るということは、5~7年寿命をのばす効果があるらしい。

 もちろん、写真だけで完全に未来が予測できるわけではない。だが、一般的に、写真で笑っている人は笑っていない人に比べて、結婚生活も順調で、長生きするという結果が出ているのは事実だ。

 なぜ、顔に表れた一瞬の感情で、その人の数年後の人生が予想できるのだろう。カメラマンの「はい、チーズ」という言葉に素直に応じているその素直さが、結婚生活における相手への素直さと相関しているというのか。ハーテンステイン氏は、写真の中で笑っている人たちは、より前向きに感情をコントロールでき、より幅広い社会や人とつながりを持っているのではないかと主張している。さらに、彼は、リーアン・ハーカー氏とダッチャー・ケルトナー氏の説を引いて、大学の卒業アルバムの写真で明るい笑顔を見せている女性は、表情が堅い女性より、統率力があり、愛情こまやかで、思いやりに満ち、社交的であることを発見したことを示している。また、別の研究では、フェイスブックの写真で笑っている人は、しかめ面の人に比べて、満ち足りた人生を送り、人とのつながりも豊かだという結果も出ているようだ。思いもしない出来事に直面した時、前向きで、多くの人に助けてもらえる人は、幸福な人生を遅れるということだろう。

 「丸顔より面長の人の方が、殺人事件の被害者になりやすい」。「童顔の女性は看護師や教師などの“人を助ける仕事”に就くことが多い」。「成功するCEOは顔の幅が広く、攻撃的な性格」…。ハーテンステイン氏が披露するのは、驚きの説ばかりだ。アナタも卒業アルバムに写った自分の写真を確認して見てはいかがだろうか。アメリカと違って日本で撮られる写真のほとんどは仏頂面の気もするが…。もし、その卒アルの中のアナタが笑っていなかったとしても大丈夫。これから撮られる写真でアナタの未来は変えられるに違いない。

文=アサトーミナミ