食マンガ界に殴り込み!? 前代未聞の『ダンジョン飯』

マンガ

更新日:2015/3/24

 現在、食マンガは空前のブーム。特に『孤独のグルメ』を代表格にした『おとりよせ王子飯田好実』『ワカコ酒』、究極的なものだと『鬱ごはん』など、一人で黙々と食べる孤独めし系の良作が続いている。最近では、『いつかティファニーで朝食を』『おしゃべりは、朝ごはんのあとで。』など、朝食に焦点を当てたものも好評。食マンガは膨大なジャンルになるとともに、細分化しつつもある。そんな中、前代未聞の食マンガが! 九井諒子の『ダンジョン飯』だ。

 本作は、『竜の学校は山の上』『ひきだしにテラリウム』など、シニカルな短編ファンタジーやコメディを得意とする作者の初の長期連載作。竜に食われた妹を助けるため、冒険者・ライオス達は迷宮(ダンジョン)に入るが、旅の荷物を失くしたため、迷宮内で自給自足することに。スライムから動く鎧にいたるまで、出くわすモンスターを倒し、それを食べるのだ。RPGではおなじみのモンスターをいかに食べるか。例えば、スライムは、「胃がひっくり返って消化液で内臓と頭を包んでいる」など、構造的な解説がなされ、乾燥クラゲのような形で調理していく。そうした解説が、現実の食材とリンクし、リアルな調理の描写も想像をかきたてる。絶対食べられない!と思っていても、最後は美味しそうに見える。その手腕が見事だ。

advertisement

 竜や魔物、そして「食べること」は、九井がこれまでの短編でも繰り返し描いてきたモチーフだ。異色の本作は、九井の真骨頂的な作品でもある。次はどんなモンスターを食べるのか。続
刊が気になる。

文=倉持佳代子/『ダ・ヴィンチ』4月号「出版ニュースクリップ」より