作者・大今良時が語る『聲の形』誕生秘話 自身の不登校が創作の原動力に【インタビュー】

マンガ・アニメ

2015/1/24

 雑誌に掲載されるや否や、反響を呼び多方面から注目を集めたマンガ『聲の形』(講談社)。この度、第7巻にて堂々の完結を迎えた。同作は「このマンガがすごい!2015」にて、オトコ部門1位を獲得するなど、連載開始から一貫して評価は高い。

 オリジナル作品で初の長期連載を終えた作者の大今良時さんにインタビュー。作品誕生のいきさつ、また自身の10代についても聞いた。

『聲の形』とは

 耳に障害を持つ転校生西宮硝子が、ガキ大将だった石田将也にいじめられるところから始まる。だが学級裁判で吊るしあげられた石田は、今度は逆にクラスメートからイジメられる存在へ転化していった…。

 この作品は、障害やいじめという難しい問題から始まる。けれど特殊な人にのみ当てはまる内容ではない。物語は、すべての人が経験する、子どもから大人への成長を丹念に描く。ときに痛々しく純粋で涙がこぼれる珠玉の作品である。

『聲の形』1~7巻(大今良時/講談社)

密かに温めていた連載の筋書き

 同名の新人賞受賞作は、まず「別冊少年マガジン」に掲載された。その数年後、「週刊少年マガジン」にリメイク版が読み切りで掲載。その時の反響は大きく、連載化された。連載は急遽決まったそうだが、戸惑いはなかったのだろうか。

「この作品は、18歳に描いた投稿作が元になっています。新人賞受賞後、冲方丁先生の小説『マルドゥック・スクランブル』のコミカライズの連載が始まりました。その連載中もずっと温めていた作品です。私のなかでは、はじめから連載をイメージしていたのです。ですから、読み切りが掲載後、連載がスタートした時も、西宮や石田と向き合う準備はできていました」(大今さん、以下同)

 18歳の時に描いた物語は、子どもの世界を的確に見抜いている。とりわけ印象的なのが、いじめのいじめ返しにより、中学高校とボッチで過ごした主人公石田が、「仲間」という存在を築いていく過程だ。

 誰でも一度は感じた「友だちってなんだろう?」という戸惑いと、思春期ならではの繊細な関係を率直に描いている。10代の心の揺れを丁寧に拾い上げるこの作品が生まれたいきさつとは?

「投稿作を描いたころは、まだ岐阜に住んでいました。いずれは上京する気でいたのですが、親の反対で引きとめられていたのです。でも私のなかで、いずれ東京に行くと決めていたので、当時の岐阜でしか描けないものを描こうと思いました。それが、身近な手話であり、学校生活であり、岐阜の風景だったのです」

▲いじめっ子だった石田将也が高校生になり、西宮硝子に謝罪する (C)大今良時/講談社

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