2015年の流行語大賞はこれで決まり?「女子力男子」の生態とは

社会

2015/1/5

 イマドキの男性にどのような印象をお持ちだろうか。「どうも、なよなよしている」なんてイメージを持つ者も少なくはないだろう。「流行語大賞」でも、2009年以降、若い男性の「女子化」を示す言葉が数多くノミネートされている。草食男子(2009年)、弁当男子(2009年)、乙男(オトメン、2009年)、イクメン(2010年)、日傘男子(2013年)…。マッチョで肉食な男性像とは違って、女性寄りの特性を持った男性が増加していることがわかる。確かに自分の周りを見渡しても、女よりも男の方が手作り弁当を持参しているし、リップクリームをぬったり、ネイルに気を使ったりする男もいる。いったい、世の中の男はどうなってしまったのだろうか。

 博報堂若者研究所の原田曜平氏は、『女子力男子 女子力を身につけた男子が新しい市場を創り出す』(宝島社)の中で、近年増加している、女子化しつつある男性を「女子力男子」と命名し、その生態について触れている。

「女子力男子」とは「従来、女性が行い、得意とされてきた領域の力が備わっている男性」のこと。「草食系男子」のように恋愛やセックスに消極的とは限らず、異性にモテるための武器として、女子力を身につけたタイプが多いのも特徴だ。男が昔より元気がなくなっているように見える原因は、かつての肉食的な男性とは対局の「女子力」を身につけた男性が増えている世の中の変化に人々がついていけていないためであると原田氏は指摘している。

「女子力男子など周りにいない」という方は芸能界やスポーツ界を思い浮かべてほしい。たとえば、速水もこみちさん。イケメン俳優として人気だったが、2011年から『ZIP!』のコーナー「MOCO’Sキッチン」で“料理上手”という女子力を活かして、オシャレな料理を作り、男女問わず、多くの者の憧れの的となっている。また、フィギュアスケートの羽生結弦選手。試合中に自分の得点発表を待つ間、ディズニーキャラクターのプーさんのぬいぐるみを抱いている姿は、「かわいい!」と女性に人気だ。2014年に現役を引退し、バラエティ番組で活躍している織田信成選手もそのひとり。最新のパンケーキのお店のチェックは欠かさず、美容ケアも怠らない様子は「女子力が高すぎる」と話題である。

 食材やキッチングッズにこだわって料理の腕をあげたり、化粧品をそろえて美容に励んだり、美味しいスイーツを食べに出掛けたり、面白い少女マンガ、可愛いぬいぐるみを集めたり…。従来、女性が「自分磨き」や「自分へのご褒美」として行っていたものに投資する男性はここ数年増えてきている。しかも、彼らを取り囲む女子たちも、男性の「女子力」の高さを高く評価しているらしい。

 もちろん、マーケティングにとっても、プラスの変化。「女子力」を獲得しようとする彼らは、そのための労力や出費は惜しまない、女性顔負けの消費者。こうした、「女子力男子」とよぶべき男子たちが消費の中心に躍り出つつある。

 では、いったいなぜイマドキの男性にこのような変化が訪れたのだろうか。一番には、経済的な理由によって男女役割が変化していく中で、「男らしさ」「女らしさ」という画一的な概念が薄れ、「男女平等」の機運が高まっていったことが原因だが、近年における大きな要因は、ソーシャルメディアによる影響が考えられると原田氏はいう。

 ソーシャルメディアの普及によって、多くの異性と関わる機会が増えてきた。それに伴い、普通の生活では得ることがなかった、女性の情報が入ってくるようになった。その情報を浴びる中で、それに興味を持ち出す男性が増えたのが一因といえるだろう。さらに、自らの「女子力」をSNSで披露すれば、評価もされる。その快感からさらに「女子力」向上を目指す者が増えているのかもしれない。

 雄々しい男性を目指すことが当たり前だった時代に生きてきた者たちにとっては、この変化はゆゆしき事態と捉えられるかもしれない。だが、男女共同参画が叫ばれながら、女性としての役割をなおざりにすることもできない現代を生きる女子にとって、「女子力男子」はどういう存在かを考えてみてほしい。仕事も家事もカンペキにこなさねばと肩肘を張っている女子にとって、自分と趣味が似ている男子は、友達感覚で接することのできる癒しの存在であるし、家事に協力的となれば、頼もしい存在でもある。これからますます、「女子力男子」が当たり前の世の中となっても何ら不思議はない。

文=アサトーミナミ