貴女は夫が自分しか知らなかったら、幸せですか? 面倒ですか? 『妻しか女性を知りません』作者インタビュー

マンガ

更新日:2015/3/10

――妻しか女性を知らない男性は性欲が弱いのだろうという先入観があったのですが、菅原さんは10日間夫婦生活がないともう落ち着かなくなり、妻を誘います。日本人夫婦の4割がセックスレスという調査結果もありますから、これはかなりハイペースなほうだと驚きました。一方、育児で忙しい妻は夫婦生活にノリ気じゃないだけでなく、「遊んできなよ」といい出す始末です。

 僕もいわれましたよ。え、ほんとに行っちゃうよ? 俺だって行けるんだよ? っていったんですけど……。でも僕は、キャバクラに連れていかれてもソファから落ちる男なんですよ。女性が近くにいると落ち着かないから、座る位置をズラして、でもさらに女性が詰めてくるから、またズレて……っていううちに、滑り落ちちゃった。もちろん、風俗にも行けなかったですね。某社の担当編集さんに誘われて、意を決して向かったんですけど、風俗店に向かう最中にいきなりドッキーン!! って不整脈が起きた。こんな状態で風俗遊びをしたら死ぬんじゃないかってくらい苦しくて、そのまま帰りました。あれきっと、神様が見てたんですよ。やめとけよ~、って僕の心臓に細工したんじゃないかな。

  • 石原まこちん

――あのー、とても失礼なのですが、風俗かキャバクラで女を侍(はべ)らすかっていう、菅原さんの〈遊び〉のイメージがちょっと貧困だと感じてしまったのですが……。

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 えっ、貧困ですか! それは僕自身がそうだからですね。妻しか知らない男ってそもそもほかの女性とつき合ったことがないから、何をして遊んだらいかがわからない。愛人がいる友人から温泉旅行が楽しかったと聞かされても、そのプロセスが無駄だとしか思えないんですね。ほかにも全裸ダンスを見てすげー楽しかった、大笑いした、っていう友人もいましたけど、耳を疑いましたね。女性の裸を見て笑えるってどういうこと? 僕なら女の人の裸なんてありがたすぎて、正座してガン見ですよ。ノリとか酔った勢いとかで過ちを犯すっていうのも、意味がわからない。妻しか知らない男は、こんなふうに殻を破れていないところがある。子どもなんですよ。

  • 石原まこちん

――本人に屈託がありながらも、まこちんさんも菅原さんもなんだかんだ幸せに見えます。

 妻が好きでたまらないけど、妻的には好かれすぎて疲れるときもある。でも、好かれすぎるっていうのも素敵じゃないですか。ひとりの人に集中していると、自分にとってもふたりにとっても、きっといいことがあると僕は思っていますよ。

 お話をうかがいながらも、「幸せそうだな」と「面倒かも」がやはりめまぐるしく入れ替わる。入れ替わりすぎて一緒くたになり、面倒と思える部分はいずれ幸せに取り込まれる。著者・まこちんさんの話から受ける印象が、そのまま菅原さんという男性の人生に重なってみえた。

取材・文=三浦ゆえ

⇒【連載】妻しか女性を知りません