夢のマイホームをゼロ円でゲット!年収200万円以下でも東京脱出で人生は好転する!?

暮らし

公開日:2015/3/18

――つるさんのように移住生活にピタリとハマる人もいれば、挫折して都会へ戻ってくる人もいますよね。その違いはどこからくるのでしょう?

 やはり地方で自分好みの職を探すのは難しい。僕の場合は、インターネットさえあればどこでも仕事ができるけど、世の中全体を見ると、そういう人の方が少ないですよね。もしかすると都会での会社員生活が長くて安定収入を得ていた人ほど移住生活となると困難が生じるのかもしれません。尾道は山の中にあるというわけではないので、仕事も探そうと思えばあると思いますが、都会で40万、50万円と稼いでいた人が同じ月収を簡単に得ようとするとなかなか難しい。むしろ「ええい、飛び込んでしまえ~」くらいの感覚で移住してくる根性のほうが、案外うまく職を見つけて、適応できるのかもしれませんね。

――都会と地方で、コミュニケーション能力の差は感じますか?

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 個々の根っこの部分は、都会も地方もさほど変わらないと思います。それよりも、そういった環境があるかないかの方が大きい。ある環境に落とされたら、自然と誰もが(助け合いの)意識が芽生えてくるのではないでしょうか。東京から友人が遊びに来た時、尾道の知人の家の再生を僕が手伝いたいから、有無を言わさずその場に連れて行くと、汗だくになりながらその彼も手伝っていました。最初は多少戸惑いがあっても、帰る頃にはこちらの環境に適応できるようになっているし、すっかり馴染むようになる。僕の友人も重いものを運びながら満面の笑顔でした(笑)。

――移住したことによる一番の変化は?

 「おめでたい」思考回路が身につきました(笑)。「おめでたさ」って、何も考えていない感じの、ネガティブな意味で使われることが多いですが、何かをやろうと決断するときは大事な要素だと思うんです。これをやったらこうなるとか、これは無理だなとか、頭の中でこねくりまわすだけでは、いつまで経っても何も実現できません。一方、まずは「おめでたく」現実に行動へと移したら、その結果からどんどんやりたいことや、さらにやれることが発見できる。
 僕の場合、空き家での暮らしを知ったことで東京にいた頃とは価値観がガラリと変わりました。タダ同然で手に入れた家で暮らし、その屋根の下で何かを思いつけば、自分で作って、自分でやってみるという一連の流れが当たり前になりました。
 家の再生に関しても、同じような状況にいる人たち同士が集い、いつもワイワイガヤガヤと一緒に学ぶことができる学校のような雰囲気です。あるとき家から再生現場へでかけるときに「ちょっと学校へ行ってきます」なんて口走ったこともありました(笑)。
 学ぶ場があって、仲間がいて、想像力を膨らませながら作業をすることが何よりも楽しい。これからもここで開眼した「場をつくる面白さ」を追求していきたいと思います。

取材・文=山葵夕子