特集番外編1 2007年5月号

特集番外編1

2007/4/12

伊坂ワールド作品リンク番外編

 

編集/N

 

こんにちは、この度「伊坂幸太郎大特集」で「伊坂ワールド作品リンク」(P22〜23)を担当させていただいた編集・Nです。23ページ欄外の【※「あれ!? “田中”や“若葉”のリンクは?」と気付いたあなたは──】という注意書きにピン!ときてこの『特集番外編』を訪れてくださったリンク上級者のみなさま、遠路はるばるお越しくださり、まことにありがとうございます。さて、さっそくご説明さしあげたいところなのですが、その前にひとつ“お詫び”をさせていただきたく──。もしかするとお気付きでない方も多いかと思いますが、実は前号の次号予告では、このコーナーの名称を「伊坂ワールド作品リンク完全版」としておりました。でも、実際にページを開くと……そうなんです!「最新版」となっております。内容をご覧いただくとすぐにお気付きになるかと思いますが、このリンクの中には「仙台市」や「居酒屋 天々」といった“場所”に関するものや、実存する映画名などは含まれていないのです。このページを制作する過程で「リンク項目があまりに複雑に入り組んでしまうと、なんだか見づらい上に、かえってわかりにくくなってしまうのでは」と懸念する声もあり、結果、掲載する項目に制約を設け、現在の誌面のようなかたちになりました。次号予告をご覧になって「完全版」を期待されていた皆さま、申し訳ありません……!! この場を借りて、お詫び申し上げます。

さて、では改めまして本題の“田中”と“若葉”のリンクに触れさせていただきたいと思います。皆さんは「スター・システム」という言葉をご存じですか? 元来は「映画や演劇などに、極めて人気の高い俳優を起用することで、観客の興味を引く」手法のことなのですが、転じてマンガ・アニメなどで、見た目は同じキャラクターを、俳優のように複数の作品に様々な役柄で登場させるような表現スタイルも「スター・システム」と呼ばれています。登場のさせ方には細かく分類するといくつかのパターンにわけることができるのですが、そのうちのひとつに“ある作品の登場人物が、同一の人物として(もちろん名前も特徴も同じ)別の作品でも活躍をする”というものがあり、これにあてはまると思われる人物は、本誌に掲載しています。“田中”と“若葉”をその中に入れていない、ということはつまり、このパターンにはあてはまらない、と判断したからです。言うなれば“名前も特徴も同じではあるけれど、まったく同一の人物ではない”というところでしょうか。  ちなみに、この「スター・システム」を作品に取り入れている作家といってまず筆頭にあげられるのが、手塚治虫氏です。ご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、伊坂さんは手塚作品の愛読者。『sabra』2006/5/25号のインタビューの中で伊坂さんは『実際、「田中」は「ランプ」を意識しています』と語られています。「ランプ」とは、手塚作品の名悪役「アセチレン・ランプ」のこと。『オーデュボンの祈り』『陽気なギャングが地球を回す』『グラスホッパー』『魔王』と4作品に渡って毎回さまざまな登場の仕方をする“田中”に対し、“若葉”は今のところ『オーデュボンの祈り』と「ポテチ」(『フィッシュストーリー』所収)の2作品のみ。今後、どんなかたちで登場してくれるのか、大いに気になるところですね。

 

 


 

 

編集後記

 

編集/M

 

今回の伊坂幸太郎特集では、伊坂幸太郎さん本人について、かなり綿密なインタビューを行いました。今までどんな小説、音楽、映画など、どんな作品に触れてきたのか、そして、どんな子供時代をすごしてきたか、などなど長い取材にも関わらず、資料を貸してくださり、真剣に応えていただいて、多くのデータがあつまりました。貴重な子供時代のアイテムなど、滅多に見れないお宝が勢ぞろいです。

 

BOOKGLEでお馴染みの日高トモキチさんには、伊坂さんの子供時代のエピソードをマンガにまとめて頂きましたが、その面白さは、是非本誌で確認してほしいですね。

 

「わけわかんない」って叫びたくなると思います。でも本当に、「わけわからん」というのが、今回の取材を通して感じたことです。

 

伊坂幸太郎作品のイメージと、伊坂さんの好きな作品、そして伊坂さんの人柄、この三つが合わさると、なぜか「わけがわからない」のです。バランスが悪いとか、一貫性がないとかじゃなくて、予測できないとか、動きが見えないとか、そんな感じ。今回、2007年の伊坂幸太郎の動向で、驚きのニュースがありますが、きっとこれからも僕たちの想像の斜め上を行く活躍を、伊坂さんはみせてくれるのでしょう。