有村架純主演映画まもなく公開! ついに文庫版も登場! 累計発行部数65万部突破の『ビリギャル』、衰えない人気の秘密はどこにある?

文芸・カルチャー

2015/4/8

2013年12月の発売以来、そのセンセーショナルなタイトルとカバー写真で話題をさらい、累計発行部数65万部突破という記録を作った大ベストセラー『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』(坪田信貴/KADOKAWA アスキー・メディアワークス)、略して「ビリギャル」。マンガ連載も決定し、5月1日には、有村架純主演による映画の公開、主人公の母「ああちゃん」によるもう一つのビリギャルストーリー『ダメ親と呼ばれても学年ビリの3人の子を信じてどん底家族を再生させた母の話』、通称「ビリママ」の出版など、発売から1年以上経ってもなお、ホットな話題の渦中にある。そしてついに、2015年4月10日文庫本になって再登場、より身近な存在になった本書の、衰えない人気の秘密はいったいどこにあるのか?

本書の主人公・さやかちゃんは確かにインパクトたっぷりだ。物語の語り手であり著者の坪田先生と出会ったとき、彼女は完璧なギャルだった。入塾の面談なのに濃い化粧に金髪、その上へそ出しルックだったというのだから、度肝を抜かれる。ここで平静に対応できる先生も強者だけれど、この「人を見かけで判断しない」先生の態度が、大人をなめきっていたさやかちゃんの心を動かす。「不可能なんてないから」という言葉に乗せられて、中学入学以来高校2年の夏まで、まともにしたことがなかった勉強を始めるのだ。慶應大学を目指して。

この一見むちゃくちゃな設定、それも実話(!)ということに興味をひかれる人は多いだろう。けれど、本書がここまで支持を得たのは、「絶対に無理」と思えることを、どこにでもいそうな少女が成し遂げた「奇跡」、実はこれが奇跡でもなんでもなく、彼女自身のさまざまな努力の積み重ねであったこと、そしてそれを支えたまわりの献身的なサポートと、指導者の的確なアドバイスによるものだった、ということが、物語を読み進めるうちにはっきりと見えてくるからだろう。そうなのだ、自分にも(自分の子供にも?)ビリギャルと同じ可能性がある、奇跡は起こせる、という「元気」(希望なんてあやふやなものではなく、もっと確信に満ちた実感)を与えてくれるところに、この本の最大の魅力があると思うのだ。

教師や親が「本気で」期待した場合、子供は無意識のうちにそれに応えるという「ピグマリオン効果」というものがあるそうだが、「どんな子供にも素質はある、埋没しているだけ」、と坪田先生は説く。そしてその言葉通り、さやかちゃんはどんどん進化していくのだ。先生が真っ正面からさやかちゃんに関わり、的確にほめ、アドバイスをすることで、彼女は人の話を聞くこと、ものを教わること、そして自ら知ることの楽しさを知り、もっと知りたい、勉強したい、と知識欲の固まりとなっていく。まさに勉強に「はまって」いくのだ。ギャルとしての自分をかなぐり捨ててしまうくらい。そして…。

坪田先生の指導は、彼女の眠っていた素質を芽吹かせ、大きく成長させるための水であり肥料であった。彼女の学習の進度に合わせて語られる独自のメソッドは、それだけでも単独で読みたくなるほど興味深い。文庫版では先生のテクニックはかなり省かれているそうで、心理学テクニックや受験メソッドをより詳しく知りたい方には単行本版をおすすめするが、それでも目からウロコのアイディアがいっぱいだ。文庫版だけの巻末特別記事「坪田式・性格&指導法の判定 Q&A(簡易版)」は先生独自の性格判断法。それぞれのタイプ別に扱い方が書いてあっておもしろい。本来は90問あるこのテスト、KADOKAWAから刊行予定の坪田先生の第2作目に完全版が載るそうで、今から待ち遠しい。

そして忘れてはならないのが、さやかちゃんの母「ああちゃん」だ。子供がワクワクできるなら、どんなことでも許してやらせてあげる。決して叱らず諭してわからせる。世間体や見栄や世の常識にとらわれず、どんな時でも自分だけは子供の味方になる。一見すると大甘の親バカ、しかし強い信念に裏打ちされた、彼女の体を張った子育てが、親としての私の、痛いところを突いてくる…。

さやかちゃんの珍回答に笑い、がんばりにほろりとし、そして示唆に富んだ坪田先生のアドバイスに、はっとさせられ…読むとすっかり前向き思考になっている。凹んだ時の「カンフル剤」にぴったりの1冊だ。

文=yuyakana

学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話
(坪田信貴/KADOKAWA アスキー・メディアワークス)