洋書のイチロー本が人気 そこで明かされる意外なトリビアとは

スポーツ

2015/1/21

 2005年シーズンの後、イチローは日本版「刑事コロンボ」とされるドラマ「古畑任三郎」に“イチロー”役で出演。物語の中で殺人を犯し、最後に逮捕される。

 イチロー本『The Ultimate Ichiro Suzuki Fun Fact And Trivia Book (English Edition) [Kindle版]』に書かれたトリビアの1つだ。この人気ドラマのイチロー出演は、当時大きな話題になったので、日本人は知っている人も多いだろう。しかし、アメリカ人で知っている人はそういない。試しにアメリカの友人に話してみたところ、「すごい! 犯人役? 悪役なんて演技力ないとできないのに!」と目を見開いて驚き、話がとても弾んだ。同書は、イチローの輝かしいキャリアからちょっと野球から離れた意外なネタまで、思わず人に話したくなるようなネタがコンパクトにまとめられている。

 今やアメリカでも偉大な選手として知られるイチロー。外野手として初めてメジャーへ渡った日本人選手だったが、いきなりリーグの新人王とMVPをダブル受賞したほか、首位打者、盗塁王、シルバースラッガー賞、ゴールドグラブ賞を総なめにした。いち日本人野手として過小評価されていたシーズン初めから一転、シーズンが終わる頃には「日本でプロとして十分に実績のある選手を新人賞の候補に入れるのはどうか」という論争の発端にもなった。

 アメリカ人をガツンと驚かせたメジャーデビュー年を送ったイチローは、その後も絶えず球史に残る記録を塗り替え続けている。あれから14年。今年42歳を迎える現役レジェンドは、アメリカでの殿堂入りも確実と言われている。引退の声も囁かれるなか、その軌跡を振り返りたいと考える人が多いのか、同書は昨年末からアマゾンの洋書におけるスポーツカテゴリーで常にトップ10にランクイン。ベースボールのカテゴリーでは1位をキープしている。(1月15日現在)

 こうした洋書のスポーツトリビア本は他にもたくさんある。アメリカのスポーツファンはデータや小ネタが大好きだからだろう。同書の著者マーク・ピーターズは、イチロー本の他にも、様々なスポーツやスター選手たちのトリビア本を出版している。それらのレビューを見ると、「興味深いことをたくさん知ることができた」と喜ぶ大人から、「息子も大喜びだった」と親子で楽しむ人まで様々。ニーズも幅広いのだ。

 球場でもスポーツバーでも、応援する(敵視する)チームや選手のネタ話に興じる人は多い。日本のように応援で鳴り物がないので、外野席の子どもも大声をあげて騒ぐだけでなく、野球にかんする話題で盛り上がったりしている。クリント・イーストウッドの映画『人生の特等席』に、イーストウッド演じる野球のスカウトマンの娘(エイミー・アダムス)と肩を壊した元ピッチャー(ジャスティン・ティンバーレイク)が、野球にまつわるトリビアクイズを出しながら熱く語るシーンがあったが、議論好きのアメリカ人は老若男女がネタ話でヒートアップするのだ。

おそらく多くの情報が公表されているのも理由の一つだろう。アメリカのメジャースポーツは膨大な成績データやニュースなどが公式サイトやスポーツメディアによって日々発信されている。たまたま観戦に訪れた日が、誰かの特別な一打だったり一球だったりする。大なり小なり毎日が、いろいろな選手の特別な一日だ。そうした情報を共有するほど、楽しみも深まれば人々の記憶にも残るというもの。

 同書によると、イチローが対戦したチームの中で「250安打以上した最初のチームはレンジャーズ」だが、「100三振以上した最初のチームもレンジャーズ」で、「ホームラン数2桁に達した最初のチームもレンジャーズ」なのだとか。なるほど、じゃあイチローはレンジャーズ相手には浮き沈みがあったんだな、いやいや“レンジャーズキラー”のイチローにレンジャーズの投手陣が意地を見せたに違いない、といった会話が盛り上がったかもしれない。

 著者はこれらのトリビアを、「職場の仲間と試合観戦する時のネタ話にしたり、友人や家族にひけらかしたりして使ってやってください」と述べている。ランク入りしているくらいなので、今もそうした会話がどこかで弾んでいるかもしれない。

文=松山ようこ