勉強を「早くしなさい!」の代わりに言うべき言葉とは? 子どもが勉強する気になる方法

出産・子育て

更新日:2016/3/14

 子どもの頃に言われたくなかった「勉強をしなさい!」。今、自分が親になってみて、口癖になっていることに気づき、ハッとする。自己嫌悪に陥る。「でも、子どものためを思って…」と自分を納得させてみる。そう、叱りたくて叱る親はいないのである。勉強の大切さを身にしみているから、仕方なく口にするのである。どうせ「はーい…」と生返事するだけだと分かっていても。

 さて、この「勉強をしなさい!」という定型句、本当に言わなければならないのだろうか。言って効く子どもなら、意味があるだろう。しかし、効かない子どもには意味がない、と『自分からどんどん勉強する子になる方法』(杉渕鐵良/すばる舎)は確言。30年以上におよぶ小学校教師歴の中で1000人近くの児童を担任してきた著者は、「どうせ効かないなら禁句にしよう」と提案している。本書によると、「勉強をしなさい」という定型句は、じつに危険である。「勉強をしなさい」を繰り返すことで、そのうち単に「勉強は?」と聞いただけで、子どもが親の心を推測して「勉強しなさい」に変換し、うんざりするようになる。親が意図しないところで、親子の信頼関係に亀裂が入ってしまうというのである。

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 本書では、勉強をしない子どもを“勉強する子”に大変身させる方法がさまざま紹介されている。まず、前述の「勉強をしなさい」は禁句にし、代わりに子どもの意欲を引き出す“魔法の言葉”を使う。それは、「終わったらいっしょにテレビを観ようね」「さっと終わらせておやつ食べようか」「今日は何分でできるかな?」といったプラス言葉。「早くしなさい」という代わりに「早送りー!」「制限時間あと5分です」、「60点しかとれないの?」の代わりに「あと40点とったら100点だよ」など、応用も効く。

 これで子どものやる気に火がともったら、次は火を大きくするために、著者が提唱する「楽習」を導入する。子どもはテレビやゲームが好き。「やめなさい」と言ってもやめない。勉強がテレビやゲームのように楽しくなるよう、さまざま工夫したものが「楽習」である。ポイントは次の4つ。

(1)親が一緒にやる

「一緒にやろう」と言って隣に座り、一緒に問題を解く。「監督する」のではない。「この問題、けっこう難しいね」など子どもの頑張りを理解できる。親が楽しく解く様子を見て、子どもも勉強が楽しくなる。

(2)勉強のやり方をラクにする

子どもの集中力は短時間しか続かないことに配慮する。
・1分、5分、10分、20分など、子どもの集中力に合わせて時間をいくつかに区切る(毎日の家庭学習の目安は「学年×10分」…合計時間がこれになれば良い)。
・宿題を細切れにして数分単位で教科を切り替える。
・タイマーで時間制限を設け、集中力を高める。

(3)勉強の中身を楽しくする

計算をタイム計測する、チラシで知っている漢字に丸を付ける「チラシで漢字探しゲーム」、などゲーム性を取り入れる。100マス計算をスリム化した10マス計算をする際は、「+0」から始めて、タイムアタックに挑戦する。親の丸付けは、1問ずつ惜しみなく丸を付けるようにする。

(4)ラクにこなせるレベルにする

成功体験が学習意欲を引き出す。子どもができるレベルまで戻ること。簡単な基礎を100回でも繰り返し、暗記するくらいまで徹底してやる。毎日違うことをするより、同じことを繰り返すほうが達成感を味わえ、自信になる。

 このような工夫をしても、勉強習慣はすぐには身につかない。しかし、着実に子どもの中では力がついており、ある日、急に“ブレイク”する。親には、子どもを見る基準を毎日“ニュートラル”に戻し、粘り強く接していくことが求められる。

 教科書の内容が100%わかると、それだけで偏差値は70になるといわれる。親子共に「楽習」を楽しめるようになったとき、「勉強をしなさい」の定型句は姿を消しているはずだ。

文=ルートつつみ