特集番外編2 2010年4月号

特集番外編2

公開日:2010/3/10

ついに発見!? 謎深き小説家「京極夏彦」の奥地に潜む真実を追う!

ダ・ヴィンチ調査隊 隊員R

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2009年9月に作家デビュー15周年を迎え、常に最前線を突き進む小説家・京極夏彦。

深い謎を秘めた京極作品を解明するため、雑誌の特集、研究本、ムックなどが数多く発表された。これによって明らかにされた部分も多いが、逆に深まった謎もある。

我々ダ・ヴィンチ調査隊も、過去に幾度も京極氏の特集やインタビュー・対談企画を収録することに成功しているが、隠された真実にたどり着くことはできなかった。

ミステリー界に衝撃を与えたデビュー作『姑獲鳥の夏』をはじめとする〈京極堂(百鬼夜行)シリーズ〉以外にも、〈巷説百物語シリーズ〉や発売されたばかりの『数えずの井戸』、このたびアニメ化される『ルー=ガルー』そして『幽談』『南極(人)』『厭な小説』といったジャンルの枠を越えた作品を意欲的に発表し、未開の境地を切り拓いている――。

小説執筆以外では、大沢オフィス主催の朗読会「リーディングカンパニー」の朗読で駆使される七色の声色、怪談専門誌『幽』5周年イベント「怪談ノ宴2009」で上映されたハイクオリティな映像編集テクニック、妖怪プロジェクトとのユニットでリリースされたCD『荒野の七人みさき』の美声、書籍のデザイン、マンガ・イラスト執筆、妖怪探究などなど……その活動範囲は測り知れない。まさに人知を超えた領域に住まう小説家である。

そこで我々は、京極夏彦氏の奥深くに潜むという真実を暴くため、かつてない徹底調査を慣行したのであった。。

調査報告書内の年表にもあるが、京極氏は1999年に『ダ・ヴィンチ』誌上で怪談文化を世に広めるための会「怪談之怪」を東雅夫氏らとともに発起し、この活動が礎となって現在の怪談専門誌『幽』が創刊される。

こうした交流の中で、我々は時折、京極氏の“奇妙な生態”を目撃してしまうことがある。

例えば報告書の巻頭を飾る、漫☆画太郎氏の描き下ろしマンガ「世にも奇妙な京☆極夏彦」。一面識もない京極氏の生態を、漫☆画太郎氏は持ち前の超能力によってマンガ化した。そこで描かれた「京極七不思議」の内容は、多少の誇張と演出が加えられているものの“ほぼノン・フィクション”とだといえよう。

マンガでは「京極七不思議」の「その5」までしか描かれていないが、残り2つについては超能力をもってしても見破ることができなかったのではないか。もしくは、あまりに恐ろしい内容ゆえ、発表することができかったのかもしれない。

それでも残りの不思議が気になるという好奇心旺盛な貴方には、今回の調査報告をくまなく読んでいただきたい。きっと新たな“事実”を発見することができるはずだ。

ただ、漫☆画太郎×京極夏彦という奇跡の共演自体が“不思議”の1つだと言っても過言ではない!

人間ならば誰しも多くの側面を持っているものだが、京極氏の場合はその側面が多すぎるような気がしてならない。

「私は見た! 京極夏彦の謎と真実」において、総勢26名もの方々に京極氏の“秘密”を暴露していただいた。そして、続々と届けられたコメントの内容がほとんど被らないことに、我々調査班は驚愕したのだった。

京極氏と同じ事務所に所属し、身近に接する機会の多い大沢在昌氏や宮部みゆき氏でさえ、「底の知れない人間」「全貌のわからない、不思議なヒト」と証言している……。

続く「京極夏彦の軌跡」では、15年間の作家活動を年表形式にまとめただけでなく、さらなる謎を追うためにデビュー前の経歴を調査し、貴重な証拠写真とともに掲載した。

誌面の都合上、京極氏の全仕事を網羅することはできなかったが、今回我々調査隊が独占入手した未公開写真やミニ情報は必見である。

ラストを締めくくるのは、先輩作家であり、京極氏がはじめてメディアに露出した際の対談相手でもある綾辻行人氏との対談企画「綾辻行人×京極夏彦」。

京極氏のデビュー当時にまつわる思い出から、ミステリーやホラー・怪談といったジャンルにとらわれないボーダレスな作品を描くことについて語り交わす。エンターテインメントの最前線で活躍する両氏の対談によって、京極氏の真実の姿がおぼろげに見えてくる。

そして最新刊『冥談』へと続く――。

今回明らかにされた京極氏の側面はほんの一部でしかない。けれども、これらを見据えることにより、小説家・京極夏彦の“核心”が見えるはずだ。

この調査報告書をきっかけに、広がり続ける京極ワールドをより深く楽しんでもらえれば幸いである。

2010年3月 R記す

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