読売新聞×ダ・ヴィンチ ミステリーブックフェア2015 【鼎談】今野 敏×湊 かなえ×間室道子(代官山 蔦屋書店 文学担当)<後編>

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更新日:2017/6/30

フェアラインナップから
書店員おすすめの18冊はこちら!

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<1>『緑の毒』 桐野夏生/著 KADOKAWA
代官山 蔦屋書店 間室 道子さん

「非情」がもたらす爽快感

桐野作品の良さは、作者が登場人物に一切同情しないところ。身勝手さ、駄目さを容赦なく描き出すのだ。非情な話に不思議な爽快さが付くのはこのためだと思う。本書は連続レイプ犯である開業医と彼の妻、病院の女性スタッフ、被害者、それぞれの弱さとどうしようもなさを描いたサスペンス。著者のエンジンは全開。読者よ、降り落とされるなかれ!

<2>『暗いところで待ち合わせ』 乙一/著 幻冬舎
紀伊國屋新宿本店 白井 恵美子さん

息を殺して読んでください

乙一特有のひんやりとした温度感の文章と世界観に引き込まれ、最後まで一気に読ませます。忍びこんだ男性の存在に気付いているのか分からない状況で部屋の中に二人がいるシーンはピンと張った糸のように張り詰めており、まるでこちらが息を潜めたくなってしまいます。この設定、温度感を描けるのは乙一だけ!

<3>『カラスの親指』道尾秀介/著 講談社
三省堂神保町本店 内田 剛さん

切れ味抜群!これぞ究極の騙し合いだ!

これは尋常じゃない面白さだ。犯罪行為を描きながらも、洒落たフレーズも交え決して失われることのないユーモア感覚。張り巡らされた伏線と完璧な展開の中に人間の本性を描き切った会心の作品。極悪非道に思えても根底にあるのは善。悪党が改心するまでの成り行きが痛快でたまらない。理性と感性を絶妙に融合させた著者の真骨頂が存分に味わえる。

<4>『野獣死すべし』大藪春彦/著 光文社
リブロ浅草店 稲葉 順さん

伊達邦彦降臨! 男達よ、眠った牙を研ぎ澄ませ。

現在、第一線で活躍している多数のハードボイルド作家が、超えたくても決して超えることが出来ない唯一無二の作家『大藪春彦』。品揃えしている書店も減りましたが、この機会に是非あなたも「大藪中毒者」の仲間入りをしてみませんか?

<5>『さよならドビュッシー』中山七里/著 宝島社
紀伊國屋新宿本店 白井 恵美子さん

ピアノの調べに乗って事件を解決!?

音楽学校が舞台ということもあり、ピアノの演奏シーンは物語をさらに盛り上げ、引き立てます。ドビュッシーにモーツァルト…、読んでいる間、まるで耳元を音楽が流れているように感じ、この物語を一層楽しむ要素となります。ピアノの調べに乗って軽快に進む物語。そして驚きの結末を迎えるのです。

<6>『汝の名』明野照葉/著 中央公論新社
三省堂神保町本店 内田 剛さん

表と裏の顔を持った欲深い人間たちの真実

とかく人生は生きにくい。その事実を顕著にしているのは人間関係の難しさであろう。比べるがゆえの嫉妬。並びたいがゆえの背伸び。憧れが虚栄心を生み、幾重にも嘘を塗り固めた生活となる。自分自身を見失い人生のレールを踏み外した先に残るのは、醜い抜け殻だけである。この物語は決して他人事ではない。誰にでも起こりうる普遍性を持った作品だ。

<7>『クリスマスに少女は還る』キャロル・オコンネル/著 東京創元社
TSUTAYA三軒茶屋 栗俣 力也さん

こんな小説、今までにもこれからも、もう出会えない

年間3000冊ほどの本を読みます私が過去最も衝撃を受けた作品は間違いなくこの1冊です。どんでん返しというものは小説の味付けでありメインのストーリーにはなり得ないと思っている方は絶対にこの作品を読むべきです。自分の小説に対する常識がひっくり返されます。

<8>『告白』湊かなえ/著 双葉社
紀伊國屋新宿本店 白井 恵美子さん

湊かなえワールドにズブズブとハマります

デビュー作とは思えないほど強烈なインパクトを放った本作。救いがなく嫌な気持ちにもなるが圧倒的な筆力で最後まで一気に持っていかれます。読み出したらやめられない、止まらない。そして読後、この小説について誰かに話したくなる。『告白』はそんな中毒性を持った小説です。お気を付けください。

<9>『容疑者Xの献身』東野圭吾/著 文藝春秋
代官山 蔦屋書店 間室 道子さん

東野作品の金字塔。感動は永久保存。

本書は「倒叙物」と言い、犯人が話の冒頭に明かされる。隣に住む母娘に手を貸し、殺人を隠そうと決意した数学者。この完全犯罪を探偵役の物理学者・湯川がどう崩すかが読みどころで、二人が友人同士なのが切ない。最後に犯人が咆哮するのだが、心の揺さぶりがあまりに激しくて、この悲鳴は読者である自分の口から出てるんじゃないか、と思うほど。

<10>『崩れる 結婚にまつわる八つの風景』 貫井徳郎/著 KADOKAWA
三省堂神保町本店 内田 剛さん

最も恐ろしい恐怖は一番身近に潜んでいる!

「結婚」は決して幸福の絶頂ではない。ささいな違和感が確かな殺意に変貌する瞬間は背筋が凍りつくほど恐ろしい。究極の愛とは憎しみにも似た狂気なのか。感情のもつれた男と女。仮面を脱ぎ捨てたそこには悪意をまとった素顔がある。研ぎ澄まされた筆致で深い闇に包まれた人間の本質を暴いたこの物語は誰かを本気で愛する前に読んでおくべきだ。

<11>『リカ』 五十嵐貴久/著 幻冬舎
リブロ浅草店 稲葉 順さん

背中を部屋の壁に付けた状態でお読み下さい。

時代小説から青春物まで幅広く活躍されている五十嵐貴久のデビュー作。彼の作品すべてに共通することだが、読み進めていきながら文章が直接映像となりグイグイと引き込まれます。

<12>『〈新装版〉ST警視庁科学特捜班』今野敏/著 講談社
紀伊國屋新宿本店 白井 恵美子さん

事件解決はこの5人にお任せ!?

警察小説はちょっと…、と尻込みするなかれ。数ページ読めば、この小説は違うというのが分かるはず。強烈な個性の登場人物たちが、コミカルなやり取りでプロファイリングし、事件を解決していくシーンは読みどころ。ストーリー展開、心理描写はさすがベテラン今野敏。導入部分で心を鷲掴みにされ一気読み間違いなしです。

<13>『妃は船を沈める』有栖川有栖/著 光文社
代官山 蔦屋書店 間室 道子さん

あの名作にこんな解釈が? 仰天快作!

「猿の手」をご存知だろうか。3つの願いが叶う猿の手をもらった老夫婦が、という英国の怪奇譚だ。本書には若者をはべらせるのが趣味な「妃」と呼ばれる女が登場するのだが、なんと彼女は猿の手を所有しているという!そして物語中で最も魅力的なのは、ある事件を解く手がかりとして「猿の手」譚の新解釈が披露されていること。誰もが脱帽の快作!

<14>『サイレント・ヴォイス 行動心理捜査官・楯岡絵麻』佐藤青南/著 宝島社
TSUTAYA三軒茶屋 栗俣 力也さん

あなたはこの「嘘」見抜けますか?

行動心理捜査という題材をここまで面白く読ませる作品はこの作品だけだと断言できます。著者の佐藤青南さんは読みやすさ、そしてエンターティメント小説としての楽しさを追求した小説を多く出されていますがその中でもこの作品はダントツですよ!! 堅い警察小説はもうお腹いっぱいという方におススメの作品です。

<15>『時鐘館の殺人』今邑彩/著 中央公論新社
代官山蔦屋書店 間室 道子さん

おととし亡くなった天才女性作家の短編集

「女ゾンビによる殺人?!」「全盛期に引退した女優の館に招かれた学生たち」「狂った時計だらけの館で起きた人間消失」などなど、ミステリファンなら前のめりで食いつく話運びにシビれます。歴代の作品がいくつか映像化されましたが、この作家の底力はまだまだ知られてない。もっと売れてほしかった。いや今からでも遅くない、もっと売ります!!

<16>『TOKYO BLACKOUT』福田和代/著 東京創元社
リブロ浅草店 稲葉 順さん

電気が来ない・・・

福田和代さんの作品は、作中のディテールが非常に綿密な取材がされており採り上げられたテーマに詳しくなります。震災以前に書かれた小説。あの時に体験した事実と小説がリンクして一気読み。

<17>『どんでん返し』笹沢左保/著 双葉社
TSUTAYA三軒茶屋 栗俣 力也さん

この1冊にあなたは何度も騙される。

世の中に数えきれないほど小説がある中でミステリー大好きな人も、あまり小説を読まない人もライトノベル大好きな人も、時代小説ファンも「面白い」と思える作品なんてあるわけない。と考えておりました。それにもっとも近い作品の1つがこのどんでん返しだと私は思っています。小説を普段読まない方にもぜひ読んでいただきたい1冊です!

<18>『追悼者』折原一/著 文藝春秋
TSUTAYA三軒茶屋 栗俣 力也さん

実際にあった「あの」事件を元に書かれた狂気。

多くの作家さんが書かれてきた有名事件をあの折原一先生が書いたというだけで心惹かれてしまいますがインタビュー形式で話が進む中でちらほら感じる違和感。そしてマスコミの怖さをあらわした狂気のラスト。ミステリーの面白さが詰まった1冊です。本格が読みたい!そんな方にお勧めの作品です。

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〒103-8601 日本橋郵便局留 読売「ミステリーブックフェア」係
●締切:2015年3月31日(火) 当日消印有効
●お問い合わせ:株式会社カワセミ内
 「ミステリーブックフェア事務局」
 ☎ 03-6661-6001(土・日を除く10時~17時 2015年3月31日まで)
※発表は商品の発送をもってかえさせていただきます。※応募に関する個人情報は、プレゼントの発送以外には使用いたしません。