ネットで話題! 「あたらしいみかんのむきかた」挑戦してみた【画像あり】

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更新日:2014/12/4

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 最近、みかんの変わった剥き方が人気を呼んでいるらしい。トナカイ、サソリ、ヒトデ、ペリカン…。みかんの皮をバラエティ豊かな動物の形に剥いた画像が「なにこの芸術」「才能の無駄遣いwww」などとネットで話題だ。このブームの火付け役となったのは、芸術家で牧師の岡田好弘著の『あたらしいみかんのむきかた』(神谷圭介:イラスト/小学館)。この人気は留まることを知らず、シリーズ第2作やオリジナルDVDまで発売されている。

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「うさぎがむけたぞ!」
おかあさんは おどろきました。
「すごいわ、むきお。あなたはみかんのかわをむく さいのうがあるわ。もっとおむきなさい」
「ぼくむくよ もっとみかんをむくよ。」
なにか むなさわぎがする。そんな大晦日が はじまろうとしていました。

 実際に「あたらしいみかんのむきかた」シリーズを開いてみると、主人公・むきおが新しいみかんを披露しながら成長していく、なんともシュールなストーリーが展開していく。その中に、みかんの上下左右前後のどこに切れ目を入れれば良いのか、六方面から解説した図が掲載されている。皮を剥く方法は、この図に書かれている通りの線を、ボールペンでみかんの皮に描いて、ハサミやカッターで切り開くだけ。

 「こんな簡単に新しいみかんの剥き方ができるなんて! 写真に撮ってSNSに上げれば、人気者間違いなし…!」との邪心から私も実際に試してみたが、これが意外と難しい。それは、私が立体から展開図を予想できない超文系人間だからかもしれない。中学時代に解いた、「立方体を意味もなくちょん切ってその切れ目の図形を答える問題」とか、「立体の上を秒速×メートルで動く謎の点Pとかが作り出す図形を答える問題」が得意だった人は、みかんを剥く才能もあるのだろう。空間把握能力がない頭で線を書いていくと、どの線が一体どの線につながっているのかと混乱し始める。案の定、最初は大失敗。「見よ、みかんの皮がゴミのようだ」という事態に陥ってしまった。

ウサギ
「ウサギ」
最初は大失敗「見よ、みかんの皮がゴミのようだ」

 みかんを1日3個以上食べるのは胃の容量と栄養バランス的に厳しいので、なかなか多くの練習はできなかったが、毎日トレーニングに励むうちにだんだんとコツがわかってきた。大切なのは、真上からみかんをのぞいて、顔の位置を動かさないようにして図を書くこと。ミカンのへたを上から見た図から描いて、その後は、複雑なところから順番に、線のつながりに注意しながら書いていくと良い。間違えても線は、消しゴムで消せる! 次第に私の空間把握能力もレベルアップ! もしも、この本に昔出会っていたら、数学の点もアップしていたかもしれない。

イカ
「イカ」

ウマ
「ウマ」

 簡単なモノばかりだけでなく、ハイレベルなみかんの皮むきに挑戦する際は、本をみかんサイズに拡大コピーして切り取り、ミカンの六面に貼りつけてどういう風に描けば良いのか、間近で参考にしながら線が描けるようにした。そうすれば、ウマだって、イカだって、どんなに不器用でも根気さえあれば、思いのままに剥くことができる。

 さらに、本を読みすすめていくと、むきおくん曰く、「みかん以外のくだものを使えば、一年中作品を作ることができる」、さらに「マスクメロンやアボカドは、むずかしいので、おとなの人といっしょに作ろう」とのこと。そこで、アボカドに挑戦してみたが、アボカドの皮は、暗い色をしているので、手芸用のチャコペンシルやポスターカラーマーカーを使うと良さそう。皮も中身もみかんより繊細。切り抜く時には、皮も中身もより大切に扱わないと、破れてしまう。注意深く剥けば、みかんと同じように剥くことができた。

ウマ
「白鳥」
アボカドの皮で挑戦

 そもそもなぜ、このような本が誕生したのだろうか。岡田氏によれば、ある日剥いたみかんの皮が「さそり」に見えたことが全ての始まりだったという。そこからみかんの皮のどの部分もムダにしない、「みかんのむきかた」アートを完成された。彼に言わせれば、「みかんの皮は無限の可能性を秘めた小宇宙」。元々捨てられるはずのみかんの皮に価値を見つけて命を与えていくことは、「もったいない」という言葉が伝えられる日本の精神に通じるとも述べ、「今から後、このアートが日本の新しい伝統文化の始まりになればと思う」と強く期待している。

 日本の心がギュッと詰まった、みかんのむきかたアート。どんどん剥いて、SNSに投稿すれば、アナタも人気者間違いなし! ただし、友人に写真をドヤ顔で送りつけたところ「ヒマなの?」と心ない返信が返ってきたので、アートがわかる人を見極めてから公開することが大切なようだ。さぁ、このアートがわかる皆さん! みかんを楽しく剥いて、周りをアッと言わせよう!

文=アサトーミナミ