上橋菜穂子『鹿の王』が「第4回日本医療小説大賞」を受賞!

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/21

 第4回となる「日本医療小説大賞」の選考が2015年3月26日(木)に行われた。日本医療小説大賞とは、日本医師会が主催し、国民にもっと医療について興味をもってもらい、医療関係者との信頼関係を深めることを目的に設立。今回、審査員を務めたのは篠田節子、久間十義、海堂尊の3名だ。

選考の結果、見事大賞を獲得したのは『鹿の王』(KADOKAWA)。鹿の王といえば、昨年、”児童文学のノーベル賞”と言われる「国際アンデルセン賞<作家賞>」を受賞した上橋菜穂子氏の3年ぶりの新刊。2014年9月の発売からすでに現在11版・累計28万部を突破!今年に入っても勢いは止まらず、著名人からも多くの反響が寄せられている。

養老孟司(解剖学者)
冒険小説を読んでるうちに、医学を勉強し、さらに社会を学ぶ。1回で三冊分。

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夏川草介(作家)
命をどうとらえるか、重層的な生命観をファンタジー小説として読めるということに感動しました。

萩尾望都さん(漫画家)
『鹿の王』は深い森のような物語だ。人間と生き物の物語だ。

福岡伸一(生物学者)
ウイルスは未知の外敵ではなくかつて宿主ゲノムの一部分だった。つまり感染は一種の帰還であり何らかの補完的意味を持つ。征服するものとされる者もまた絶対的な敵対者ではない。『獣の奏者』から引き継がれた大いなる生命論的テーマがここにさらに深化する。

為末 大(元プロ陸上選手)
命の教科書。読んでいるうちに全ての命が素晴らしいと思えてくる。

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 「ファンタジーと医療が見事に馴染んで壮大な物語世界が構築されている」と評価されて見事大賞を受賞した『鹿の王』。特設サイトでは、登場人物紹介やプロモーションビデオのほか、上橋菜穂子氏と養老孟司氏の対談を見ることができる。
⇒『鹿の王』特設サイト

鹿の王■『鹿の王 (上) ―生き残った者―
著者:上橋菜穂子
価格:1,600円+税
ページ数:568ページ
発売:2014年9月
出版:KADOKAWA

鹿の王■『鹿の王 (下) ―還って行く者―
著者:上橋菜穂子
価格:1,600円+税
ページ数:560ページ
発売:2014年9月
出版:KADOKAWA

『鹿の王』物語
強大な帝国にのまれていく故郷を守るため、絶望的な戦いを繰り広げた戦士団<独角(どっかく)>。その頭であったヴァンは、奴隷に落とされ、岩塩鉱に囚われていた。ある夜、ひと群れの不思議な犬たちが岩塩鉱を襲い、謎の病が発生する。その隙に逃げ出したヴァンは幼い少女を拾う。一方、移住民だけが罹ると噂される病が広がる王幡(オウハン)領では、医術師ホッサルが懸命にその治療法を探していた。ヴァンとホッサル。ふたりの運命が交叉するとき、見たこともない世界が眼前に現れる。厳しい世界の中で、暖かく他者を支えながら生きる人々の、激しくも美しい物語が、いまはじまる!