赤ちゃんプレイに、現代版花電車…気になるけど行きにくいフーゾクの実態とは

社会

公開日:2014/12/5

   

 きっと、世の中には、大きく分けて2種類の「フーゾク好き」がいるのだと思う。ひとつは、単純に性欲を満たしたい男。もうひとつは、これまで見たことのない、出くわしたことのないものを“肌”でパクつきたい男だ。『気になるけれど行きにくいフーゾクにばかり行ってきました』(彩図社)の著者・藤山六輝氏は、完全に後者のタイプのように思える。

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 金融機関で働いていたにも関わらず、フーゾクに嵌りすぎてクレジットカード3枚の借金が限度額まで達してしまった経験がある藤山氏は、「そこで起こるエキサイティングな出来事を、体感できるうちに身をもって体感するため」、フーゾクが大好きなのだそう。これまでに3ケタ以上のフーゾク店取材をしてきたというのだから、立派な“通”である。

 本の中身は、その期待を裏切らない。超熟女である64歳の女性とハメ撮りに及んだり、ステージの上で観客に見守られながらSM嬢の聖水を飲んだり、“赤ちゃんプレイ”でママの母乳を吸ったあとに、せっかくだからとオムツに放尿したり、北の大地ススキノで、“現代版花電車”こと“マン屁芸”(ポップコーンを詰めて、マン屁の風圧で飛ばす)を堪能したり、鶯谷で100キロの地雷女性と対峙したりと、まるでバキュームのように、次から次へと“フーゾク未開の地”を吸い上げていく。藤山氏の探究心と精力は、脱帽ものだ。

 かつ、国籍・年齢・性別・体型・顔立ちも関係なく、女性をリスペクトしている藤山氏の紳士な態度は好感がもてる。どんなシチュエーションにおいても、とにかく楽しんで、面白がって“対峙”する藤山氏。「まずは、やってみよう」と果敢に“山”を登ろうとした結果、時に亀頭をガリガリされてしまうことも。それすら、人のせいにすることなく「一応、1回はヌイたことだし、3000円3回転ならまあこんなもんだろうと思い、特に腹も立たなかった」とポジティブマインドに持っていく姿勢は見習いたいもの。なんて漢なんだ。

 とはいえ、この本にはあっけらかんとしたエロスのみならず、どうやら真面目なメッセージも隠されているようだ。エンディングに少し触れられているが、2020年に開催されるオリンピックに合わせ、特に都内とその近郊においては、規制や摘発が相次ぐと言われている。受け皿を作らずに規制したところで、下に潜るだけであり、藤山氏が描く「誰に対しても等しく愛情を与えてくれる」フーゾクにしか居場所のない女性たちは、この先どうなってしまうのだろうと、一抹の不安がよぎった。

文=日暮葵