『ごん狐』『大造じいさんとガン』…ふと思い出す教科書に載っていたあの話! その内容説明できますか?

文芸・カルチャー

2015/4/17

「あ、なんかこんな話ってあったな。なんて題名で、どこで読んだっけ? あれ、ラストってどうなるんだったかな……?」 そんな唐突に思い出す話というのは、国語の教科書に載っていた作品だったりすることが結構ある。

脳の隙間や記憶の彼方に埋もれてしまった、そんな懐かしの作品を思い出させてくれるのが、小学・中学の国語の教科書に掲載された作品を厳選して収録した『もう一度読みたい 教科書の泣ける名作』と『もう一度読みたい 教科書の泣ける名作 再び』(学研教育出版:編)だ。様々な世代にアンケートを行い、タイトルが多く挙がったもの、現在も教科書に載っているもの、隠れた名作などが掲載されているという。今回はこの2冊から有名な作品を紹介してみよう。

●『ごん狐』(新美南吉)
いたずら好きな子狐のごんは、村の青年・兵十が川で取っていたうなぎを逃がしてしまう。しかし後日、兵十の母親が死んだことを知ったごんは、うなぎを食べさせられなかったから死んでしまったと思い、自分と同じく一人ぼっちになってしまった兵十へ食べ物を届けるようになるが…。小学4年生の教科書に掲載。

●『大造じいさんとガン』(椋鳩十)
両翼に白い模様のある「残雪」と呼ばれるガンと、猟師の大造じいさん。残雪は非常に賢い鳥で、数年は残雪の圧勝が続くが、ある年、大造じいさんは奇策を思いつく。しかしハヤブサの襲撃で事態は一変し…狩る者と狩られる者に芽生える、奇妙な友情が描かれる。小学5年生の教科書に掲載。

●『やまなし』(宮沢賢治)
「クラムボンはわらったよ」のフレーズでおなじみの、川底に棲む蟹の兄弟とその父の姿を描く話。しかし「クラムボン」には特定の意味がなく、「クラムボンは殺されたよ」という恐ろしいフレーズも飛び出す。「かぷかぷ」「ぼかぼか」という独特の表現も読みどころだ。小学6年生の教科書に掲載。

●『スーホの白い馬』(モンゴル民話 大塚勇三訳)
羊飼いのスーホが拾ってきた白い仔馬。やがて名馬となり、王による「優勝者を跡継ぎにする」という競馬大会に出場したところ優勝。しかし約束は反故にされ、さらに王が白馬を気に入って「銀3枚で俺によこせ」というがスーホは拒否。王が強行手段に出たことで悲劇が起こる…。小学2年生の教科書に掲載。

本書は「泣ける名作」と銘打たれているが、必ずしも泣けるばかりでなく、どうして主人公はそんな行動を取ったのか、なぜそう思ったのかを想像しながら読むことが不可欠な作品であると思う。そんなことを考えていたら、『機動戦士ガンダム』の総監督である富野由悠季さんにインタビューした時の言葉を思い出した。

「世の中にはいい人も悪い人もいる。ヒーローが永遠にヒーローかっていうと、そうじゃない時もある…と。子どもというのは、“この大人がいま私に対して大事なことを話してくれているらしい”という熱意を感じると、その時は何を言っているかわからなくても、後になって、絶対にその言葉、その姿を思い出せるんです。(中略)そんな物語を、わからないなりに子どもに見せておけば、もしその後の人生で“何か”があった時、クッションの役目を果たすんです」

本書に掲載されている物語は、誰もが幸せになるというハッピーエンドは現実では稀なことであり、世の中には理不尽なこと、思いもよらないことがある、だがそれについて「なぜなのか」を考え、ひとつひとつ乗り越えていくことこそが生きていくことだ、と力強く語りかけてくる。

教科書の作品は子どもがすぐに理解するには難しい話が多いが、それを大人になってからふと思い出す…ということは、その時が「人生で“何か”があった時」であり、その時に初めて作品の真の意味を理解することができるのではないかと思う。大人が真剣に作った作品は、子どもの心の奥深くにしっかりと刻み込まれるものなのだ。

文=成田全(ナリタタモツ)