オーロラを生中継で見る!! 夢の扉を開いた男の14年6000kmの挑戦

ビジネス

2015/2/5

 宇宙と地球が織りなす光の芸術・オーロラ。見上げた夜空にたなびく光のカーテンは、自然現象の中で最も神々しい光景のひとつだろう。

 オーロラを見るためには、北緯65度~70度付近一帯=オーロラベルトと呼ばれる地域(カナダ・アラスカ・北欧・アイスランドなど)に行くのが一般的だが、旅費も時間もかかるし、現地では極寒に耐えなくてはならない。

 そんなオーロラを生中継で見られるHPがあることをご存知だろうか? その名も「Live! オーロラ」。ここでは、日本から6000km離れたアラスカの空を、24時間生中継で観察することができる。

 『僕がオーロラを世界にシェアできたわけ 世界初! 10万人で一緒に見られる生中継つくりました』(古賀祐三/誠文堂新光社)には、この壮大なプロジェクトの軌跡が記されている。

 1992年、当時大学3回生だった古賀氏は、古本屋で見かけたオーロラの写真集と、先輩に薦められた新田次郎『アラスカ物語』に強い感銘を受け、アラスカへ飛んだ。そこで目撃したオーロラ大爆発。大空全体に爆発的にオーロラが広がり、大地に光が降り注ぐ神秘の光景。機械工学を専攻してはいたが、目標が定まらず、悶々とした日々を過ごしていた古賀氏は、その瞬間「オーロラに関わる仕事がしたい」と決意し、人生を仕切り直した。

 猛勉強の末に大学院に進学。電機メーカーへの就職、独立・起業という経験を経た2001年、古賀氏は改めてオーロラを仕事として扱うべく「オーロラが持つ問題や課題」を分析した。すると3つのことがわかった。
(1)オーロラ市場は誰も開拓していない
(2)オーロラの本当の姿は理解されていない
(3)オーロラは人々にとってまだ遠い存在である
 市場を拓くためには、“身近に感じてもらい、リアルな姿を伝える”必要があると考えた古賀氏は「オーロラ専門のコミュニティサイト」を開設した。

 そのHPはオーロラを専門に研究している科学者たちからも評価され、交流が生まれる。紆余曲折の末の2004年、古賀氏は国の研究機関のプロジェクトにて、観測用の映像を生中継して一般公開する「オーロラライブ」を完成させた。高く評価されたが「オーロラライブ」はあくまで研究用映像であり、「オーロラの最大の魅力は観測体験にある」と考える古賀氏の理想とは違っていた。

 ならば自分でやってみようと、古賀氏は「オーロラライブ」で出会った最強のパートナーでエンジニアの國方多真紀氏と共に「オーロラ生中継プロジェクト」を起ち上げる。

 そこには数々の困難が待っていた。観測所やネット環境などのインフラのセッティング。オーロラの微細な光を捉え、神秘的なゆらめきをネットを通して日本に伝えるための超高性能カメラ。現地アラスカでの許可申請、etc…。

 だが、古賀氏の情熱は人々を動かし、心をつなぎ、2006年11月1日、webサイト「Live! オーロラ」オープンを実現させる。

 まるで映画のような怒涛のプロセスはぜひ本書を読んでいただきたいが、本書の最大の見どころは、古賀氏の「夢を実現させるための考え方」にある。

 自分が将来やりたいことのために「今できることをやっておこう」と実力をつけるために知識を蓄え、実戦経験を積んでおこうという明日への準備。

 「経済社会の中で生きている限り、お金の関係性を考えることは大切」だとし、オーロラをビジネスとして捉え続けたこと。

 その一方で、初めて見た時の感動を伝えるための映像やシステムに妥協をしないという、クリエイターとしての原点を持ち続けていること。

 自ら「ゴール」を設定し、そこに向かって夢を実現させるための冷静な見通しと惜しまない14年の努力が、6000km彼方の空と大地をつないだのだ。

 今、自分の夢を持っている人にも、夢を持てず迷っている人にも、就職活動への不安を抱いている人にも、ぜひ読んでもらいたい。

 本書には夢に向かい「努力を続けることの意味と意義」が強く示されている。

文=水陶マコト

■「LIVE! オーロラ