「女子アナは欲望がないフリをするのがお約束」 林 真理子×小島慶子対談!

文芸・カルチャー

2015/1/18

一昨年に出された初の人生論新書『野心のすすめ』がベストセラーに。常に野心を持ち、次々と夢をカタチにしてきた林真理子さんと、テレビやラジオでの率直で馴れ合いを嫌う発言が多くの人の支持を得ている小島慶子さん。ともに野心を持ち人生を楽しんでいる二人の夢の対談が実現した。

【小島】 女の人にとって「野心はないフリをするもの」という不文律がいまだにある感じがするんです。自分の体験を振り返ってみても、そういうしんどさって確かにあって「私は美人で目立ちたがり屋だから女子アナになりたいと思いました」って言うのはやはり難しいのでしょうかって、林さん『野心のすすめ』で書いてらしたじゃないですか。私、TBSの人事面接でそれ言ったんですよ。

【林】 ええっ。

【小島】「君、自分のこと才色兼備だと思ってるでしょ」って言われたので「ちょっと思ってます。20代の頃に世間からチヤホヤされたら楽しいんじゃないかと思って」って。

【林】 すごい。そういうこと言って、でも受かったんだ。当時の倍率ってすごかったんじゃないですか。

【小島】 そうですね。子どもの人数が多い世代だったので、1万人くらい受けて合格するのは3人みたいな。

【林】 そう聞くと、女子アナの内定を取り消された子が絶対死守してやるって訴えた気持ちがわかりますよね。

【小島】 あれもね、そろそろ本当のことを言ったらいいのに。「女子アナ」っていうのは、いまだに欲望がないフリをするのがお約束みたいな職業だから。

【林】 あんな花形の仕事を志望しておきながら「たまたま友達が応募しちゃって」とか平気で言うもんね。また男の人って、そういうのを信じちゃうから。本当に頭も良くて社会的な地位もあって素晴らしいなと思う男の人ほど、まさかってつまんない女にひっかかったりする。リトマス紙女って呼んでるんだけど、あれにひっかかったらバカだよっていう。

【小島】 男の人の「信じたいものしか信じない」、あのバイアスはすごい。どんなに強欲でも無欲なフリをする女にしか欲情しないのかって思っちゃいますよね。当時の私は全然そういうことがわかっていなかった。正直に話して試験に受かったんだからって入社した後も「もっと出たいな」とかそういうことを言いまくっていたら「生意気」とか「うざい」とか言われて全然起用してもらえない。ああ、失敗したなと。たとえ見え見えでも「野心なんてありません」って言い続けないと欲しいものが手に入らない場所だったんだなって。

【林】 今は女性ももっと賢くなって、フリがうまくなっていそうですよね。「有能なんだけど、アタシ、そんなにガツガツしていません」みたいな。そのエクスキューズとして結婚したり、子ども産んだりするでしょ。朝の討論番組に出てくるような、海外で学位とって、ITで起業して、おまけに美人で子どもも2人いるみたいな女性っているじゃないですか。ああいう人たちって「アタシ、本当にそんなにガツガツしてないんですよ。だって、ほら、ちゃんと家庭生活もやってるし」っていうのをすごく見せてる感じがするんですよ。

【小島】 そう言わないと「お前は野心丸出しの女だろ」って叩かれるんじゃないか。有能な女性がそういうエクスキューズを必要とするのだとしたら、世の中って、まだまだ男性優位、オヤジの理屈がまかり通ってるってことなんでしょうね。

取材・文=瀧 晴巳/『ダ・ヴィンチ』2月号「女の一生~楽しく生きる~」特集より

ダ・ヴィンチ

『ダ・ヴィンチ』2015年2月号

KADOKAWA メディアファクトリー
定価600円(税込) 電子版500円(税込)

・第1特集 女の一生~楽しく生きる~
榮倉奈々 豊川悦司 西 炯子
東村アキコ 篠原ともえ 林 真理子
小島慶子 仮面女子 高山なおみ、他
・第2特集 大好きな本に囲まれた素敵なくらし 本と住まう
犬山紙子 清川あさみ はあちゅう

林真理子さんと小島慶子さんの対談の続きは
『ダ・ヴィンチ』2月号「女の一生~楽しく生きる~」をチェック!