なぜ人気? それでも僕らが“ギャル”に惹かれる理由とは

アニメ・マンガ

2014/12/20

 2014年はギャル文化にとって象徴的な年だった。

 2月の「EDGE STYLE」(双葉社)の休刊を皮切りに、4月には「Happie nuts」「小悪魔ageha」を発行していた出版社インフォレストが事業停止、そして5月には1995年創刊で、約20年にわたりギャル文化を引っ張った「egg」(大洋図書)までが休刊となり、ギャル雑誌界に衝撃が走る。その後も8月の「BLENDA」(角川春樹事務所)の休刊や、つい先日発表され話題となったギャルのカリスマ・浜崎あゆみの紅白落選など、彼女の言葉を借りれば、ギャル文化が“ひとつの終焉”を迎える形となった。

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「RANZUKI」の2008年2月号(左)と最新号(右)の表紙画像。
同じ雑誌かと疑うくらいのリニューアルがなされている。

 不景気や、SNSの隆盛で雑誌の発信力が相対的に落ちた、など理由はいろいろと考えられるが、「ギャルの清楚化」という流れが止めを刺したことは間違いない。数年前からギャルのキレイめへの関心が急上昇していることや、メイクの盛りが減っていることなどが一部で指摘されていたが、昨夏以降、この流れが加速したのだ。人気のギャル雑誌「Popteen」(角川春樹事務所)や「RANZUKI」(ぶんか社)などがこぞって宗旨替えし、全体の雰囲気は上品で清楚、黒肌ではなく美肌のナチュラルメイク、ヘアスタイルは黒髪ロング、 そしてナチュラル系ブランドで天然美少女を狙っていくことを押し出しはじめたのだ。

 街ではギャルをほとんど見かけなくなった。しかし一方では、このような時代の流れに逆行するかのように、いま“ギャル”を主人公にしたマンガ『おしえて! ギャル子ちゃん』(鈴木健也/KADOKAWA メディアファクトリー)が人気を集め話題となっている。11月22日に発売した第1巻は、売り切れの書店が続出、発行部数は11万部を突破した。

 同作は、Webコミックサイト「ComicWalker」で配信中の、女子高生のギャル子、オタ子、お嬢の仲良し3人組を中心とした日常系ショートコメディー。もともとは著者の鈴木健也氏がTwitterに画像投稿したことからスタートした作品だが、いまではComicWalkerの閲覧ランキングのトップに君臨し、総閲覧数は100万を超えている。

 

『ヴィンランド・サガ』の幸村誠氏をはじめ、
漫画家・イラストレーターにファンが多いのも同作の特徴

※上記の画像をクリックすると第1話が試し読みできます


 

 ギャルはオワコンではないのか? この逆転現象を不思議に思ったダ・ヴィンチニュースでは、4人の有名人に同作を読んでいただき「人気の理由」を考察してもらった。

 

評論家 宇野常寛の視点

「電車男」ブーム以降「オタク」が半ば愛すべき「いじり」対象としてカジュアル化したとき、そこには80年代にいた「濃い」オタクの姿は若い世代には少なくなった。要するにそれが一方では半ば過去のものになり、一方では薄まってカジュアル化したときに、「オタク」というライフスタイルは「あるあるネタ」として普及した。同じことが「ギャル」にも言えるのではないか。

たぶん90年代を席巻した「いかにも」なギャルはめっきり少なくなっている。けれど、当時から続くギャル的な完成は広く薄まってティーンの女子たちに共有されている。そんな世の中で、いかにもな「ギャル」のスタイルを取ることは微笑ましい「ネタ」として受け取られる。この漫画はそんな「ギャル」のカジュアル化を象徴する作品だといえるのかもしれない。

 

モデル・歌手 椎名ひかりの視点

偏見がなく、誰にでも同じ態度で明るいギャル子ちゃん! 見た目によらず性格もよいし、アツいし、意外とピュア…これぞ理想のギャル!こんなギャルなら皆友達になりたいと思う。

ひかりのギャルのお友達にも見かけによらない子が沢山いたので、うんうん!わかるわかる!って読めました。ギャルは見かけによらないのだ!!!こーやって 世の中、ギャル系の子も、オタクっぽい子も、お嬢みたいなきれいな子も、みんなみんな見た目の偏見しないで、オールマイティ仲良くなれたらいいな☆って強く思わせてくれる漫画。人は見かけによりませーん!中身を知ろう!

 

漫画家 新堂エルの視点

今時ギャルなんて時代遅れなイメージかもしれませんが、それは僕のようないい年をした大人にとって、わかりやすくドンピシャなイメージなんでしょう。作品内でオタ子が言うように、まさにヤリマンビッチギャル子なんです。

その先入観とギャル子の乙女過ぎる内面とのギャップに「なんてイイ子なんや…」ってつい声がでてしまう。そんな子が意外とおじさんくさい映画が好きで、僕世代の趣味と一緒と来たものですからもう…あざとい。かわいい。おっさんホイホイですよ。

ファッションや性に興味津々なギャルとおっさんが「解る」一面を持ち合わせて超カワイイ生物じゃないですか、ギャル子ちゃんって。存在そのものがズルイですよ。

※イラストは新堂エル氏が描いたギャル子

 

元ビリギャル 小林さやかの視点

ビリギャル公式サイト:http://birigal.jp/

ギャルの子たちって、確かに遊びも派手だったり下ネタが好きだったりしても、実際は意外とそういう経験が少ない子が多い気がします。

そして影でいちはやくそういう経験値が高いのが、地味なオタ子だったりするんですよね。だから私も、このマンガでいうオタ子ちゃんのような友達と話すのが新鮮ですごく楽しかったなあ。

ギャルって、見かけとギャップが大きくあって、人間っぽいっていうか、憎めないっていうか、私はやっぱり好きだなあ^^とこのマンガを読んで改めて思いました。

 

清楚ビッチに用はない。これからは処女ビッチの時代!
 

 各人が語るように、「ギャル子」の魅力はその派手な外見とは裏腹の乙女チックな内面、というギャップにあるようだ。このあたりを著者・鈴木健也氏は作品の中で巧みにネタ化している。

 一方、前述した「ギャルの清楚化」の影響で、“清楚ビッチ”なる言葉を巷でよく聞くようになった。清楚な顔立ち、服装で一見すると大人しそうに見えるが、実際は様々な男性と関係を持つ女の子を指す蔑称だ。対語として“処女ビッチ”という言葉があり、こちらは遊んでいそうに見えて、中身は真面目だったり純粋だったりごくありふれた普通の女の子を指している。

 「近年、アニメ作品の中でも処女ビッチ的なキャラクターを見かけるようになってきましたね」。アニメ業界関係者はこう語る。

 「アニメのヒロインには“ツンデレ”など様々なタイプがあり、時代の空気によっても変化していくものですが、『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』の安城鳴子をはじめ、『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』の由比ヶ浜結衣、『ダンガンロンパ』の江ノ島盾子、『悪魔のリドル』の寒河江春紀などは、“処女ビッチ”的な魅力をもったキャラクターと言えると思います。ただ、ギャル子ちゃんほど、理想的な“処女ビッチ”の体現である例はまだ少ないです」

 “ギャルっぽさ”というのは、肯定的にとらえれば「若さ」「自由」「エネルギッシュ」といったことを内包しており、そういったもののアイコンとして“ギャル”を捉えている層が男女を問わず少なからず存在している。そこに、「処女性」という最強の武器が加わった“処女ビッチ”は、『おしえて!ギャル子ちゃん』のヒットによってますます活躍の場を広げるかもしれない。

おしえて!ギャル子ちゃん

ComicWalkerにて100万PV突破の大人気WEBコミック『ギャル子ちゃん』が、連載時そのままにフルカラーで単行本化!
ComicWalkerでの連載分に加え、描き下ろしエピソードや加筆修正を行ったTwitter掲載版も、A5判でビッグに収録。
ギャル子ちゃん、オタ子、お嬢の三人が繰り広げる、ちょっと刺激的(?)なショートコメディをお楽しみください!

>『おしえて!ギャル子ちゃん』公式サイトはこちら <