アニメ・マンガ

ボケ・ツッコミは必要ない!? 『磯部磯兵衛物語』仲間りょうインタビュー

『週刊少年ジャンプ』にまさかの浮世絵ギャグ!と、連載開始時から話題騒然の『磯部磯兵衛物語』。主人公はぐっだぐだな日々を送る青年武士。
まだデビュー2年目という仲間りょうさんに、その人気の秘密をうかがった!

「3位に選んでいただきありがとうございます。とても光栄です」

『週刊少年ジャンプ』はこれまでもギャグマンガの歴史を塗り替えてきたが、『磯部磯兵衛物語』は新たな金字塔たり得る超新星だ。仲間さんが編集部に持ち込みをしたのは一昨年のこと。早速読み切りで掲載され、その年の内には連載がスタートした。異例のスピード出世だが、何と当時、仲間さんはギャグマンガ自体描き始めたばかりだった。

「2012年に大学を辞めて、本格的にプロを目指しました。ストーリーマンガを描いていたんですが、1年ぐらい続けて何か違うなと。それで初めてギャグを描いてみました。ギャグマンガはずっと好きで。『ギャグマンガ日和』や『世紀末リーダー伝たけし!』『とっても! ラッキーマン』。やはりジャンプ系の作品です」

 それにしても、浮世絵の絵柄で描かれる青年武士・磯兵衛のぐっだぐだな日常。このアイデアはどこから来たのか?

「フワフワした記憶なんですが、東洲斎写楽とかの浮世絵を本で見ていて、ふとそれにセリフをつけたくなったのが始まりです。ギャグマンガって、この20年くらいボケとツッコミで成立していると思うんです。僕はそうじゃないものが描きたかった。ダラダラした主人公にすればボケもツッコミも必要ないことに気づいて、磯兵衛ができました」

 ボケ・ツッコミのないギャグ!素晴らしい慧眼。確かに『磯部磯兵衛物語』には笑いの押しつけは一切なく、じわじわとクセになる面白さがわき上がってくる。母上から必死で春画(エロ本)を隠し、畳でちょうどよくごろごろできる体勢を探り続ける。そんな磯兵衛は、現代の”若者あるある”とも通じる。

「江戸時代の生活は武士も休みが多くて、今の学生と感覚が近いんじゃないかと思いました。春画はネタをやり尽くしても、磯兵衛にはずっと持っていてほしい。だから無理矢理にでも描き続けます(笑)。単行本のカバーイラストにも必ず入ってます」

 江戸が舞台ではあるが、それはリアルではなく少しファンタジー。将軍も”徳川15兄弟”として全員登場しちゃうのだ。この兄弟、作品を代表するキャラとなった。とくに彼らの口ぐせ「処す?」は大人気だ。

「江戸の設定をガチガチに固めると苦しいかなと、僕が(笑)。ただ、ところどころ時代考証に合った描写を入れて、説得力ある世界観にはしたいと思っています。15兄弟将軍は連載前から考えていたキャラで、機をうかがって15話目に登場させました。でも、<処す?>は全然意識していなかったんです。ネームでは1回しか言っていなくて、原稿で何となく増やした。わからないものですね」

 面白キャラに面白エピソード、まだこの作品の魅力のほんの一端しかご紹介できていないので、ぜひ単行本をお手に取って笑っていただきたい。最後に今後の見所をうかがった。

「これまでも、徳川将軍のほか葛飾北斎や水戸黄門などが出ているんですが、これから幕末の人物も描きたいです。ペリーとかいろいろな人がいるから。楽しみにしていただければ嬉しいです」

なかま・りょう●1990年、沖縄県生まれ。2010年、第22回黒潮マンガ大賞入選。13年、『週刊少年ジャンプ』で読み切り版2話を経て『磯部磯兵衛物語~浮世はつらいよ~』の連載を開始する。現在、ガシャポン「がんばれ磯兵衛!!」も発売中。

磯部磯兵衛物語~浮世はつらいよ~』1~5巻 (仲間りょう/集英社)
花のお江戸に暮らす青年武士・磯部磯兵衛の夢は立派な武士になること。武士道学校に通い日々精進……することはなく、実際は励まず学ばずぐっだぐだな日々。宮本武蔵、葛飾北斎、水戸黄門など有名人も多数登場。連載開始時から話題騒然の浮世絵ギャグ!

■毎週笑っている。このマンガのために『ジャンプ』を読んでいるといっても過言ではない。『磯部磯兵衛物語』を読まない人は、「処す? 処す?」(19・女)
■誰にも真似できない絵とセリフのチョイスが最高!! 思わず吹き出す言葉選びには感服(17・女)

取材・文=松井美緒/『ダ・ヴィンチ』3月号「次にくるマンガ大賞2015」特集より

ダ・ヴィンチ

『ダ・ヴィンチ』2015年3月号

KADOKAWA メディアファクトリー
定価600円(税込) 電子版500円(税込)

・第1特集 次にくるマンガ大賞2015
これから売れてほしいマンガTOP20
本にしてほしいWEBマンガTOP10
神田沙也加 エレ片 松岡茉優
un:c M.S.S Project 仮面ライアー217、他
・第2特集 柳広司の世界
伊勢谷友介 亀梨和也、他



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