『NARUTO』『忍者タートルズ』の次は…SとM両方の欲望を満たす、“女忍者モノ”がくる?

文芸・カルチャー

2015/2/27

 ニンジャ抗争で妻子を殺された「サラリマン」フジキド・ケンジが主人公、「ヤクザ」「ザイバツ」などステレオタイプな日本語や独特のスラング、忍者の設定がすごいと中毒者が続出した『ニンジャスレイヤー』。昨年末についに完結、海外ファンも多く、親子でも楽しめると絶大な人気を誇るジャンプマンガ『NARUTO』。強烈なビジュアルのヒーロー4人組による超大作映画『ミュータント・タートルズ』。共通点はどれも主人公が“忍者”ということ。だが、いま注目したいのは、“女忍者モノ”、くノ一が主人公のお仕事エンタメだ。どんなストーリーが待ち受けるのか、さっそくご紹介しよう。(DN編集部)

ツンデレ忍者がヘタレ上司のために秘伝の忍法解禁!

女とはつくづく厄介な生き物で、時には誰かを罵りたい日もあれば、罵られたい日もある。母性本能のままに甲斐甲斐しく誰かの面倒をみたい日もあれば、子どものように誰かに頼って甘えたい日もある。特に強気な女ほど、そんなサド的ともマゾ的ともいえる相反する2つの欲望を隠しているのではないか。橘もも氏著『忍者だけど、OLやってます。』は、女のそんなワガママ欲望にこたえてくれそうな作品だ。

この本は、「あした笑顔になれるお仕事エンタメ」をキャッチコピーで展開されたMF文庫ダ・ヴィンチの新たな文庫シリーズ「MF文庫ダ・ヴィンチMEW(ミュー)」の内の1冊。この本で扱われている仕事とは…なんと「忍者」、「くのいち」である!エンターテイメント性はもちろんのことだが、イマドキの「働く女子」ならば、OLとしてバリバリと仕事をこなす傍ら、好いた男のために自分の忍術を発揮してスパイ活動に励む主人公の姿に、グッとくるに違いない。敵に出し抜かれる危機一髪の場面もどこか艶かしくゾクゾクさせられる。男性にとっても、こんなツンデレな忍者がそばにいたら、とことん騙されてみたいと思うことだろう。

主人公は、どこにでもいるような地味なOL・望月陽菜子。代々続く忍者の家系に生まれ育った彼女は、忍者として暮らすことを嫌い、その忍術を封印していた。しかし、ある日、陽菜子は、彼女が働く会社の創業者の孫で上司の和泉沢創に「重要書類を紛失した」と泣きつかれ、長らく封印していた得意の変身術を駆使して調査を始めることになる。忍術を再び使い始めた彼女の前に立ちはだかるのは、幼なじみで許嫁だったドSなイケメン忍者・惣真…!? 陽菜子は自らに課した任務を遂行することはできるのだろうか。

この本の魅力は、男性の登場人物にある。たとえば、陽菜子が振り回される和泉沢創は、絵に描いたようなボンボンで、発言もどこか天然気味。30過ぎの男とは思えない鈍くさいヘタレ男である。「ぼくが相談できる相手なんて望月しかいないんだもん」と陽菜子に泣きつく姿に、彼女だけでなく読者たちも「あんた本当に、馬鹿でしょ」と罵りたくなることだろう。だが、母性本能とは厄介なもので、陽菜子は気が付けば彼のために動いてしまうツンデレっぷりを遺憾なく発揮。幼なじみのイケメン忍者・惣真に「里を裏切ってまで選んだ道がこれか」と馬鹿にされても怯むことなく、和泉沢のために動く。罵り罵られ合う、ヘタレ上司とのやりとりもドSな幼なじみとのやりとりも読んでいて、どうしてこんなに微笑ましいのだろうか。

「くのいち」が主人公という奇想天外なストーリーに自分がこんなにも惹き込まれてしまうことに驚く。女は誰もが「くのいち」。好いた男のためだったら、何にでも化けて、彼のためが喜ぶものを得ようとどこまででも尽くしてしまう者なのかもしれない。仕事に恋に夢に、悩める「働く女子」にぜひともオススメしたい作品だ。

文=アサトーミナミ