イケメンがメソメソ泣く「イケメソ」写真集の魅力 ―男の涙は裸以上の素の自分である

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/21

うれし涙、悔し涙、怒りの涙……涙にもいろいろあるけれど、オトナはそう簡単には泣かない。というより、泣けない。特に男性は長らく泣くことを社会的に許されずにきた。なのに、この写真集では男たちが泣いている。頬にひと筋の道を作る涙、瞳を潤ませ、いまにもあふれ出しそうな涙、顔をぐしゃぐしゃにして嗚咽とともに流される涙……。

写真集『イケメソ男子』(リブレ出版)で泣きに泣いているのは、一徹さんをはじめとする、女性向けAVメーカー「SILK LABO」の人気セクシー俳優。さらにイケメンを加えた総勢8人で、メソメソするイケメン=イケメソという新たなジャンルを体現している。そこに弱々しくて、情けないイメージはまったくない。ピュアで、やさしげで、そしてセクシーだ。それはいったいなぜか? 企画の発案者である涙活(るいかつ)プロデューサー・寺井広樹さんと、担当編集者であるリブレ出版・鍋島由紀さんに秘密をうかがった。

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寺井広樹さん(以下、寺)「ひと昔前までは“男たるもの、泣くなんてありえない”という固定観念がありましたが、最近は泣く男性に対して女性が寛容になってきました。やわらかな心の持ち主で、感受性がある……そんなイメージにシフトしてきたようです。でも、男性は誰の前でも泣くわけではありませんよね。人知れずひとりで泣くか、恋人や妻の前でだけ涙を流すか。非常にレアなものなので、まずはそれをかいま見るという貴重な体験をしてもらいたくて、写真集を企画しました。さらにいうと、男性にとって涙を見せるのは、裸を見せる以上に素の自分をさらしていることになります。特にふだんカメラの前で裸で演技をすることも多いセクシー俳優のみなさんは、もうひとつ奥にある内面まで浮かび上がってくるので、女性の目にはさらに色っぽく映るのではないでしょうか」

鍋島由紀さん(以下、鍋)「いつも映像作品をとおしてセクシー俳優のみなさんに癒してもらっているけど、泣き顔を見て逆に彼らを癒してあげたくなった……という感想をいただいています。いまの女性たちはバリバリ働いてグイグイ引っぱってくれる男性よりも、自分だけにそっと寄り添ってくれる人、自分のために泣いてくれる人を求めているようにも見えます。当社ではBL作品を数多く出版していますが、近年は、このジャンルにもイケメソが登場するようになりました。男らしく強引な攻も王道として人気があるのですが、“お願いだから俺のこと好きになって”と涙をボロボロ流す〈ヘタレ攻〉キャラの人気も伸びています」

各モデルそれぞれのパートが、ストーリーを感じる構成となっている。

「まず、〈愛する人のために泣く〉という大きなテーマがあります。恋人にフラれたりという悲しい涙はあっても、怒りや後悔や嫉妬の涙はここには入りません。寄り添いたい人がいるから涙が出るというイメージです。ストーリーもおおまかにしか決めておらず、俳優さんに自由に解釈してもらい撮影しました。あとは読者のみなさまのご想像にお任せしたいですね。男と男の友情のなかで生まれる涙というシーンがありますが、登場いただいたおふたりの距離感がもともと近くて、さらにそこに涙が加わることでより親密さを感じる作品となりました」

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