「自分の全身写真だけを投稿して、そこに恋人がいることを匂わせる」イマドキの若者の“間接自慢”

社会

2015/4/26

 「最近の若者は活気がない」などと上の世代から言われるたびに辟易とするのは、私ばかりではなく、若者共通の思いだろう。確かに学校や職場で自分の考えを熱く語ったり、海外旅行に出掛けたりする人は、昔に比べると随分少なくなったのかもしれない。だが、イマドキの若者にだって、それなりに欲求や消費意欲がある。かつての若者のように堂々とあけっぴろげに語るのではなく、そっと仲間うちにだけ分かるように表現しているだけに過ぎないのではないだろうか。

 博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダー・原田曜平氏+日本テレビZIP!取材班著『ZIP!発!! 若者トレンド事典 間接自慢する若者たち』(KADOKAWA/角川書店)では、若者たちが「間接」的に自分のことを表現するその実態に迫っている。

 原田氏によれば、イマドキの若者の生活の中心にはSNSがあり、「ソーシャルメディア村社会」と呼ぶべき同調圧力の強い人間関係を築いているという。その中で、若者は過剰といえるくらい人の目を意識し、そこからはみ出さないように暮らしている。恋人自慢を堂々とする子は「ウザイ」、やたらと自己主張する人は「イタイタしい」。誰もが利用しているSNSで一度「イタい奴」と思われてしまうと、またたく間にその評判は周りに伝わってしまう。「自慢はしたいけども、叩かれたくない」。そんな思いを抱える彼らは、直接的ではなく、「間接」的に自己を表現しているのだ。

 たとえば、SNSに何かを投稿する際、若者は本当に見せたいものを「ちょっとだけ写す」。足のネイルを自慢するにしても、直接ではなく、「ショッピング満喫♪」などと投稿して、中央に配置された数個の紙袋の隅にお気に入りのネイルが自然と写るようにする。彼氏とオシャレなレストランに行った時にも、引いたアングルから料理を撮影し、奥の方にももう一組皿が並んでいることを見せて、誰かと2人でレストランを訪れたことを匂わせる。ポイントは顔を写さないこと。「直接自慢」をすれば陰口を叩かれ、女子会でネタにされてしまうかもしれない。

 クリスマスイルミネーションの前では、カップル2人の写真を撮るのではなく、1人だけで全身が写った写真を投稿する。「全身がおさまった写真ということは、誰かが撮影したということであるし、イルミネーションを見に来ているということは、もしかして恋人がいて、その人に撮ってもらったことか?」という風に読み解ける。

 このようにメインの被写体ではないところに、本当に自慢したいものが隠れているのだ。あからさまに自慢したいもの、ことを写すのではなくあくまで控えめに見せるのが、イマドキの若者気質。上の世代から見れば、もはや推理小説の世界のようだが、若者たちはそういった行動を苦とは思わない。むしろ、本音を隠すためにいかに凝った間接的な写真を撮るかをモチベーションとしているくらいだ。

 私たちは、決して欲がないわけではない。さとっているわけでもなければ、何かをあきらめているわけでもない。むしろかつての若者よりもSNSの影響を受けたことで、自意識過剰、自己表現が好きな世代なのかもしれない。消費意欲がないといわれるが、良い投稿をするためなら、どんな苦労も惜しまない。一人一人がまるでクリエーターのような目線で行動し、良い写真を撮るために、派手なイベントに参加したり、海外旅行をしたりなどの消費行動をすることだってある。上の世代からみれば、こじれた行動に思えるかもしれない。だが、現代の若者にとっては「間接自慢」はもっとも大切にしたい行動原理のひとつ。イマドキの若者を理解する大きなカギの一つであることは間違いない。

文=アサトーミナミ