友達ができない、就職したくない、本当の自分がわからない…。現代人の悩みに、“ぼのぼの”がズバリ回答!

暮らし

2015/2/13

 生きることは悩むことだ――。どこかの哲学者が言っていそうな言葉だが、これは真理だと思う。他人と自分を比べ、将来に憂い、目の前の壁にぶち当たる。生きるとは、かくも困難なことなのか…。内閣府のとある調査によると、現代の若者の7割は、「自分の将来のこと」「お金のこと」「仕事のこと」で悩みを抱えているのだとか。そう、みんな日々悩んでいるのだ。

 データによると、悩みを相談する相手として一番多くあげられたのが、「母親」。次いで、「近所や学校の友達」「父親」と続くが、なかには身近な存在には相談できない、という人もいるはず。そんな人にぜひ読んでもらいたいのが、『ぼのぼの人生相談「みんな同じなのでぃす」』(いがらしみきお/竹書房)だ。

 本書は、2013年9~12月にかけて、ぼのぼの公式サイト「ぼのねっと」で募集された相談に回答したもの。驚くべきは、その回答者。なんと、いがらしみきお氏の代表作『ぼのぼの』の登場人物である、ラッコのぼのぼのをはじめとする動物たちが答えてくれているのだ。一見すると、「どうせおちゃらけた内容でしょ」と思いがちだが、それは間違い。動物たちの回答は想像以上に深く、人生について考えさせられるだろう。

 例えば、コミュニケーション手段の多様化に伴い、苦しんでいる人も多いであろう、「友達の作り方がわかりません」という悩み。ぼく自身もライターのくせに極度のコミュ障なので、非常に気になる問題だ。これに対しては、「自分のことを一番よく知っている“自分”が友達なのでは」と回答。さらに、「それでも友達が欲しいなら、まずは誰かを“友達”だと思うことからはじまるんじゃない」とのこと。

 前述の調査によれば、若者の半数が「一人ぼっちで寂しい」と感じているという。けれど、ぼのぼのの言葉を借りるならば、「自分といっぱいお話してみたら」どうだろうか。自分を深く理解し、自身を一番の友達とすることで、初めて他者ともうまく付き合えるようになるのかもしれない。

 また、「就職はなんのためにするのでしょう?」という悩みには、「就職する理由ってどうしても必要なのかな」との持論を展開。「やりたいことをやっている人ばかりではない」「世の中は、やりたくないことをやってくれている人たちで成り立っている」とズバリ。ほんわかした語り口ながらも、人生の真理を突くような回答に思わず脱帽してしまう。それに関連した、「なりたいものってどうやって見つけるんですか?」という悩みには、「なりたいものがある人の方がエライわけじゃないし、そのままでもいいんじゃない」とのこと。これは、就活に悩む学生必見ではないだろうか…!

 本書では他に、「父が交通事故で亡くなってしまいました」「娘が無職の男と付き合い始めました」というシリアスな悩みから、「猫のウンチが臭すぎます」「ラッコになりたいです」といったユニークなものまで、全部で50の悩みにぼのぼのたちが答えている。10代の学生から50代目前の会社員に至るまで、幅広い世代から寄せられた悩みは実に多種多様だが、読み進めると、「みんな悩んでいるんだ…」と安心にも似た気持ちを抱いている自分に気づくはず。

 ぼのぼのたちは決して説教じみた回答をするわけではない。それどころか、ときおり脱線して、自分たちの趣味の話で盛り上がったり、テレビについて考えこんだりしてしまう。けれど、それが心地よいのだ。まるで、「そんな悩みなんてたいしたことじゃないよ」と背中を押されているかのように。

 本書の最後を締めくくるのは、「本当の“自分”とは」という、哲学者でも回答に困ってしまいそうな悩み。そんな悩みに対して、ぼのぼのたちが出した結論は…本書にて確認してもらいたいところだが、ぼくはこの回答を読んで、「右往左往してきたけれど、いまの自分を少しは認めてあげよう」という気持ちになった…!

 悩みの尽きない現代人にとって、本書は砂漠のオアシスのような1冊だ。ぼのぼのたちは考えを放棄するわけでもなく、考えこみすぎてがんじがらめになるわけでもない。そのバランス感覚が、きっとぼくらにとって一番必要なものなのかもしれない。そんなことに気づかせてくれたぼのぼのよ、ありがとう!

文=前田レゴ