[カープ小説]鯉心(こいごころ) 【第七話】私たちカープファンにできること

スポーツ

更新日:2015/5/15

カープ小説

◆◆【第七話】私たちカープファンにできること◆◆
 

【あらすじ】
文芸誌『ミケ』のウェブサイトで、カープ女子を題材にした小説を連載することになったフリー編集者の美里。熱狂的カープファンのちさとに出会い、これまでの人生で縁のなかったプロ野球の世界に入り込んで行く。2015年カープと共に戦うアラサー女子たちの未来は果たして…?

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「あ、ちさとちゃんブログ更新してる!」

美里はパソコンでちさとのブログを開き、最新記事のリンクをクリックした。
タイトルは「私たちカープファンにできること」。

———
こんにちは、ちさとです!
開幕早々の7連敗で、しばらくブログを書く気分にならずにいましたが…
気を取り直して更新していきたいと思いますm(_ _)m

さて、我等がカープですが… 7連敗からの3連勝!
からの再びの連敗…

一気に連勝街道へ!と期待してしまいましたが、やはりそう簡単にはいきませんね(~_~;)
でも、シーズンはまだまだ始まったばかり。
これから徐々にチームの調子が上向いてくることを願います!

さて、シーズンが始まってからの私はというと…
広島で開幕3連戦を見た後、東京に帰ってきて浜スタでも観戦。
その後はスマホでカープの戦況をチェックしては一喜一憂する毎日です。
連敗中は敢えてスポーツニュースを見ないようにしていたり、「これは修行だ!」と自分に言い聞かせたりしながら、何とか乗り越えましたm(_ _)m

さて、少し前の話ですが。
連敗がはじまった先月31日のベイスターズ戦の後、少し残念なことがありました。

試合後に憂鬱な気持ちでツイッターを眺めていたら、その日負け投手になった大瀬良選手に対して「ファンの気持ちを考えろ」と、心ないリプライを送っている方がいるのを目にしました。

チームの調子が悪いときは、ファンもネガティブになりがちです。
ついつい選手を責めたくなってしまう気持ちもわかります。

でも、お金を払って見に行った球場で野次を飛ばすならまだしも、ツイッターで自分の顔も名前も出さずに、安全なところから選手を一方的に攻撃するというのは、人としてやってはいけないことだと私は思います。

私が言うまでもなく、選手たちは毎日一生懸命プレーしているはずです。
私たちファンの期待を感じながら、必死に戦ってくれています。
そして、それは相手チームの選手たちも一緒です。
プロとプロが本気でぶつかり合う以上、勝つ日もあれば負ける日もあります。

野球はシーズンで6割勝てれば優勝できるスポーツです。
どんな強いチームでも、4割は負けるのです。

大瀬良選手は次の登板となった巨人戦で、9回途中まで無失点という素晴らしいピッチングを見せてくれました。
最後に守備が乱れる不運があり勝ち星には恵まれませんでしたが、エラーをした天谷選手の肩を叩いて励ます大瀬良選手の姿には心を打たれました。
翌日からチームは3連勝しましたが、それまでの悪い流れを変えたのは大瀬良選手のピッチングだったと私は思います。
連敗を脱出した試合の直後、大瀬良選手がツイッターで「こいほー」と呟いているのを見て、思わずウルっときました。

私はカープが勝っても負けても、カープのおかげで楽しい毎日を過ごさせてもらっています。

カープの試合があるから、毎日を一喜一憂しながら感情豊かに過ごすことができます。
今までずっとそうでしたし、これからもずっとそうだと思います。
そのことに改めて感謝して、チームが良いときも悪いときも選手たちを信じて、応援する。
それが私たちファンにできることなのではないでしょうか。

思い返すと今年は、開幕前から優勝候補と騒がれ、私たちファンも少し浮き足立っていたところもあったのではないかと思います。
でも、私たちが目先の結果に騒ぎすぎて、選手たちに余計なプレッシャーをかけてしまったら逆効果ですよね。
まだまだ長いシーズンははじまったばかり。
これまでのカープファン人生で培った忍耐強さを思い出して(笑)、地に足をつけて長い目で応援していきたいと改めて思いました。

さて、今日からは本拠地でドラゴンズとの3連戦。
私は来月頭の神宮観戦を楽しみに、それまでは東京から選手たちにパワーを送りたいと思います!

2015年4月17日
ちさと

(第八話につづく)

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イラスト=モーセル
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【第一話】「ちさとちゃん、何でカープ好きなの?」
【第二話】「か、カープ女子…?」
【第三話】「いざ、広島へ出陣!」
【第四話】「生まれてはじめてプロ野球の試合をちゃんと見た記念日」
【第五話】「カープファンは負け試合の多い人生ですから…」
【第六話】「私も小説書きたかったんだよねえ。若いころ」
【第八話】「好きとか嫌いとか、にじみ出るものだから」