効率的?それともワガママ? 仕事のデキる中国人に学べること

ビジネス

2014/11/23

 出張先の中国で売り出されているかわいい鳥に見惚れる日本人サラリーマン。そこに中国人の売り子がやってくる。

「これはカナリア。可愛くてキレイな声で鳴くよ。いかが?」
「出張で中国に来てるから飼えないよ」
「大丈夫! 毎日このエサと水をあげるだけ」
「いえ…私は仕事であちこち移動しなきゃならないので…」
「ちょーどいいじゃん。カナリアはすぐなつくから寂しくないよ」
「はあ…」

 出張で中国を訪れた日本人に、不釣合いのペットを売り込もうとする中国人。とうとうサラリーマンは、売れなければエサ代がかかるから食べるしかないという彼女の口車に乗せられて、カナリアを購入してしまう。この中国人のしつこさたるや、お見事。そんな彼女が日本で働いたらどうなるのか。実際、このサラリーマン・ワタナベの上司が、この中国人女子・小鳳(シャオフォン)のたくましさに惚れ込みスカウトしてしまう。コミックエッセイ『中国人女子と働いたらスゴかった』(渡邊豊沢、小道迷子/幻冬舎)は、平凡な日本人サラリーマン・ワタナベが、中国人女子OL・小鳳の教育係を任され、彼女の衝撃的な発言・珍行動に驚かされ格闘する日々を綴る。

 日本人でも日々働きながら、「これは本当に意味があるのだろうか?」と思うことがあるだろう。例えば、毎朝就業前に行う掃除。汚れているならばわかるが、そうでもないから掃除のしようがなく、形ばかり掃いてみたり、ぞうきんをかけたり。でも、会社で決められたルールに私たちは従う。しかし、入社した小鳳はすぐにこれに反発。なぜホコリがたっていないデスクを拭かなければならないのか、と。なるほど、一理ある。確かに、自分の家なら、キレイな場所をわざわざ掃除したりしないだろう。まあ、それでも毎日掃除することによって、少しの労力で清潔が保てるという見方もできるだろうけれど。

 また、就業時間中に仕事をするのは当たり前だが、小鳳は自分の仕事がおわれば雑誌を読み出す。「何か仕事やってください。とりあえず今は勤務中だから」というワタナベに、「仕事をするふりをするの?」と返す。仕事を早く終えた分、退社するまでの残り時間は自分へのごほうびというのが彼女の主張だ。ワタナベはこれを無視し、翌日の会議資料をまとめるようにいう。有能な彼女はさっさとこの仕事を片付けて、お茶を飲みだす。そこでワタナベはさらに資料を3部ずつコピーするように頼む。しかし、時間はすでに退社時刻5分前。「コピーはまた明日」と帰ろうとする小鳳。「10分もあればできる」というワタナベに対し、「この時間になって仕事を頼むのは計画性がない」と、彼女は再び主張する。言っていることに間違いはないだろう。しかし、和を重んじる日本人であれば、「自分のことしか考えてない」と周囲を敵に回すこと必至だ。ところが、小鳳は違った。なぜなら、彼女は言うだけのことをやってのけるからだ。

 台湾、韓国で値引きしても売れない旧製品の在庫をどうさばくか。「中国は?」という部長の声に、「私に任せて」と小鳳が名乗りを上げる。ワタナベはできっこないとタカをくくるが…。

「馬社長、ひとつ内緒の情報をお伝えします。大きい声では言えませんが…(ごにょごにょ)」
「ふ~む」
「この最新情報、社長にしか言ってない。社長は自分の兄のような存在。よい情報はもちろん社長に一番先に言います」

「まだ二回しか会ってないのに…」と、同行したワタナベは歯が浮いてしまう言葉に半分あきれ気味。ところが、馬社長は在庫品を全部ほしいと言い出す。「社長はいい買い物をしました」とすかさず合いの手を入れる小鳳。いったい彼女は馬社長に何を話したのか。ワタナベが聞くと、「この製品はもう生産しない」と伝えたという。「そんなことを言えば、余計買ってくれないのではないか」と言うワタナベに「もう生産しないは、もう買いたくても買えないということだからよけいに欲しがる」と彼女は話す。

 さらに、彼女は値引きするどころか一割高く見積もっていた。「“値引きする”=“売れない商品”と思われるから、一割高く見積もった」と平然と言ってのける。日本人にない価値観と度胸で、彼女の営業は成功を勝ち取るものだから、上司からの評価は上がる一方。その結果、いくら彼女の言動が非常識と思えても、何も言えなくなってしまう。

 日本人にはない中国人のパワフルさ。その通りにマネをすることはなかなか難しい。でも、周囲に遠慮し過ぎて損ばかりしている…という気持ちがあるなら、仕事をしているときだけでも彼女たち中国人になったつもりで行動してみると、新しい道が開けるかも?

文=佐藤来未(Office Ti+)