「暮しの手帖」前編集長の“25歳のときに知っておきたかったこと”が目からウロコ

ビジネス

2015/4/18

 「最近の若い人は言われたことしかしないんだよ。こっちが指示したことしかやらない。そのくせちょっと何かダメ出しすると、すぐヘコむ。ホント、どうしたらいいのかわからないよ」

 これは以前、ある会社で管理職をしている人から聞いた愚痴だ。上司としては、いちいち言わなくても部下に率先して仕事をやって欲しいと思っている。それが終われば「他にやることはありませんか?」というやる気を見せて欲しいと願っている。そしてわからなければ質問したらいいじゃないか、とも思っているのだ。

 もちろん部下にも「指示が具体的じゃない」「気分にムラがあるからどう接したらいいかわからない」といった言い分はあるだろう。そもそも何も知らない新人にルールも教えずにやれと言っても、すぐに出来ないのは当たり前だ。だからといって、怖そうで忙しそうな上司に何かを聞くなんて簡単に出来ない。それは右も左も分からない、自分が新人だった時のことを思い出せばよくわかるだろう。立場が変われば、悪いのはどっちもどっちという場合が往々にしてあるものだ。

 そんな溝を埋めるためぜひ読んで欲しいのが、先日『暮しの手帖』の編集長を退任した松浦弥太郎氏の『もし僕がいま25歳なら、こんな50のやりたいことがある。』(松浦弥太郎/講談社)だ。

 松浦氏はまえがきで「25歳のときに知らなかったが、知っていたらどれだけよかっただろうと思う3つのポイント」を紹介している。

それは

「世の中の多くの人は、いつも誰かを探しています」
「人はいつも、自分を助けてくれるものを探しています」
「収入とは、人に与えた感動の質量に比例するものです」

というものだ。

 この3つのポイントを軸にして、50のやりたいことが紹介され、最後にもうひとつ「おまけ」が付いた、計51の仕事や考え方にヒントをもたらす言葉が掲載されている。

 例えば、松浦氏は「むりです」「できません」「時間がない」「お金がない」は口にしない、言ったらおしまいだと思っているそうだ。ネガティブなことを口に出してアウトプットしてしてしまうと、それが脳にインプットされ、本来なら自分にできることもできなくなり、それがきっかけで実力が発揮できなくなるという。この言葉、思わず言ってしまっている人(主に仕事を振られる側だろう)は結構多いはずだ。

 また生活というのはルーティンが基本だが、その中で繰り返しではなく、いつも何か新しいことを1つしようと創意工夫すること、こうしたらもっと良くなるかもしれないと「昨日までの自分を壊してみようという感覚」、つまり常識に対して疑問を持つ訓練が大事だという項目もある。これまで積み重ねてきた自分の経験は絶対に正しい、間違えるはずがないと思い込んでいる人(これは主に上司だろう)も結構いるはずだ。

 そして本書は「25歳」を謳っているが、まだ25歳になっていない人なら、若いうちに読んでおけば転ばぬ先の杖になる(就職活動中の人であれば自分が何をしたいのかがクリアになるだろう)し、新人として働く25歳前後の人はすぐにやるべきことが満載だ。そして25歳をとうに過ぎた人には、日々の仕事に流されてすっかり忘れてしまった初心や基本を取り戻すべく読んでもらいたい。

 そもそも人は苦しむために働いているわけじゃない。目線を同じにして、お互いの「どっちもどっち」な部分を認めて歩み寄れれば、前向きに楽しく、今より気持ち良く、もっとクオリティの高い仕事ができるはずだ。

文=成田全(ナリタタモツ)