「ほめて育てる」が子どもをダメにする! 3歳までの子育ての失敗を100%取り戻す方法とは?

出産・子育て

更新日:2015/1/20

 子どもの失敗は、まず真意を理解する。ほめて育てる。そんなポジティブ育児法があふれるほど紹介されている。現代の親に求められるのは、子どもを受け入れる寛容性と忍耐。叱って厳しくしつけるのが当たり前だった前時代のおじいちゃん、おばあちゃんたちからの溜め息が聞こえてきそうだ。

さて、突然だが、あなたは次のいずれかに当てはまるだろうか。
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(子どもは)ほめて育てればいいと思い込んでいる
子どもの言った言葉にいちいちつき合う
子どもが傷つかないように配慮してしまう
弱音に対して励ましを与える
苦手な食べ物は好きなものと一緒に出してがんばらせる
「空腹でいるのはかわいそう」と思ってしまう
インターネット(携帯電話を含む)は「制限付きで大丈夫」と考える
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臨床心理士であり行動分析学者でもある奥田健次の著書『世界に1つだけの子育ての教科書―子育ての失敗を100%取り戻す方法』(ダイヤモンド社)では、なんと、上記のうち1つでも当てはまるのなら、子どもがダメになってしまうと警告している。

「三つ子の魂百まで」といわれるように、子どものしつけは3歳までとされる。確かに、3歳にもなると、子どもの特徴がわかりやすくなってくる。友達に暴力をふるう、好き嫌いが激しい、グズグズする。じゃっかん3歳の子どもを前に「子育てに失敗したのかしら」と絶望するのは時期尚早な気もするが、手を打たなければ、問題はさらにこじれる恐れもある。本書では、子どもがダメになる条件と同時に、3歳までの子育ての失敗は取り戻せると断言している。成功の可能性は100%である。ただ、そのための方法は、恐らく「ほめて育てる」育児法信者にとって非常に過激。ひとつ、本書の例を紹介する。

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【ケース】子どもが暴力をふるう、暴言を吐く、物を壊す

こんなケースに、あなたはどのような対処方法を考えるだろうか。

(1)暴力に対して暴力で返す(体罰を加える)
(2)その場しのぎの解決を試みる(「やめたらおやつをあげる」などと持ちかける)
(3)「どうしてそんなことをするの?」と、しっかりと話を聞いて、できるだけ子どもの気持ちを理解しようとする
(4)それ以外
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 本書によると、(1)は力に対して大人の圧倒的な力で封じ込めるだけなのでNG、(2)のような取引もNG、(3)は親としては丁寧な子育てをしているつもりでも、実際には子どもの言葉に振り回されているだけなのでNG。ということで、答えは(4)となる。

「それ以外」の方法とは。なんと「隔離する」こと。「タイムアウト法」とも呼ばれる隔離の具体的なやり方は、暴力・暴言などの程度で変わってくる。程度がやさしければ、その場から強制的に退場させたり、短時間どこかに閉じ込めたりする。目に余るようなら、病院や施設への入院や入所を勧めている。とくに8歳を過ぎている場合は、強く入院・入所を勧める、としている。

 確かに、社会において暴力行為などで刑事罰を受ければ、矯正施設への隔離となる。しかしながら、まだ子どもである。「隔離なんて」「かわいそう」「極端だ」という声もまたあるだろう。しかし、本書ではできるだけ小さいうちに、機械的に、例外なくこのルールを適用し、「暴力・暴言には隔離」と身をもって覚えさせたほうが、のちのち困ることがないという。

 ちなみに、隔離する前にやっていけないこととして「脅し」が挙げられている。「こんどやったら入院させるからね」というアレだ。では、隔離しても直らず、「また隔離するぞ」と言えないのなら、再び暴力が出たときにはまた隔離するのか。答えはYES。タイムアウト法を使ううえで最も大切なのは、本書いわく「やりたければどうぞマインド」。つまり、「やりたければ(言いたければ)、どうぞ何度でも」という態度を取ることなのだ。何度、隔離をすることになろうとも、決して親が根比べで負けてはならないという。寛容性や忍耐のかわりに、相当な覚悟が求められる方法といえるだろう。

「とにかくほめる」または「叱る」というルールを用いた育児法にも警鐘を鳴らしている。たとえば、夕飯前に宿題をやるという約束をことごとく破る子どもに、あなたはどのような対処をしているだろうか。本書によると、細かくルールを課し、親が警察官のように取り締まるようなやり方は、「ウソ」「言い訳」「他人のせいにする」「失敗を隠す」などの行動を助長させるのでNG。また、できたことをひたすらにほめるやり方は、裏返せば「できていなければダメな子」という脅迫でもあるということでNG。正しい対処法としては、小さなゴールをたくさんつくる「スモールステップの原理」の導入が挙げられている。

 世間に広く認知され、受け入れられている感がある育児法を真っ向から否定し、行動分析学からの科学的見地で明確に示される本書の育児法。読み始めこそ衝撃的かもしれないが、そのうち、ブレのなさと力強さに勇気が湧いてくるのを感じる親もいるはずだ。「今の方法で本当によいのだろうか」と悩んでいる育児世代に、ぜひとも一読いただきたい。

文=ルートつつみ