子どもを「ギフティッド(天才児)」にする方法をギフティッド本人が語る

出産・子育て

2015/4/30

 自分の子は相当勉強ができる。ほかの子よりずいぶんと優れているように思う。親バカを差し引き、客観的に見て、そんな子どもは少なからずいるに違いない。分かりきった勉強に時間を費やすなら、「飛び級」させて、すこしでも高度な勉学をさせてやりたい。そう考える親がいても不思議でないが、残念ながら、今の日本では義務教育で飛び級をさせる制度はない。

 ちなみに、「飛び級」と「飛び入学」は混同されがちだ。「飛び級」は学年をスキップ(飛ばす)すること。「飛び入学」は、高校を卒業せずスキップし(卒業を飛ばし)、大学に入ること。「飛び入学」は日本でも一部の大学が導入しており、各大学の方式に沿って行われている。京都大学の医学部医学科が、2016年春入学試験より、高校2年からの「飛び入学」を受け入れるという発表が話題を呼んだ。また、高校を2年で卒業し、大学入試資格を得られる「早期卒業制度」を創設すべく文科省で議論が進められている。

 さて、日本にはない「飛び級」制度だが、海外には存在する。『ザ・ギフティッド 14歳でカナダのトップ大学に合格した天才児の勉強法』(大川翔/扶桑社)の著者であり現役大学生の大川翔さんは、「飛び級」制度を活用した好例だ。0歳から日本の保育園で育ち、5歳の時に両親とカナダへ。14歳でカナダの公立高校を卒業。カナダでは3学年早い高校卒業で、日本の学校年齢換算では4学年の飛び級となる。卒業と共に、複数のトップ大学から返済不要の奨学金付きなどで合格通知をもらい、カナダはもちろん海を超えて日本でもニュースになった。

 大川さんは8歳のとき、小学校の担任から「ギフティッド・プログラム」への推薦を受け、のちに学校テストを経て、9歳でギフティッド認定を受けている。「ギフティッド」(「ギフテッド」とも)を一般的に和訳すると「天才児」。北米で標準化ならびに確立されている制度で、シェークスピアを原文で読み、演じたり、理科で実際に使える「うそ発見器」を作ったり、数学コンテストのチーム勉強をしたり、大学の先生たちの出張講義を聞いたりといった、ギフティッド用のさまざまな英才プログラムを公費で受けることができる。

 大川さんの飛び級は、ギフティッド・プログラムを受けられたからか。無関係ではないだろうが、本人は「必ずしもそうではない」という。本書では、大川さんが赤ちゃんの頃からどのような育児・教育を受けてきたのかが詳細に書かれているが、特に興味深い内容をいくつか挙げてみよう。子どもをギフティッドにするためのヒントになるはずだ。

【親の話しかけ(0歳〜)】
ミルクを飲むときに「おいしいね」、オムツを替えるときに「気持ちいいね」など、子どもの気持ちを代弁することは保育の専門スキルであるが、一般の保護者も当たり前のようにやっていること。しかし、大川家では、やや様相が違う。たとえば、オムツ替えの場合。大川さんの父親は、こう話しかける。

「…日本の男子トイレは駄目だ。なぜかというと、オムツを替える場所がないからだ。どうも女子トイレにはあるらしい。男性に育児休暇を取れとか言って、政府は広報活動しているが、その前にやることがあるだろう。まず…」といった具合である。相手は赤ちゃん。ひとりごとのようで、精神的に大変だったらしいが、子どもに脳に刺激を与えるという意識で父と母、交代で行ったそうだ。

【ピアノを弾く(3歳〜)】
3歳からピアノを始める。「ピアノを弾くと、たぶん頭がよくなる」と述べている。ギフティッドの生徒も、多くがなんらかの楽器を習っていたそうだ。勉強ができる(頭がいい)ことは、五感を訓練した結果。楽器は五感の一部を訓練するのに最適だ、という。

【家族の教え】
家族の本質を捉えた助言が、勉強や生活をより実りあるものにしている。
●母親…うそを言うな、弱いものいじめをするな、五感を鍛えろ、そして早く寝ろ
●父親…一番大切なことは「観察」。すべては観察から始まる
●祖父…自分の「形」を持っている人間はとても強い。一番うまい人をまねて、「形」を作れ

【自分のテーマ曲】
気合を入れるときは、音楽を聴いたり、歌ったりする。音楽が流れると集中力が乱されるという意見もありそうだが、大川くんは「お気に入りのテーマ曲は勉強に欠かせない」という。

【多読】
ギフティッド認定に必要な英語力を身につけるために、本をたくさん読む。1日に400〜500ページほど。休日には600ページほど読むときも。

「勉強ができる」ことと「ギフティッド」の違いは発想力や創造力にあるのでは、と大川くんは分析しているが、幼少期からの取り組みを読んでいくと、その言葉に納得してしまう。勉強一辺倒では、飛び級ができるほどのギフティッドにはなれないらしい。

 今後、日本でも「ギフティッド」や「飛び級」のような、教育システムの閉塞感を打破するような制度が導入されるかもしれない。そのとき、制度を活用できるのは、充実した幼少期を過ごしてきた一握りの子どもたちだろう。大川くんのような好例は、ぜひとも参考にしてみたい。

文=ルートつつみ