ものを数えるときに“正”の字を使う理由 ―日本人のヘンな習慣を考える

ライフスタイル

2014/12/24

 年賀状を印刷しながら思う。メールで繋がっている人に、なんで年賀状出さにゃならんの? 親戚の子どもにお年玉を用意しながら思う。なんでピン札じゃないとダメなの? キリストの誕生日を祝った1週間後に、“仏教徒”が神社に初詣しちゃっていいの?

 気にし始めると気になる“日本人のヘンな習慣”。数え始めて、紙に数を記す。1、2、3、4…“正(5)”。そもそも“正”の字が“5”っていうのもヘンだよね?

もぐらと奈加ちゃんが日本人のヘンな習慣について考えてみた。』(もぐら/KADOKAWA)は、そんな日本人の習慣を紹介しながら、そのひみつに迫ろうというコミックエッセイだ。

 ある日、主人公・奈加ちゃんの小学校で学級委員選挙があり、投票数が黒板に“正”の字でカウントされた。すると、アメリカ人の同級生アニーが「アメリカと違う」と言った。


欧米式(上)と南米式(下)の“5”これはこれでアリ?

 欧米などでは、5を数えるときは、斜めに線を4本引き、最後に横線で貫く。南米などでは、□を書き、最後に斜め線を入れる。

 日本や韓国、中国で使われる“正”とは異なるが、どれも、5本の線で5という数字を表す“画線法”のバリエーションだ。

 なぜ日本では“正”なのか? “正”は中国から伝わったそうだが、江戸時代の日本では“玉”が使われていたという。

 “玉”は、そろばんを連想させるし、宝石や美しいものといった、縁起の良い意味を持っており、それが好まれたそうな。

 ならばなぜ“玉”は廃れ“正”になったのか? 墨で“玉”を書く際に、“、”の位置にわざと墨滴を落として数をごまかした人がいたとか、“、”が、元々の紙の汚れと紛らわしかったからとか、諸説あるということだ。

“画線法”という発想から見れば、数ある漢字の中で、“正”の字が、最も書きやすく、間違えにくいということなのだろう。

 またある日、今度はアニーが「うがいは下品だ」と言い出す。口臭予防などの「くちゅくちゅぺっ」は欧米人もやるが、「上を向いてガラガラペーッ」は、どうしても嫌だと。

 インフルエンザが大流行中の昨今、「うがい」は風邪予防の基本だし、ガラガラぺーッが下品かどうかなんて、考えたこともない人が多いだろう。だが、奈加ちゃん調べではうがいは、日本独自の文化らしいのだ。意外!!

“うがい”は“鵜飼い”を語源とし、平安時代には既に「喉まで入れた水を鵜のように吐き出す」習慣があったという。

 奈加ちゃんは、うがいは「神社の手水」から始まっているのではないかと仮説を立てる。

“水で浄める”という禊の思想は、うがいにも通じるとことろはあるが、手水は音を立てずに行うのがマナー。

 とはいえ、喉を鳴らさなくては喉の奥を洗えない。物理的な都合に加え、音を立てることに抵抗のない日本人の感覚、が「ガラガラペーッ」につながったのではないかと本書は1つの答えを提示している。ちなみに、ビールを飲んだときに、喉をゴクゴクやるのも、日本だけなのだとか。

 本書には他にも“ヘンな習慣”についての考察マンガとコラムが豊富に記されている。

「日本の車はなぜ白系が多い?」「大量のお土産を大勢に配る習慣は日本だけ?」「正座って本当に礼儀正しい座り方?」「マイ箸マイ茶碗は“一員となった証”?」など、言われてみれば「どうして?」と思うことだろう。

 その理由を考え、自分の習慣について振り返ってみるのも一興だ。そして、ぜひ考えてみて欲しい。

「年賀状って、まだ必要ですか?」

 仕事が山積みなのに、年賀状書くことも仕事の一貫みたいになってるのって、ヘンな習慣ですよね? ね?

文=水陶マコト