ゲーム実況者が“アイドル”と呼ばれる日も近い? 新しい才能のあり方とは

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更新日:2015/3/19

 YouTubeやニコニコ動画などの動画サイト上で人気のゲーム実況動画。先月開催された『ニコニコ闘会議』では3万5786人(主催者公表)の来場者が訪れ、ゲームイベントとしては近年にない盛り上がりを見せました。

 デビュー作がアニメ化されるケースも多い、エンターブレイン主催の『えんため大賞』も第17回から大幅にリニューアル。「ゲーム実況部門」「ゲームエッセイ部門」「ボーカロイド楽曲部門」「コミカライズ部門」「BLコミック部門」が新設されたことは以前にもお伝えしましたが、今回は、「ゲーム実況部門」について、さらに後半では「ビーズログ文庫部門」「ガールズコミック部門」「BLコミック部門」の最新情報をお届けします!

 まずは、「ゲーム実況」というコンテンツをどのように展開していくのか、ゲーム実況者の活躍の場は広がっていくのか、ゲーム実況部門の企画に参加している運営チームに聞いてみました。

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●なぜ「ゲーム実況者」をえんため大賞で募集したのか?

――ゲーム実況部門を小説やコミックの新人賞と併設した理由

 ゲーム実況動画は、いまや世界的に拡大しています。それを牽引しているのはYouTubeや日本ではニコニコ動画などの動画サイトです。YouTubeにおいてはカテゴリ(ジャンル)で音楽に迫る勢いがあり、ニコニコ動画ではボカロ楽曲の人気に、ほぼ並んでいます。私たちもゲーム実況を新しいエンターテインメントコンテンツと捉えており、以前からそうしたゲーム実況者(動画クリエイター)さんたちを支援したいという思いがありました。そこでファミ通×電撃という2大ゲームメディアがタッグを組んでゲーム実況を盛り上げる企画を立ち上げることになりました。

 おりしも『えんため大賞』のリニューアルの話が持ち上がっており、ファミ通が所属する『えんため大賞』に「ゲーム実況部門」を設立しました。実績のある『えんため大賞』の小説部門やコミック部門と同列に置くことで、エンターブレインの基幹部門として、これからゲーム実況シーンを盛り上げていくぞ! という意気込みを世の中のゲーム実況者さんたちに示せたと思っています。
今後、さらに実況シーンが拡大していけば新たなゲーム実況の賞ができる可能性もあります。

――これからのゲーム実況者に期待していること

 ゲーム実況者は、アイドルやタレント業に近いものだと考えています。ゲーム実況を通して、喜びや感動を視聴者に伝えて欲しいです。自由に遊んでもらっているうちにメーカー側も考えてもみなかったゲームの遊び方や魅力を発見することがあります。しかし、ゲームは著作物であり注意も必要です。版権権利のことを学びながら、決められたルールのなかで、正しくゲーム実況を行って欲しいです。例えば、アドベンチャーゲームのネタバレは他のプレイヤーの楽しみを損なうことにもなりますし、メーカー側が規制するルール(エンディングはNGなど)は絶対に守っていただきたい。ファミ通×電撃がゲーム実況者とメーカー側の橋渡し役になれればと思っています。どうすればもっと面白い動画を作れるのかという試行錯誤も重要ですが、なによりゲーム実況を見てファンになった!という視聴者との交流を大切にして、関係を継続していって欲しいです。

 

●ゲーム実況シーンのこれから

 エンターブレインではファミ通文庫から人気ゲーム実況集団『M.S.S Project』とコラボしたライトノベルを出版しました。このように出版社とゲーム実況者がタッグを組み商業展開していくことも考えられます。ファミ通と電撃両メディアが中心となり、著作権の問題やゲームメーカーさんとの交渉など、さまざまな課題はありますが、少しずつ推し進めて参りますので、ゲーム実況者の方、興味があるという方は、是非ゲーム実況に挑戦してみてください! えんため大賞”ゲーム実況部門”は、次世代のコンテンツ、ゲーム実況を応援します!

 

 新しい才能はゲーム実況者だけではない。WebメディアやSNSなど、個人で小説やマンガといったエンターテインメント作品を発表できる場が増え、そのあり方も多様化しつつある。近年、新レーベルが創刊ラッシュで盛り上がりを見せる女性向けライトノベルでは、どのような新しい才能が現れたのか?
 そこでお次は「えんため大賞」のビーズログ文庫部門を受賞した3作品を、発売前に先駆けて著者が突撃レビュー! そして優秀賞を受賞し小説家としての第一歩を踏み出した新人作家・夏野ちよりさんに創作活動について、いろいろ伺ってみました。

 
●えんため大賞ガールズノベルズ部門
(※第17回「えんため大賞」リニューアルにより、「ガールズノベルズ部門」は旧名称になります)
優秀賞『悪誉れの乙女と英雄葬の騎士』(夏野ちより)

(あらすじ)海賊姫×邪道騎士━━最凶すぎる二人の衝突(コンフリクト)ラブ!
  カーヴェル海賊団の美しき女海賊クレアは、船長である養父から一人立ちするための試験として『王家の船を襲え』と難題を与えられる。計画を練り王女の船を襲撃したクレアだったが、王国最強の英雄騎士アドルフ・フォードに捕まってしまう。城に連行され処刑を覚悟したクレアだが、現れた王女から驚くべき試練の真実が明かされて!?

(ここが面白い!)喧嘩ばかりの男と女、けれど息ピッタリなお似合いカップルにときめく
 英雄として名高い騎士とお尋ね者の海賊というまったく身分も立場も正反対な2人は、アドルフの口の悪さやクレアの勝ち気な性格もあって、いつも口喧嘩が絶えないわりに、不思議と息ピッタリ。王国を揺るがす難事件の調査にあたることになって、ことあるごとに衝突しながらもお互いに力を合わせて真相に迫っていくうち、弱者を見捨てないクレアの正義感やアドルフの不器用な優しさが垣間見えて、正義の騎士と悪の海賊という立場を越えた絆が芽生えていく関係が素敵でした。

【選評】ビーズログ文庫編集部
とにかくキャラクターがこの世界で“生きて”いて、作られたと感じないキャラクターとストーリーに説得力があります。思考や行動から進んでいく世界観に引き込まれ、読後感もとても爽やかでした。女子心をくすぐるポイントもよく入っています。構成力・文章力ともに非常にバランスのいい作品です。

 
●受賞した新人作家・夏野ちよりさんに創作活動へかける思いを聞いてみた
━━落選を繰り返しながら小説執筆に励んだ日々

 小説を書き始めたのは、中学2年生の頃からです。それまでも物語に触れては化石を堀りに行ったり、ゲームをやったり、山で剣術の修行ごっこなどをして楽しく過ごしていましたが、やがて執筆に手を出しました。
 新人賞への投稿は、ほとんどが落選でした。落選はそれほど落ち込みませんでしたが、締め切り当日にファミレスで徹夜の追い込みをしていて、隣の席の見知らぬ幼児に「パソコンしてるー! そんなのやってなんの意味があるのー?」と尋ねられたときは白目になるかと思いました。意味がなくても書くのですよ、とそっと微笑みを返しました。

━━受賞作の構想のきっかけと込めた想いとは

 「格好良くて悪い女の子は素晴らしい。黒髪で目付きの悪いイケメンは正義」を表現したいと思ったことが二番目くらいのきっかけで、一番のきっかけは「異なる意見で対立が起きたとき、間違った人はおらず、その全員が正論を口にしている」と日常で感じたからです。そこから「ヒーローとヒロインがそれぞれの正論を胸に進んでいくお話が書きたい」と思い始め、自分の好きなものをぎゅうぎゅうに詰め込みました。

 思いは語りきれないほど込めてしまい、全ては語れないのですが、書きたかったことのひとつである「人ひとりの信念について」というテーマはこの先もずっと向き合っていきたいです。少女小説の中だけでも、男女主従もの、少年主人公、西洋ライトミステリ、剣と魔法のファンタジー、現代和風ファンタジーなどいろいろ書いてみたいです! 児童書やゲームのシナリオも、少女小説を書くのと同じくらいずっとずっと憧れています。

━━最後に読者のみなさんへ

 未熟者にも拘わらず、このような場をいただいたことに心から恐縮しています。この記事を読んで下さった皆さまが、この先も素敵な物語に出会われることを心から願っています。そして、拙作がいつか少しでもお楽しみいただけるように、お目に掛かれる機会があるように、精進してまいります。
 ここまで読んでいただいて本当にありがとうございました!

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