Fカップ編集者に“絶食男子”が翻弄され… ヘタレ小説家に明日はあるのか!?

文芸・カルチャー

2015/3/1

最近巷では、草食男子すら飛び越えた「絶食男子」という生き物が増加傾向にあるらしい。それなりの収入や容姿を持っていても、「彼女はいらない!結婚したいとも思わない!」「セックスとかしなくてもいい! ていうかオ●ニーで充分」と、はなから彼女作りや婚活というフィールドに乗らずに日々を過ごしていこうとする男子のことだ。

本作『もう書けません! 中年新人作家・時田風音の受難』の主人公・時田風音はまさにその「絶食男子」。……いや。官能小説の新人賞でデビューした風音の、デビュー第2作目のプロットをけちょんけちょんにし、その上で正論という言葉のナイフでもって風音を切り刻む。自分のもつ魅力や武器というものをそれなりに理解した上で、その武器のひとつ、Fカップバストさえも利用して風音を奮起(ダブルミーニング)させる担当編集者・百山に翻弄されているそのさまは、絶食というストイックなネーミングよりも、ヘタレ男子という情けない名前ぐらいがちょうどいいのだ。

時田風音は情けない男だ。44歳にしてフリーターの実家暮らし。女所帯に育ったせいか「女性が今何を求めているか」には聡いくせにそれを一切モテに活かせない。そればかりかそのせいでトラブルに巻き込まれ続け、もう女はコリゴリだとふてくされている。そのくせ何を思ったか女性向けの官能小説新人賞に「俺の(小説の)テクで女をイカす」と応募し、受賞して担当編集者から「二作目を」と迫られるや「作家になりたくて応募したんじゃない、賞金が欲しかっただけ」とぐじぐじ。

そんな情けない男を叱咤し、叱咤し、叱咤し、たまに激励……とも言いがたい、ほんのりとしたデレのごとき褒め言葉を繰り出す百山は実に風音の扱いを心得ている。世の草食男子・絶食男子をどうこうしたい女子がこの小説を読めば、その「どうこう」するためのヒントが見つかるかもしれない。もちろん、ヘタレ萌え視点で読むのもオススメです!