“うつ嫁“がめんどかわいい理由とは

恋愛・結婚

更新日:2016/1/13

 心の病やうつ病の女性が男性に頼ってしまうと、重い女扱いされたり、メンヘラ扱いされたり、めんどくさい女扱いされがちだ。

 現在は、うつ病の病状についても知られるようになった。しかし、患者本人やそのパートナーも、頭では理解できたとしても、心では受け入れられず辛い日々を送っている場合も多い。そんな悩める日々を送る人々に読んでもらいたいのが『俺のうつ嫁が、めんどかわいい』(門瀬粗/KADOKAWA)だ。

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 あらさん(作者の門瀬さん自身)と、“めんどかわいいうつ嫁”であるよこさんの生活から、うつ病との付き合い方や受け止め方の一例をエピソードと共に紹介しよう。

よこさんと病院

 学生時代にうつ病の症状が出てしまった、よこさん。頭が痛い初期症状からはじまり、睡眠障害や、気分の浮き沈みが激しかったりする。そんなよこさんは医師の前に行くと緊張してうまく状況説明できないことも多い。
 そのため付き添いのあらさんが医師に近況を説明。一緒に医師と話すことでパートナーへの病気の理解を深めている。

よこさんとボイスチャット

 隣の部屋にいるはずのよこさんから、突然、ボイスチャットコールがかかって来る。とりあえず出るあらさんだが、内容はゲームの話、アニメの話、同人活動への願望(実際には行っていない)という特に大した用ではない。しかし、仕事中でも話を聞く、あらさん。それはお喋り好きのよこさんにとってボイチャはいいガス抜きになるとわかっているからだ。本格的なうつ状態に陥ってからの対処となると本人も周りも大変な思いをするので、ストレスが溜まる前に好き勝手させる時間を設けているそう。
 直接会って話せばいいと言わないのもあらさんの優しさだ。

よこさんと忘れ物

 よこさんは忘れ物が多い。出掛ける前に慌てたり、忙しくしたりすると忘れ物をしてしまう。さらに、忘れたり無くしたりする自分にショックを受けて落ち込んでしまい、うつ病の症状が起こることもしばしば。
 よこさんはショックを受けて「出かけるのをやめた」と言ってしまう。そんな落ち込むよこさんに、あらさんはどうしてあげるべきか考える。そして、ある日「指輪を買いにいきます!」と宣言。指輪を買ってモノを無くさないための練習をすると言い出す。
 あまり高価な指輪を買わなかったあらさんだが「1年(指輪を)無くさなかかったら改めてちゃんとしたやつ買おうか」と言い、よこさんは大喜びするのだった。
 どうしてもできないなら無理をしないで諦めてしまうというのも一つの手段だが、うつ病の人はできないことをそのままにされると、できない自分を責めて更に落ち込みがちに。だったら、諦めずどうしたらできるようになるか考えてあげるのが大事だ。“うつ嫁”の中でもロマンチックなエピソードの一つである。

 “うつ嫁”は、かわいい奥さんへの“のろけ本”だ。もちろん大変なこともあるだろうが、うつって辛いと思う状態から“めんどかわいい”と思える状態に持っていけるあらさんは常にポジティブに物事を考えているように思う。

 彼女が大変、奥さんが大変。ついつい愚痴をこぼしてしまう男性も多い。うつだからといって諦めてしまう前に、ぜひ“うつ嫁”を読んでほしい。何かしら心に変化が起きて愚痴から「うちの、うつ嫁がめんどかわいいんだよね」と人前でのろけられる日も近くなるはずだ。

文=舟崎泉美