結局中学なんて頼りにならない!? 中学に行かずに高校進学を果たした元不登校生徒の話

社会

公開日:2014/12/2

   

 中学校って本当に必要なのだろうか?

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 不登校や学校に行くのが苦手だった人、もしくは現在も不登校の人は、学校が必要か一度は考えたことがあるだろう。

 そんな筆者も中学時代は不登校の1人だった。不登校児だったゆえに、同じ不登校だった人の話を聞くことも多い。しかし、話を聞いて思うのは中学校に行かなくても、なんとかなるということ。高校で社会に復帰する人もいれば、大学で、就職して、と復帰する時期はバラバラだが、みんなそれぞれ普通の生活を送れているように感じる。

 本当に中学って必要なのだろうか? そんな疑問に答えてくれるのが『中学校なんていらない。』(青木光恵/KADOKAWA メディアファクトリー)だ。本書は、マンガ家・青木光恵さんの娘 ちゅんこさんの話である。ちゅんこさんは不登校になり、そこから中学校に頼らず高校へ入学した。本書に書かれていることは、元不登校児の筆者が読んでも非常にリアルなものであった。

■不登校になったきっかけ

 現在高校2年生の青木さんの娘 ちゅんこさんが不登校になったのは、ある男の子からのいじめがきっかけだった。
 ちゅんこさんは中1の夏に転校して以来、体調不良も重なり休みがちであった。そして2年になった時、ある特定の男の子から暴言を吐かれたり、殴られたりしたことをきっかけに全く学校に行かなくなる。
 学校に相談し、いじめた男の子と話し合うことにした青木さん。彼はその場では反省したそぶりも見せるが、相変わらず悪口を言い続ける。再び学校に相談すると、学校はAくんに問題があることを把握しながらも、ちゅんこさんに保健室登校をすすめる。公立校なのでいじめた方を学校に来させないわけにはいかないという学校に対し、青木さん親子は不信感を感じるようになる。

■担任から「入れる高校はない」と言われ

 病院に通ったり、塾に通ったりすることで完全な引きこもり状態は回避していたちゅんこさん。
 塾に通うだけあって、高校進学への意欲もあった。しかし、進路相談の際に担任から言われたのは「ちゅんこさんが、入れる高校はないです」というセリフであった。そして、渡されたのは1校の通信制高校の資料。
 担任は内申がない、ちゅんこさんが入れる高校は1校しかないと言うのだ。そのことを塾で相談する青木さん親子。すると、内申のない子でも試験と面接だけでみてもらえる、オープン入試の存在を知る。

■結局学校が気にするのはその“メンツ”

 ちゅんこさんは、本命公立高校1校、滑り止めのA校、B校を受けることにした。
 しかし、中学から連絡があり、滑り止めはどちらか1校にするように言われる。理由は、中学から高校に向けて「こういう生徒が受験をしたいと言っているので、どうでしょう?」と言ったお伺いを立てるためだ。
 どちらにお伺いをたてても、両方の学校を受験する旨を伝えたうえで、青木さんは深く考えずB校に伺いを立てるようお願いする。しかし、数日後、中学校から「(お伺いの段階で)B校が入れてくれるそうなので、A校は受験しないで下さい」と連絡が入る。
 両方とも受験すると伝えてあったのに、A校を受験するなと言われ戸惑う青木さん親子。最後には学年主任からA校は無理だと圧力をかけられてしまう。いろいろと悩んだ末、やはり、A校受験を決めたちゅんこさん。その時、学校側が発したのは「A校志望は困ります! B校にお願いしたのにうちの学校のメンツが…」というものだった。
 結局、ちゅんこさんはA校、本命校、両方に合格。本命校に入学し、今も元気に通っている。中学校の卒業式には行かず、卒業アルバムも開かなかったそうだ。

 中学校が必要か? それには明確な答えはない。しかし、必ずしも行かなくてもいいのではないかという風に感じられる。ちゅんこさんの場合、塾などに行かず学校だけの話を鵜呑みにしていたら、今のように毎日イキイキと学校に通うこともなく、通信制高校という望まない選択しかなかったのだから。

文=舟崎泉美