【プロの書評家が教える文章作法】文章センスをアップさせるための3つのポイントとは

暮らし

2015/1/11

 ライターという仕事をしていると、しばしば、「文章を書くのが得意なんですね」と言われることがある。けれど、これは大きな勘違いだ。もちろん、文章を書くことは好きだけれど、それを「得意」だなんて思ったことがない。PCの画面とにらめっこをして、頭を抱えたまま電源を落とすこともしょっちゅうだ。そんなライターは僕だけではないと思う。みんな、文章を書くということに難儀しているのだ。そして、それはライターのみならず、社会人や学生にだって言えることだろう。

 ライフハッカー[日本版]の書評家・印南敦史氏は著書『プロ書評家が教える 伝わる文章を書く技術』(KADOKAWA 中経出版)のなかで、「大事なのは、伝える文章を書くこと」だと言う。これはなにも、仕事として書く場合だけではなく、SNSやメールなどでも同様。無責任に書きっぱなしにするのではなく、「それを読んだ人がどう感じるか」が重要なのだ。

 そもそも、この印南敦史氏は、年間250本前後もの書評を書いている方。いわば、僕みたいな駆け出しライターの大先輩にあたる存在だ。そんな印南氏が、これまでの経験から培ってきた「伝わる文章を書くテクニック」を凝縮したのが本書。日常的に文章を書いている人間にとってのバイブルとも言えるだろう。

 そのテクニックはどれもこれも目からウロコもの。たとえば、書評用の書籍について、「隅から隅まで読む必要はない」のだとか。僕は本を読むスピードが遅く、ダ・ヴィンチニュースで取り上げる書籍を読むのに、非常に時間がかかってしまうことがしばしばある(それで入稿が遅れてしまうのだけれど…)。しかし、印南氏は、「熟読しなくてもポイントはつかめる」と言う。むしろ、「義務的な精読は、効率的なように見えてとても非効率的」とも。

 具体的にどうするのかというと、「必要な情報が向こうから飛び込んでくるように意識を集中させる」のだ。たとえば、時間に限りがあるなかで3Dプリンターについて調べたいとき、「3Dプリンター」という単語に意識を集中させながら本をラフにめくっていく。すると、膨大な文字量のなかから3Dプリンターに関する記述だけを抽出できるのだ。さらに、3Dプリンターにまつわる問題点にまで話を広げたいとしたら、「著作権」「安全性」「事故」などの単語も意識に加えれば、より広範な情報を得ることができる。印南氏は、この「単語抽出」を使って実際に書評を書いていることも多いというから、ぜひ参考にしたい。

 また、読ませる文章に必要なものはなにを差し置いても「センス(感性)」だと、印南氏は断言している。じゃあ、そのセンスはどうやって磨けばいいのか。氏は次の3つのポイントを挙げている。「読む習慣を身につける」「他人の視点に立つ」「好きな書き手の真似をする」。なかでも、「好きな書き手の真似をする」という行為には拒否反応を示しがちだが、誰かを真似た文章を書き続けていくと、やがて「真似ることに飽きたり、それを恥ずかしく感じたりするときが必ず訪れる」そう。その段階まできたら、真似ることで培ってきたものを自分らしく表現する方法を模索すればいいのだ。

 本書では他に、「引用と地の文とのバランス」「“てにをは”や“テンとマル”の用法」「漢字と仮名のバランス」など、基本ともいえる文章テクニックが満載だ。これを読めば、文章を書くことで頭を抱えるケースは減るはず…!僕も、この本を片手に、ダ・ヴィンチニュースの記事をもりもり書いていこうと思う。

文=前田レゴ