米国人監督+日本人プロデューサーのタッグ 国際映画祭で快挙

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公開日:2015/5/2

  • MUGA SHOZOKU

 若きアメリカ人映画監督ラシャード・ホットンと日本人プロデューサー長渕陽介がタッグを組んで製作した日本映画「MUGA SHOZOKU」が快挙を成し遂げた。2015年4月18日(土)、北米第三映画祭の1つである「ワールドフェスト・ヒューストン国際映画祭」で、”Shorts Award Science Fiction部門”最高賞の”Special Jury Award”を受賞したのである。

 48年の歴史を誇り、かつてスティーブン・スピルバーグやジョージ・ルーカスなど世界的な有名監督も受賞した国際映画祭で見事、同部門約1500作品のエントリーの1位に輝いた「MUGA SHOZOKU」。この映画は一体どのようにして生まれたのだろうか。

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 プロデューサーの長渕陽介は生粋の日本男児でありながら、世界に挑むべく15歳で日本を飛び出し、ロンドンの映像業界で活躍した後に帰国。2014年12月には、世界最大の映画データベース「imdb(インターネット・ムービー・データベース)」で歴代日本人プロデューサー50人に高畑勲、岩井俊二、松本人志らと並び最年少で選出された。

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 監督を務めたラシャード・ホットンは、全米の歌姫でありながら人気絶頂期に飛行機事故で亡くなった、宇多田ヒカルやCrystal Kayが最も憧れた歌手・Aaliyahの兄である。ラシャードは幼少期より日本のアニメや漫画に興味を持ち、大学では日本映画を専攻。妹の事故後、悲しみを振り払うかのように日本に移住して日本の文化を学び、大和魂を持つアメリカ人映画監督となった。

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 長渕とラシャードの両者にとって、今回の受賞は二人の夢への第一歩だ。歩んできた道は違えど日本をこよなく愛するラシャードと長渕には、「素晴らしい日本のコンテンツの数々を自分たちの手で海外に持っていきたい」という共通の夢があった。

 国内の予算では製作の難しいタイトルを、海外のスタジオと繋ぐことで製作を可能にし、「自分たちでローカライゼーションまで行い、その素晴らしさを正しく世界に伝えたい」と活動を開始。しかし、当初若い2人にマーケットは無関心で、「自分たちでまず何かを成さなければ、夢はあっても現実的にはスタート地点にも立てない」と知り、いかなる既存のカテゴリーにも属さない唯一無二の映画「MUGA SHOZOKU」の製作に至ったのだ。

 今回の受賞で北米側の信用を獲得し、複数のハリウッド大手プロダクションから日本と北米を繋ぐプロデュース業務依頼を勝ち取った長渕とラシャード。現在2人は、製作実現に向けハリウッドと国内出版社間で奔走している。ようやくスタート地点に立った若き映画界の風雲児2人の今後の動向に注目したい。

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文=リーズ