社会人なら知っておきたい「接待の黄金ルール」【アンケート:20代の半数「接待必要なし」、60代の全員「接待必要」】

暮らし

更新日:2014/11/21

 「つらい」「日本の悪しき風習」「癒着」「汚い」「金の無駄遣い」「気をつかう」「残業のひとつ」「ご機嫌とり」「面倒くさい」……。なんだかさんざんな言われようだが、これは何に対するイメージかわかるだろうか?

 これはダ・ヴィンチニュースが行った「接待・宴会に対するイメージ調査」(20代~60代までの男女100人にネットアンケートを実施)に寄せられた“接待”に対するイメージについてのコメントだ。もちろん肯定的なものもあるが、全体的に良いイメージではない。

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 上記のグラフは本調査の一部をグラフ化したものだが、20~30代は「接待は必要ない」と回答する割合が40~60代と比べて高く、やや苦手意識を持っていることが見てとれる。実は筆者もその一人で可能なら避けたいイベントだ。

 しかし、苦手といってもやらなければならないのが仕事。なんとかうまく乗り切る方法があれば、それに越したことはない。そこで、宴会コンサルタントとしても活動し、最近『マンガ・黄金の接待』(著:阿部花次郎 監修:篠原あかね / KADOKAWA メディアファクトリー)を上梓した篠原あかねさんに、接待が苦手な若手ビジネスマン(ウーマン)向けに“接待のコツ”を伺った。

 

酒が飲めないということが、接待の席上でメリットになることもある

 

篠原あかね

篠原あかね
1967年長野県生まれ。リクルートにて研修講師としての基礎を学び、金融機関等での役員秘書、ビジネスマナー講師を経て個人事務所を設立。自身の宴会幹事経験談を体系化した「愛される宴会部長セミナー」がメディアに取り上げられたことをきっかけに、『宴会を制する幹事は仕事も制す。』(スタジオタッククリエイティブ)を刊行。現在は研修講師の他、宴会コンサルタントとしても活動中。

――宴会コンサルタントになったきっかけは何ですか?

秘書時代、上司との飲み会の席上、羽目を外して大失態をしてしまい、自己嫌悪いっぱいで翌日上司に謝りに行ったんですね。そうしたら意外にも楽しかったようで、「君はこれからは宴会部長だ!」と宴会幹事を任命され、以降四半世紀におよぶ宴会幹事の始まりとなりました(笑)。

――四半世紀とはすごいですね(笑)。そこで宴会の真髄を学んだと

そうですね。せっかく飲み会をセッティングするなら参加者に楽しかったと満足してもらえる飲み会にしようと工夫を重ねていくうちに、「篠原さんが幹事なら飲み会に参加する!」という人が増えて、幹事をすればするほど人脈も広がり仕事もスムーズになりました。そこで宴会にマイナスイメージを持つ人や幹事を苦痛に思う人たちに、宴会の本当の意味と幹事をすることで得られるメリットを伝えることができればと思い、盛り上がる宴会のコツを伝授することにしたんです。

――アンケート結果にもあるように、最近接待が苦手な若手ビジネスマン(ウーマン)が増えていると思います。主な要因は何だと思いますか?

いくつか要因はありますが、大きく分けて2つの要因があると思います。

一つは接待に対するマイナスイメージ。「接待」=「賄賂」「悪だくみ」「たかり」などテレビドラマなどで描写されるシーンばかりが記憶に残っているのでは。確かに一部ではそのような場面もあるかもしれませんが、企業におけるコンプライアンス遵守が求められる現在、そのような接待は非常にリスクが高い。通常の接待で饅頭箱の下から札束が出てくることはまずありません。お土産が付く場合も数千円程度の少額なものですね。一般的に「接待」とは、取引先と良い人間関係を築くためのひとつの手段であり、お互いを知ることで良好な人間関係が築ければ、仕事でも良い関係を継続することができます。

二つ目は「面倒くさい」「気をつかう」「疲れる」。確かに気ごころ知れた仲間と飲むお酒に比べ、取引先という年齢も役職も立ち位置も違う人間と飲むのは気を使います。だから「疲れる」のも当然ですね。しかし、気ごころしれた仲間だって、出会った瞬間から何でも話せる関係になったわけではなく、それなりに時間を要したはず。その過程を経て、今の良好な関係があるわけですから、相手を十分に理解できていない接待相手に対して気を使うのは当然。「気を使う」のはお互いを知るための通過儀式のようなものなので、この儀式を通らずして「信頼」を得ることはできないと思います。

――「通過儀式」というのは面白い考え方ですね

つまり、仕事でもプライベートでも「相手を信用できるか」「自分を信じてもらえるか」が重要なんですね。「信用」を得るためにはそれ相応のエネルギーを費やす必要があることは皆さんも経験済みのはず。例えば、好きな異性を振り向かせるためだったり、付き合い初めの頃は、相手のことを知りたくてこまめにメールしたり電話したりとかなりのエネルギーを費やすでしょ(笑)

――なるほど(笑)。ところで最近はお酒が苦手な若者も増加傾向にあります。そんな人は接待の場でどのように振舞ったらよいのでしょうか?

「接待」=「酒を飲む」というアンケート回答もありましたが、決して接待は酒を飲むだけの席ではありません。酒が飲める飲めないは関係ない。繰り返しになりますが、接待は相手と良い人間関係を築くための一つの手段。相手を知り、自分を知ってもらうことが大切で、まずは相手ときちんと会話をすることが重要。相手の話をよく聴き、相手がどんな人物で何に関心を持っているのか、自社への期待は何かなど、よく観察することです。

実は酒が飲めないというのは接待の席上でメリットもあります。酒に酔うことがないので基本的に羽目をはずすことはありません。そうすると周囲への目配りも届きやすく、冷静に物事を見るだけの頭の働きは残っています。つまり、当日の観察・記憶係として素晴らしい役目を果たすことができるのです。酔っぱらって上機嫌で記憶を失くした上司から翌日、「あの時の話はどうなったんだっけ?」と聞かれた瞬間、即答できたらあなたの株は間違いなく上がりますよ。なので飲めなくても笑顔でたくさん会話をするよう心掛けましょう!

――不景気で接待交際費も削られがちです。低予算でもゲストを満足させるような接待テクニックはありますか?

「高額な接待」=「良い接待」ではないですよ! ゲストを満足させる接待とは、相手の嗜好や雰囲気などを分析し、予算内でそれに沿った店選びをすること。そして当日は楽しい時間と空間を共有することで「またこの人に会いたい」と思わせることが大切です。

人間には自分を認めて欲しい、知って欲しいという欲求(承認欲求)があります。相手をより知るために、可能な限り事前に情報収集・分析をして、どうしたら相手が喜んでくれるのか考えることから始めましょう。「自分のために一生懸命セッティングしてくれた」という幹事の努力は必ず相手に伝わります。それは接待の金額ではなく、当日の会話や目配り、気配りで伝わるものなんです。

伝われば必ず相手は笑顔になります。それを見て、自分の思いや努力が伝わったと自身も笑顔になれると思います。「良い接待」とは参加者全員が笑顔になる接待。予算が少ないからと渋々幹事をするのではなく、笑顔で幹事を引き受けてみましょう!

――ありがとうございました! お話を聞いているうちに接待したくなりました(笑)

  

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マンガ・黄金の接待

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