リボ払いは危険!? お金のことをきちんと理解するための3ステップ

暮らし

更新日:2014/11/28

   

『「世界標準」のお金の教養講座』(泉正人/KADOKAWA 角川学芸出版)

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 30万円のブランドバッグを買うとき、あなたは月々6000円払いの「リボ払い(月々定額払い)」を勧められました。どうしますか?

「月々6000円なら払える、買っちゃおうかな?」とすぐに思ったあなたは反省しなくてはいけない。「お金」のことをもっとまじめに考えなくてはいけない。

 なぜなら「お金」に対して正しい知識を得ることは、経済的にも心理的にも豊かな将来を手に入れることにつながるからだ。

 『「世界標準」のお金の教養講座』(KADOKAWA 角川学芸出版)の著者・泉正人氏は、人生をよりよくするために「お金」のことをきちんと学び、理解することが大切だと言う。

 そのために、相即不離の3つのステップを提唱する。「信用」「価値を見極める能力」「両面思考」だ。

■信用

「信用」は、社会生活における最も大切なことだ。人間関係においては言うまでもなく、単なる金属や紙切れである「紙幣」が、経済活動のツールとして成立するのも「信用」がベースにあるからだ。

 成績の良いスポーツ選手が高額な年俸提示を受け、結果が出なければダウン提示を受けるのは、選手の能力への「信用」に基づくものだ。

 正社員や公務員のローン金利が安く、収入の不安定な筆者のような自由業者の金利が高い(泣)のも「返済能力」への「信用」による。

 また「お金は人物を映す鏡」という言葉があるように、「お金の遣い方」を見ればどんな人かがわかるし、その遣い方も「信用」に関わってくる。

 お金を視点で結果を見ると物事の本質が見えてくる。すなわち「お金は信用を可視化したもの」というわけだ。

■価値を見極める力

 「お金=信用」の概念を理解したら、次のステップは「価値を見極める力」だ。

 ポイントとなるのは「価値(バリュー)と価値(プライス)の差」だ。

 例えば、あるブランドのバッグが、店舗で買うと10万円、ネットオークションだと7万円だとする。

 どちらも本物だとするならば、商品の価値は7万円だと言える。それでも、差額の3万円をプラスしてブランド店で買うのなら、その「価値」は何なのか? 保証書? 高級店で買う満足感? ニセモノではない安心感? それが何かが問題ではない。重要なのは、あなたは「10万円の品と10万円を交換したわけではない」と理解することなのだ。

 これを分かった上で、お金を賢く使うために「品物を見て値段を当てる」訓練をすることをオススメする。

 買いたいものがあったら、値札を見る前に、自分で「値段を想像」しよう。値札の数字が想像より安ければ「お買い得」だし、高ければ「割高」なのだ。「自分が何に対してお金を払うのか」を知ることが「価値を見極める力」なのだ。

■両面思考

 そして、最後が「両面思考」。これは文字通り、物事を多角的に見ることだ。そこで出てくるのが、冒頭の「リボ払い」の話だ。

 あなたは、30万円のバッグを買うときに、月6000円の「リボ払い」を選択しますか?

 リボ払いとは、毎月あらかじめ決めた額をクレジット会社に支払う方法だ。例えば、毎月6000円を支払うと決めれば、その月にいくら買い物をしようと、決済日に払うのは6000円だ。

 一見すると、月6000円しか払わなくて済むのは支払いが楽そうに見える。

 だが「カード会社」の視点で見ると「手数料や利子を1円でも多く長く払わせ続ける」システムであることがわかる。

 あなたが20歳で、30万円のバッグを年間利子率14.52%、月額返済額6000円のリボ払いで購入したとすると、支払い回数は「78回」となる(計算式などの詳細は本書を読もう)。

 78回÷12カ月=6年6カ月。つまりあなたは26歳まで、30万円のバッグの代金を払い続けることになるばかりか…なんと、最終的に支払う手数料込みの総額は「46万3319円」!? 金利手数料だけで、バッグの代金の半分以上…約16万円も払うことになるのだ。

 カード会社は30万円を建て替えただけで、16万円以上も儲かる。もはや、あなたは「リボ払い」を選択しようとは思わないだろう。

 「両面思考」の重要性がわかってもらえたはずだ。

 そして、これらはお金のやりとりだけではなく、人生のあらゆる局面にも当てはまることだ。人との信頼関係の中で生き、価値を見極めて生き、両面…相手の立場でものを考えて生きる。

 お金の話は、貸し借り、遣い方、貯め方、etc.…ともすると生々しくて敬遠しがちだが、正面から向き合うことで、本質が見えてくる。

 お金を「人生」に置き換えると…あれ、やっぱり本質が見えてきた。反省します。

文=水陶マコト